達人お勧めの“5万円以下”で行ける「豪華クルーズ旅」6選
富裕層のものというイメージが強かったクルーズ旅だが、最近では、繁忙期を避ければ国内発着4泊5日で3万円代のコースも登場しているという(しかも全食事付き!)。
今や、豪華客船の旅は、決して手が届かない、お金持ちだけのものではないのだ! 一度経験すると、あまりの快適さに多くの人がリピーターになるというクルーズ旅の魅力と、初心者にお勧めの5万円以下のコースを、クルーズライターのくぼこまきさんに紹介してもらった。
くぼさんが初めてクルーズ旅を経験したのは、今から10年ほど前。船旅を紹介するテレビ番組を見たのがきっかけだった。番組の最後に乗客へのインタビューがあり、そこに登場した乗客の姿が、それまでイメージしていた「セレブな旅」を楽しむ人々とは、まったく違っていたことが驚きだったと言う。
「クルーズを楽しむ人といえば、お金持ちでイブニングドレスを着こなし、宝石などで着飾っているイメージ。それがインタビューに答えていた人たちは、子ども連れもいれば、Tシャツにジーンズの人もいて、私と変わらない。話のネタに、一生に一度、元気なうちに行こうと思って乗船することにしたんです」(くぼこまき氏 以下同)
それ以降、クルーズ旅の魅力に取りつかれ、現在までに14回乗船し、100泊以上を船上で過ごしている。
「ふつうの旅行であちこち観光で回ろうと思ったら、宿を変えるたびに荷ほどき荷造りをしなければなりませんが、船内の部屋には収納場所がたくさんあって、一度乗船して荷ほどきをしたら、下船するまで我が家のように暮らせる。ホテルのように1日2回も掃除してくれます。しかも、数ヵ所の寄港地を回る船旅では、眠っている夜間に運航するので、貴重な昼間の時間を移動にとられることもありません」
現在日本に就航している主なクルーズ船は、グレードにより、“カジュアル船”“プレミアム船”“ラグジュアリー船”に分けられ、“カジュアル船”の場合、12歳以下の子どもは無料か半額の場合も多い。
「初心者にお勧めなのは、やはり料金がリーズナブルな“カジュアル船”です。“カジュアル船”と言っても、写真を見ていただけるとわかると思いますが、内装も豪華で、プールなどの設備や映画やイベントなどのアトラクションも充実しています。夜の食事もコースメニューやビュッフェを選べて、食事を食べ損ねた時や小腹がすいた時は、ハンバーガーやスナックなどの軽食をいつでも食べることもできます。ドリンクはアルコール類も含め飲み放題のプランもあり夢のような世界です(笑)」
カジュアル船として人気の「コスタ」の場合、料金は部屋のサイズ等によって数タイプに分かれている。スイートルームの場合はウエルカムドリンク等の部屋付帯のサービスがあるが、食事やイベントなど船内のパブリックスペースで受けられるサービスは同じだ。
「私は、“部屋は寝に帰るところ”と割り切って、安めの部屋を選ぶことが多いですね (笑)」
気になるのは、船内での服装だ。『タイタニック』のディカプリオのようなタキシードが必要なのか?
「カジュアル船では、ドレスコードはそれほど厳しくないです。1週間のうち2回ほどフォーマルデイが設けられていることがありますが、その日の夜だけちょっとおしゃれをしていく感じ。男性はジャケットにスラックス、女性ならワンピースで大丈夫です」
フォーマルデイでなくても、メインダイニングは短パンNGだが、普段船内では短パンTシャツでも大丈夫。
そして、船旅の楽しみとして忘れていけないのが、寄港地での観光。いま日本国内の港ではクルーズ船の誘致に力を入れていて、お迎えやお見送り時には、港で子どもたちが太鼓を叩いてパフォーマンスを披露するなど、様々な歓送迎セレモニーを楽しめることもあるという。また、港が街の中心地から離れている場合は、自治体が無料のシャトルバスを用意してくれることも。
初心者にお勧め! ”カジュアル”クルーズ船
【コスタ・ネオロマンチカ】
「『はじめてのクルーズはコスタで』と宣伝文句にあるように、クルーズ初心者が体験しやすい、リーズナブルなコースがたくさん用意されています。今回ご紹介した“ネオ”シリーズの船は最近改装したタイプで、格式も高く、内装もきれいで、プールやスパ(有料)もあります。イタリア籍の船なので、ワインの品ぞろえも豊富。本格的なピザ窯も設備されていて、ピザを頼むと生地から作ってくれます」






