ラグビー漫画売上1位 『ALL OUT!!』の名場面一挙公開!
ラグビーワールドカップ開幕直前
9月20日にラグビーワールドカップが開幕する。日本で初めてのワールドカップ開催に日に日に関心が高まっている。しかし、これまでラグビーに接してこなかった人たちにとって、ラグビーはルールが難しい、プレーヤーの人数が多い、ボールも丸くない、とわからないことだらけだ。
そんな中、ぜひ読んでいただきたいのが、楕円球に青春を燃やす高校生たちを描いた、雨瀬シオリさんによる人気漫画『ALL OUT!!』。
背が低いことがコンプレックスだった主人公・祇園健次(ぎおん けんじ)が、県立神奈川高校、通称・神高(ジンコー)でラグビーと出会い、チームメイトとともに花園を目指すというストーリーだ。
スポ魂漫画ならではの熱い展開、迫力ある試合描写に加え、高身長だが臆病な石清水澄明(いわしみず すみあき)、抜群のフィジカルを持つキャプテン・赤山濯也(せきざん たくや)、チームの潤滑油的存在の八王子睦(はちおうじ むつみ)など、個性的なメンバーによる青春群像劇としても魅力的な本作。アニメ化、舞台化もされ、ラグビーにあまり馴染みのない女性からの人気も獲得している。
今回は、そんな『ALL OUT!!』の名場面をいくつか紹介したい。これを読めば、初心者でもラグビーW杯がより楽しめるはずだ。
●ラグビーはどんな体型の人間でもできるスポーツ
背が低いことから、これまでどんなスポーツでも「邪魔者」扱いされてきた祇園。しかし、そんな彼が石清水と出会ったことで、初めて「どんな体型の人間でもできるスポーツ」を知る。
ラグビーには、比較的身体の大きな選手が担当するフォワードと足の速い機敏な選手が多いバックスがある。さらにバックスの中でも、司令塔的な役割をするスクラムハーフ(SH)は、小柄な選手が多い。
実際日本代表のSHを務める田中史朗や流大は身長が166センチとかなり小柄だ。また、チームプレイに憧れていた祇園にとって、全員でボールをつなぐラグビーは夢のスポーツだった。未経験ながらも入部し、奮闘する祇園の姿は、やがて神高ラグビー部を変えていくことになる。
●ワンフォアオール、オールフォアワンの精神
中学時代、チームメイトに怪我をさせてしまったという恐怖心から、一度はラグビーをやめようとしていた石清水。祇園たちとの出会いにより、少しずつラグビーの楽しさを思い出していくのだが、自分が過去に怪我をさせた元チームメイトと練習試合でぶつかることになってしまう。
完全に萎縮し、タックルもせず立ち尽くしてしまっていた彼に、祇園がベンチから熱い激を飛ばす。その瞬間、石清水は自分のやるべきことを思い出し、目覚めるのだった。
ラグビーは究極のチームスポーツと言われる。一人の力ではどうやっても勝つことはできない。いかにボールをつなぎ、前に運ぶか、そのために仲間といかに助け合うかが重要なポイントとなる。
●ラグビーは総合力のスポーツ。そして個人の思いが大事な競技
負けても悔しがることもなく、向上心もなかった神高の歴代先輩たち。「自分たちの代こそは」と本気で花園を目指し、並々ならぬ努力をしてきた現キャプテン・赤山。名門校・慶常メンバーのフィジカルの強さに蹴散らされる神校だったが、赤山は一歩も引かないプレイを見せる。
「ラグビーで一番大切なのはフィジカルじゃなく、恐怖心を乗り越え、自分より大きな相手に全力でぶつかれる気持ちだ」とベンチの祇園らに説く3年の松尾年乃助(まつおとしのすけ)。続けて、「でも、一人じゃダメなんだ」とラグビーの神髄を語る。
●ラグビー部に突然現れるコーチ 何かが起きる!
これまで指導者がいないまま、手探りで練習に明け暮れていた神高。そんな彼らの前に、突如として現れた謎の老人・籠信吾(こもり しんご)。祇園からメールで「コーチをしてくれ」と頼まれたという彼は、実は有名な元日本代表選手だった。
名作スポーツ漫画『タッチ』や『スラムダンク』を思わせる、謎の人物=指導者の登場シーン。神高ラグビー部が大きく動き出す予感を感じさせる。
●繰り返されるチームプレーの大切さ
タックルにこだわるあまり、味方の存在を無視するようなプレーしかできなかった祇園を、籠コーチは紅白戦メンバーから除外する。「祇園くんはラグビー初心者なんだから」と石清水が抗議するも、「あのチビはまだラグビー始めてねぇよ」と厳しい一言を言い放つコーチ。
その後、チームメイトに支えられ、「ラグビーは全員でやるスポーツだ」とようやく気付いた祇園のことを、部の一員として皆は温かく迎え入れる。