紀州のドン・ファン殺人事件 遺産30億を巡る法廷バトルに新展開

遺族の逆襲がはじまった

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今年5月18日、野崎氏の一周忌で、久々に和歌山へとやってきたSさん。記者の質問には無言を貫いた

亡き夫のベンツを乗り回し、東京で悠々自適の生活を送る寡婦・Sさん(23・写真上)も、さぞかし驚いたことだろう。8月5日、「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(享年77)の遺言書に対し、Sさん以外の遺族が、「無効」を求める申立書を裁判所に提出したのだ。

怒り心頭の遺族の胸中を詳述する前に、ドン・ファンの遺言書について改めて説明しておこう。

野崎氏の遺言書が明るみに出たのは昨年9月のこと。A4の紙に赤字で〈いごん〉と書かれており、内容は〈全財産を田辺市にキフする〉というものだ。書かれたのは’13年2月8日で、野崎氏の知人男性が保管していたという。

和歌山いちの資産家と言われたドン・ファンの遺産は莫大で、銀行預金や株、土地などをすべてまとめると、少なくとも30億円はあるとされる。〈いごん〉の効力が認められても、妻であるSさんには「遺留分」と呼ばれる取り分があり、半額の15億円を相続できる。

「この額は、〈いごん〉がなかった場合より7億円ほど安い。しかしそれでも、Sさんは社長の遺言書が見つかった際、まったく異議を唱えませんでした。理由は、遺族である社長の兄弟姉妹と遺産分割協議をしたくなかったからに他なりません。〈いごん〉がなければ遺族にも遺産の取り分がありますが、〈いごん〉が有効なら、遺族の取り分はゼロですからね。面倒な相続争いをせず、Sさんは手っ取り早く遺産を手にしたかったんですよ」(野崎氏の会社関係者)

実際、〈いごん〉が見つかった当初、Sさんは本誌の取材に、

「遺産が早く手に入ると(自分の弁護士に)言われましたので、〈いごん〉を了承しました」

と、堂々と語っていた。

そこに今回、遺族が「待った」をかけたというわけだ。野崎氏の兄である樫山豊吉さんが、申立書を提出するに至った経緯を明かす。

「相続権のある者はSさん以外に5名いますが、みんな最初は幸助の遺産を望んではいなかったんです。だから、〈いごん〉が見つかってからも、成り行きを静観していた。でも……やっぱり我慢できなくなってしまったんです。Sさんの横暴ぶりに、辛抱ができなくなったんですよ。

Sさんは幸助が亡くなると、幸助が経営してきた会社の代表取締役に就任した。そして、従業員を退職させ、会社そのものも潰そうとしている。幸助が汗水垂らして必死に築き上げた会社なのに、そんな勝手なことをするのは許せません。そんな人に幸助の遺産を荒らされるのもいかがなものかと考え、我々も弁護士に依頼して相談を重ねた末、申立書を提出することにしました」

大の役人嫌いだったにもかかわらず、「田辺市に全額寄付する」としていること。生前、ことあるごとに「遺産は愛犬のイブにわたす」と言っていたのにもかかわらず、愛犬についてまったく触れていないこと。豊吉さんらは申立書のなかで、さまざまな理由を挙げて〈いごん〉の無効を主張している。

はたして、裁判所は遺族の主張をどう判断するのか。莫大遺産30億円を巡る法廷バトルの火ぶたが切られた。

昨年9月に存在が明らかになった野崎氏の遺言書。和歌山県内の家庭裁判所に保管されている
遺族が裁判所に提出した申立書。さまざまな理由を挙げて、〈いごん〉が無効であることを主張
怪死の約1ヵ月前、六本木のレストランで自身の誕生会を開いた野崎氏。隣が〈いごん〉を預かっていた友人だ

 

  • Sさん撮影加藤 慶

Photo Gallary4

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