日ハム・斎藤佑31歳 崖っぷちも“自虐ギャグ”で鼻息荒いワケ
2年間未勝利の佑ちゃんのテンションが高い。田中将大との甲子園での死闘から13年……。あの夏の輝きを取り戻せるのか。
「細~く、長~く続けるのが信条」
「かと言って、オレみたいにはなるなよ!」
今年31歳になった元ハンカチ王子、日本ハム・斎藤佑樹のテンションが高い。“自虐ギャグ”を連発して、後輩選手から「斎藤さん変わったな」と評判なのだ。いったい佑ちゃんに何があったのだろうか――。
プロ入り9年目を迎えた佑ちゃん。1年目こそ先発ローテーションに入り6勝をあげたが、その後は先細り。昨年、今年と1勝もあげられず(7月29日現在、以下同)、ファンからは「そろそろ第二の人生を考えたほうが良いのでは」との声も上がっている。だが、一軍と二軍を行ったり来たりで崖っぷちにいるはずの佑ちゃんは鼻息が荒い。
「今年3月のアスレチックスとのプレシーズンゲームに先発し、2回を本塁打1本に抑えたことで自信をつけたんです。ストレートの速さは137~138㎞ほどでしたが、変化球をまじえメジャーの強打者たちを翻弄。試合後は『短いイニングならメジャーにも通用するんだね』と嬉しそうでした。最近も7月28日の西武戦で、1点を争う緊迫した場面で3番手として登板。2回を完璧に抑え『自分の仕事ができた』と満足そうに話しています。昨年までは先発として、長いイニングを期待されながら炎上する場面が目立った。ショートイニングでの登板に、自分の立ち位置を見つけたようです」(スポーツ紙担当記者)
首脳陣の顔ぶれが変わったのも、テンションが高い理由の一つだ。
「昨年から二軍監督となった早稲田実業の先輩、荒木大輔さんの存在が大きい。それまで日ハムの二軍監督は田中幸雄さんや五十嵐信一さんなど野手出身者が多く、佑ちゃんはほったらかしの状態でした。しかし荒木監督は今年から投手コーチも兼任し、ことあるごとに『ボールに力強さが戻ってきたじゃないか』と佑ちゃんに声をかけている。一軍の投手コーチに木田優夫さんが就任したのもプラスです。前任者の吉井理人さんはデータ分析を重視し、投手とはあまりコミュニケーションをとらなかった。木田さんは親身になって話しかけるタイプで、佑ちゃんを『今季は期待できそうだな』と背中を押しています」(同前)
果たして、佑ちゃんは復活できるのだろうか。日ハムOBで4度の2ケタ勝利をあげた、武田一浩氏は辛口のエールを送る。
「佑ちゃんも、もう31歳。ショートイニングでの好投に満足せず、もっと危機感を持ったほうがいい。私が30歳前に年間1勝もあげられないスランプに陥った時は、食事や睡眠時間以外ずっと練習していました。佑ちゃんがプロで後10年できるかどうかは、今季のデキにかかっています。『もう後がない』という覚悟で練習に取り組んでほしいです」
駒大苫小牧の田中将大と甲子園で死闘を演じ、一躍全国区の投手になってから13年……。あの夏の輝きを取り戻せるか、佑ちゃんは正念場に立たされている。
- 写真:時事通信社