潜入取材! タクシーで「心霊スポット巡礼ツアー」が大人気
東京心霊スポットで恐怖体験
首筋がヒヤーッと、涼しくなる恐怖体験で人気を博すタクシーツアーがある。大手タクシー会社・三和交通が毎年夏季限定で実施する、その名も「心霊スポット巡礼ツアー」だ。今年で5年目の実施となる当ツアーでは、選りすぐりの7人の心霊ドライバーたちが東京近郊の心霊スポットを案内する。当選倍率がなんと40~50倍という大人気ツアーなのだ。
三和交通が誇る心霊ドライバーの中でも、最も霊感が強いと言われる菅井正幸さんが恐怖体験を話す。
「数年前、とある神社の前で休んだ後、発車しようとルームミラーを確認したら、後部座席に自分自身が映り込んでいました。運転の際もずーっと、虚(うつ)ろな眼差しでこちらを見つめていたんですよ……」
夜8時、本誌取材班は一般参加者に混じって、タクシーに乗り込んだ。まさかあんな恐怖体験が待ち受けているとは知るべくもなく――。
一行がはじめに向かったのは旧日本軍の軍用基地跡だ。菅井さんが語る。
「ここは地盤が悪く、基地建設時には事故が絶えなかったそうです。過酷な労働により力尽きた者、落盤事故に巻き込まれ命を落とした者の霊が姿を現します」
次に向かったのは墓地の脇にある公園。ここでは、同行していた50代女性の参加者がこんな体験をした。
「老人の呻(うめ)き声が聞こえたんです。か細い声で『うー、うー』と何かに苦しむように、こちらに訴えかけてくるんです。夫に『聞こえたよね?』って訊いても、まったく聞こえなかったって……。怖くてすぐにでも帰りたかったです」
他にも、参拝の作法を間違うとキツネの祟(たた)りで呪われるという伝説がある稲荷神社や、古戦場跡につくられ夜になると誰かが遊ぶ音が聞こえる廃プールなど、3時間で7ヵ所の心霊スポットをまわり、取材はなんとか無事に終わった。
しかし、撮影済みの写真を確認していくと、背筋が寒くなるような一枚を発見したのだ。それは、昔は罪人の処刑場だったとの言い伝えが残る人工湖付近で撮った写真だ。木の葉の間に不気味な顔が写り込んでいる……ように見えなくもない。祟りを気にして清めの塩を多めにもらって帰宅したが、翌日、本誌記者の全身には、何かに引っかかれたような痕が浮かび上がっていた。
心霊ツアーは、タクシー1台を貸し切りで1万2000円~とお手頃価格だが、参加の際にはくれぐれも自己責任で、と念を押しておく。
『FRIDAY』2019年8月23・30日号より
- 撮影:小松寛之