東海大相模“2年生トリオ”ら 甲子園で活躍必至のスラッガー
熱戦が続く夏の甲子園。専門家が注目する強打者8人の“強み”を徹底分析
「熱戦が続く甲子園ですが、打者で注目すべきは履正社の4番井上広大(こうた)。187cm94kgと大きな身体ながら、コンパクトなスイングでミートし、大きい当たりを飛ばす。巨人の岡本和真のようなタイプです。センバツにも出場していますが、その時に比べ確実性がアップして、大阪大会では4割以上の打率をマーク。11安打中9本が長打、うち4本が本塁打と”長距離砲”として活躍を見せました」
高校、社会人と年間300試合のアマチュア野球に足を運ぶ、スポーツライター・西尾典文氏はこう語る。
大阪同様の激戦区、神奈川代表の東海大相模にも逸材が多い。県大会決勝で史上最多の24得点を叩き出した打撃が持ち味だが、その中軸で大暴れした”2年生トリオ”が話題となっている。4番でチーム内予選最多の3本塁打を放った山村崇嘉(たかよし)、同じく3本塁打の鵜沼魁斗(うぬまかいと)、高校通算では山村を上回る42本塁打の西川僚祐(りょうすけ)の3人だ。東海大相模のライバル、横浜高校の名将だった渡辺元智(もとのり)氏が言う。
「今年の東海大相模の選手は皆、メンタル面が非常に強いように思います。2年生トリオの持ち味は、西川は馬力、山村は柔軟な構えからのパンチ力、鵜沼はアグレッシブさと言われますが、彼らの個性を伸ばし、厳しく鍛えることによってまとまったチームを作り上げてきた。結果的に、それで頭一つ抜け出ましたね」
1年生の徳丸天晴(てんせい)を4番に据えたのが関西の強豪・智弁和歌山だ。同校で1年生が4番に座るのは橋本良平(元阪神)以来15年ぶりという。
「1年生とは思えない体格とパワーもさることながら、力任せにならず、全身を使ってスイングできる。肩も強く、すでに超高校級の迫力です」(全国紙記者)
ほかにも今大会は、キャッチャーに好打者が多く、徳丸の先輩である智弁和歌山の東妻(あづま)純平や、筑陽学園(福岡)の攻守の中心・進藤(しんとう)勇也などが注目を集めている。なかでも昨夏、金足農業に惜敗した近江(滋賀)の有馬諒(りょう)は、一回り大きくなって甲子園に戻ってきた。
「強肩強打はもちろんですが、複数の投手の良さを引き出すリードも見事で、監督が『まるで大人と話しているようだ』と舌を巻く。近江は春季近畿大会も制しており、侮れない存在です」(西尾氏)
優勝候補はどこだろうか。
「昨年の大阪桐蔭のような絶対的存在はいませんが、好投手の奥川恭伸(おくがわやすのぶ)と強打のキャッチャー・山瀬慎之助を擁する星稜(石川)、センバツ準優勝の習志野(千葉)、同4強の明石商(兵庫)など、どこが優勝校になってもおかしくありません」(同前)
令和最初の甲子園は、群雄割拠の戦国大会になりそうだ。



『FRIDAY』2019年8月16日号より
写真:朝日新聞社