上野樹里「月9」好発進で克服した大河ドラマ『江』のトラウマ | FRIDAYデジタル

上野樹里「月9」好発進で克服した大河ドラマ『江』のトラウマ

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
『月9』で監察医役を好演する上野樹里。復活への足掛かりとなるか…
『月9』で監察医役を好演する上野樹里。復活への足掛かりとなるか…

7月期の月9ドラマ『監察医 朝顔』(フジテレビ系)が、7月8日からスタート。初回平均視聴率13・7%、第2回と第3回はともに12・3%と好ダッシュをみせた。

主演するのは06年の『のだめカンタービレ』以来、月9は13年ぶりとなる女優・上野樹里。フジテレビの遠藤龍之介新社長も「月9の復活こそ、フジテレビ復活の第一歩」と位置付けているだけに、失敗は許されない。

しかしその思いを、新社長よりも強く胸に秘めているのが、主演する上野ではないか。

「上野は03年、NHKの朝ドラ『てるてる家族』のヒロインオーディションで次点になるも、三女・秋子役を好演。父親役の岸谷五朗に才能を高く評価され、岸谷も所属するアミューズに移籍しています。その翌年に公開された主演映画『スウィングガールズ』で日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。これで注目を集め、06年には月9ドラマ『のだめ〜』に主演。若手演技派女優として不動の地位を築きました」(女性誌デスク)

08年にはドラマ『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)で、性同一性障害の役を演じるなど演技に磨きをかけた上野は、11年に24歳の若さで大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』のヒロインに抜擢される。ところが……。

「宮沢りえや鈴木保奈美への”タメ口”騒動や、台本や演出を巡るスタッフとのトラブルが報じられた。その上、史実と異なるストーリー展開から”ファンタジー大河”と揶揄され、年間平均視聴率も17.7%と低迷。国民的な女優になるどころか、気がつけば14年の朝ドラ『花子とアン』でヒロインを演じ、連ドラ女優として活躍する事務所の後輩・吉高由里子にも水をあけられてしまいました」(ワイドショー関係者)

しかし上野は、再び復活のチャンスを掴む。それが、昨年7月期に放送された山﨑賢人主演の医療ドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ系)との出会いである。

「上野は演じる役がどんな人間なのか突き詰めて考え、役作りをするタイプ。当時は、医療監修を担当する杏林大学医学部へ足を運び、小児外科外来や病棟で患者さんとも触れ合い、さらに救急外来の現場では医師に質問をぶつけ、熱心に取材を行っていました」(制作会社プロデューサー)

そんな上野をつぶさにみていたのが、『監察医 朝顔』でタッグを組むことになる金城綾香プロデューサーである。その辺りを前出・制作会社プロデューサーはこう続ける。

「プロデューサーを任された金城さんは、病院をまわり様々な現実に触れて役を膨らませていく上野を見て、”(もう一度)チャンスがあれば、ご一緒したい”と考えていました。しかも病院を取材して”全ての方が助かるわけじゃない”と知り、現実と向き合った二人は”次は、人が亡くなることを扱うドラマを作りたい”という思いに至り、今回のドラマが生まれたんです」

新米法医学者・朝顔(上野)と、刑事の父・平(時任三郎)が協力しながら遺体の解剖を通じて真実を明らかにする。”刑事ドラマ”×”医療ドラマ”を掛け合わせた今回の企画にこそ、新たなヒットの鉱脈が見え隠れする。

また、演出陣は上野にとって、信頼の置けるスタッフがそろった。10代の頃、木村拓哉主演の月9『エンジン』などで上野を演出、『ショムニ』『やまとなでしこ』『HERO』などのヒット作で知られる平野眞。さらに『踊る大捜査線』『HERO』を手掛けた澤田鎌作が担当している。

同名の原作マンガでは、主人公・朝顔は阪神淡路大震災で母を亡くしているが、今回ドラマ化する際、その設定を東日本大震災に置き換え、しかも母はいまだ行方不明としている。“8年経っても母を探し続ける父”と“8年経っても現地に足を踏み入ることのできない娘”。震災から現在に至るまで、解決できない大きなテーマにも切り込んでいる。

「この役作りをするために、上野は4月岩手県陸前高田市を7年ぶりに訪問。遺体安置所となった小学校の体育館や復興のシンボルになった奇跡の一本松などをめぐり、東日本大震災で親類を亡くした遺族会の人たちにも会い、話を聞いています」(テレビ誌記者)

そうした役作りが功を奏する場面が早くも初回に登場する。父と8年振りに故郷へ戻るも三陸鉄道を降りると動けなくなり、父と別れ一人電車に乗って泣きじゃくる場面は、演技とは思えないリアルさに心揺さぶられ、”憑依系女優”といわれる上野樹里の真骨頂を見る思いがした。

思えば上野自身も11年の震災の年、大河ドラマ『江』で忘れ難い傷を負った。万木朝顔が今後、震災後癒されることのないトラウマとどう向き合うのか。そこに”上野樹里、復活”のヒントが隠されているのかもしれない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    神奈川県出身。バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ヶ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • 写真アフロ

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事