山川の書道、柳田のマンガ……プロ野球選手の“意外な趣味&特技”
スター選手にはアスリートとしてのイメージとは違うプライベートがある。本人たちの肉声から知られざる素顔を明かす。
有名選手たちが明かす知られざる素顔
終盤に入りペナントレースも佳境を迎えたプロ野球。各チームの主力選手には「長距離砲」「トリプル3」「4割打者」など、アスリートとしてのイメージが定着している。彼らのプライベートを調べると、そうしたイメージとは別の意外な趣味や特技を持っていることがわかる。以下は、『FRIDAY』が取材したスター選手の知られざる素顔だ。
西武の「長距離砲」山川穂高は書道八段の腕前
「ボクはけっこう多趣味なんですよ。小学生の時には(出身の)沖縄県内で唯一のリンクでアイススケートを習っていましたし、仲のいい友人のお姉さんにはピアノを教えてもらっていましたから。楽譜は読めませんが、今でもベートーヴェンの『エリーゼのために』や久石譲さんの『Summer』なども弾けます。一番の特技は、母親の勧めで5歳から習っている書道。腕前は八段です。求められれば、座右の銘にしている高校(沖縄・中部商)の野球部モットーを書きます。『今しか見れない夢だから 頑張るだけの価値がある』という言葉です。気持ちが後ろ向きになった時、思い返して気を引き締めています」
こう語っていたのは、西武の「長距離砲」山川穂高(27)だ。
176cm108kgの豪快なイメージとは違い、10分ほどかけ筆ペンで丁寧に書き上げた“座右の銘”は脱帽する見事さ。書き方にも、こだわりがあるという。
「ゆっくり時間をかけて書くんです。長い時には、3~4文字書くのに30分くらいかけます。正座をして姿勢を正し、一画一画『ふっ~~』と息を吐きながら気持ちを込める。打席で集中できるのも、常に落ち着いていられるよう書道で鍛えているからかもしれません」
ソフトバンク「トリプル3」柳田悠岐 主要マンガ誌は発売日に必ず購入
‘15年に打率3割、30本塁打、30盗塁の「トリプル3」を達成した、ソフトバンクの主砲・柳田悠岐(30)は大のマンガ好き。取材では次のように話していた。
「高校(広島商)時代から『マガジン』『ジャンプ』『ヤングジャンプ』など、主要マンガ雑誌は毎週欠かさず読んでいます。発売日に必ず購入しているんです。プロに入ってから何が良かったかって、懐具合を気にせずマンガ誌を買えるようになったこと。大学(広島経済大)時代まではおカネがなくて、泣く泣く立ち読みですませることもありましたから。自宅で、ゆっくりマンガを読むのが至福の時です。時には明け方まで読みふけることもあります」
柳田の持ち味と言えば、背骨がきしむようなフルスイング。参考にしたのは、先輩日本人選手やメジャーリーガーの打ち方ではない。『ダイヤのA』(講談社)に出てくる長距離打者、轟雷市(どどろき・らいち)というキャラクターだという。
日本ハム「4割打者」近藤健介の日課は「乱数表読み」
ケガで規定打席に達しなかったものの、’17年に打率.413を記録した日ハムの近藤健介(25)。100打席を超えて4割以上を達成したのは、プロ野球史上初だ。近藤の日課は、「乱数表のように無数の文字が書かれた紙を見ること」だという。
「ボクは打席で集中し過ぎて、視野が狭くなる傾向がありました。そんな時、知り合いから臨床心理士の松島雅美先生を紹介してもらったんです。松島先生のアドバイスで『打ち損じてもいいや』ぐらいのラクな気持ちで打席に入ると、逆に視野が広くなりました。それからは松島先生からもらった教材を、遊び感覚で毎日こなしています。乱数表のように無数の文字が書かれた1枚の紙の中から一定時間内に『あいうえお』を見つけたり、壁に当てたゴムボールに書かれた言葉を跳ね返った瞬間に判別するなどです。もう、ほとんど趣味。もともとボクは両目1.5と視力がいい。おかげで視野がさらに広がり球を見極められるようになり、余裕を持って打席に立てるようになりました」
一流選手は、趣味や特技を単なる息抜きの用途にしない。意識的にしろ無意識にしろ、自身のスキルアップに役立てているのだ。
- 撮影:小松寛之 繁昌良司 黒澤 崇