■【コスタ・ネオロマンチカ】くぼさんお勧めクルーズコース
(下記のコース名をクリックすると、詳細を紹介した外部ページが開きます)
2019/9/3_福岡⇒大連〈寄港地:なし〉(2泊3日)_29800円~
2019/10/18_那覇⇒那覇〈寄港地:石垣・基隆(台湾)〉(3泊4日)_34800円~
2020/4/25_那覇⇒横浜〈寄港地:済州島(韓国)〉(4泊5日)_¥38800~
どの船会社もリピーターに手厚く、例えばコスタの場合、上記の2020年4月25日発の沖縄→横浜(4泊5日)のコースでは、19800円~という早期リピーター割引の料金設定もある。
リーズナブルな料金設定も多い海外発着のクルーズ旅で、旅の可能性が広がる
【ボイジャー・オブ・ザ・シーズ】
「ロイヤル・カリビアンという会社のクルーズ船。卓越したエンターテインメントが特徴で、船によってスカイダイビングができたり、16階から6階までの滑り台があるなど、さまざまなアトラクションが用意されています。吹き抜けになっている船内の中央ストリートにはカフェやブランドショップが並び、さながら街のよう。そこで行われるパレードは必見です。そのほか、アイススケート場などもあって、船内にいるだけで十分楽しめます」




■【ボイジャー・オブ・ザ・シーズ】くぼさんお勧めクルーズコース
2020/5/18_シンガポール発着〈寄港地:ポートクラン・プーケット島〉(4泊5日)_336.5米ドル~
ホテル代が高いといわれるシンガポール。現地滞在とクルーズを組み合せれば、身軽にお得な東南アジア周遊の旅を楽しめる。
日本船はちょっとお高い! が、サービス・食事のグレードは完璧
【飛鳥Ⅱ】
「日本籍の客船には『飛鳥Ⅱ』のほか、『にっぽん丸』、『ぱしふぃっくびいなす』などがありますが、どの船もとにかくお料理がおいしい。『飛鳥Ⅱ』は、お料理に加えて、サービスが感動するくらい素晴らしい。乗船のときに『おかえりなさい』と声をかけてくれるクルーの笑顔にほっとします。リピーターになる方が非常に多い船だというのも納得です。“プレミアム船”なので、クルーの人数も多く、みんな温かくて親切。日本語が通じるので初心者でも安心して楽しめます」



■【飛鳥Ⅱ】くぼさんお勧めクルーズコース
2019/12/24_横浜発着〈寄港地:なし〉(1泊2日) 48000円~_クリスマスクルーズ
クリスマスクルーズでは、料理もイベントも、クリスマス仕様になり、ロマンチックな雰囲気を満喫できる。
海外までの片道クルーズも、復路付きのツアータイプなら手配が簡単。航空券付きで“5万円以下”の商品も!
【MSCスプレンディダ】
「3000人以上乗れる大きな船で1週間乗っていても、すべて回りきれないくらい。図書室もありますし、チェスができたり、ビリヤードができたり、とにかくなんでもできて、豪華客船の贅沢を味わえる船です。ご紹介した上海から横浜までのコースは、どこにも寄港しないのですが、船内だけで退屈することがありません。メインダイニングは2層吹き抜けになっていて、豪華。ベイブリッジをくぐれるギリギリの高さで、ベイブリッジを下から眺めるという楽しみもあります」




■【MSCスプレンディダ】くぼさんお勧め「航空券付き」ツアー
2019/10/18_横浜⇒天津(⇒成田空港)〈寄港地:長崎・釜山〉(5泊6日)_49800円~【復路の航空券付き】
横浜発で天津(中国)着の片道クルーズに、成田空港までの復路の航空券が付いた超お得なツアー。
各クルーズ船には、子どもを預かってくれる施設もあり、家族で行っても、夫婦だけの大人の時間を過ごすことができる。気になるWiFiは1時間2000~3000円と割高だが、寄港時や陸が見えるときは、携帯電話の電波が入る。
「日本から出発するときは、事前に宅配便で船まで荷物を送ることもできます。しかも、スーツケースだけでなく、段ボールを送ることも可能です。日本発着なら、帰りも宅配便で荷物を自宅まで送れます。手ぶらで旅行に出かけることができるのも、船旅の大きな魅力です」
最後に、くぼさんに賢くお得に予約を入れるためのポイントを教えてもらった。
「クルーズ船のスケジュールは、通常毎年1月~春にかけて、次の年1年間のコースが発表されます。4人用や船の内側で価格が比較的リーズナブルな部屋は、すぐ埋まってしまうことが多いので早めの予約をお勧めします。各社とも、100日前までは基本的にキャンセル料がかかりません。
予約は、主に船会社の公式HPか旅行代理店からになりますが、料金はどちらもほぼ一緒です。それぞれオリジナルの特典がついている場合がありますので、気になるコースを見つけたら、他のサイトもチェックしてみてください」
思っていたより気軽に楽しめそうなクルーズ旅。一度経験してみるのもいいかもしれない。
※上記旅費のほか、港湾税、旅客税(いずれも船会社、寄港地によって異なる)、チップ(1泊一人あたり10ドル程度)が必要となる。
※各コース、ツアーの内容・価格は、2019年8月24日現在の情報です。
くぼこまき 早稲田大学卒業後、(株)三越に勤務。結婚を機に退社し、ソニー(株)→ソニーマーケティング(株)に12年間勤務。毎年新たなクルーズ船に乗り、日本全国でクルーズに関する講演を行っている。著書に『おトクに楽しむ豪華客船の旅 クルーズ、ハマりました!』(JTBパブリッシング)。
取材・文:中川いづみ写真:くぼこまき