佐々木朗希、奥川恭伸ら今年のドラ1「12人」の顔ぶれはこれだ! | FRIDAYデジタル

佐々木朗希、奥川恭伸ら今年のドラ1「12人」の顔ぶれはこれだ!

今年のドラフトを小関順二氏がいち早く分析!

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甲子園に出場せずとも今年のNo.1評価は揺るがない佐々木朗希 (大船渡高)。ドラフトでは何球団の指名が重複するのか
甲子園に出場せずとも今年のNo.1評価は揺るがない佐々木朗希 (大船渡高)。ドラフトでは何球団の指名が重複するのか

夏の甲子園も終わり、高校、大学、社会人の大きな大会が一段落。そこで、ドラフトまであと約1ヵ月と迫ったこのタイミングでドラフト分析の第一人者・小関順二氏に今年のドラフトを占ってもらった。

 

今年のドラフトは10月17日(木曜日)に開催されるので、そろそろ1位候補選手の名前が出てきてもいい。まず1位入札で競合しそうなのが佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)、森下暢仁(明治大)の投手3人だ。

佐々木はセンバツ後に行われたU18代表合宿の紅白戦で全日本候補の6人の打者をすべて三振に仕留め、このとき計測したストレートの最速が163キロ。花巻東高3年時に大谷翔平(現エンゼルス)が計測した160キロを3キロ上回るアマチュア球界史上ナンバーワンの記録である。今年の夏の岩手大会4回戦、盛岡四高戦では8回に投じた117球目が160キロを計測した。ストレートの速さ以外でもスライダー、フォークボールのキレが素晴らしく、投球フォームがいいのでコントロールも安定している。まさに欠点が見当たらず、一塁に走者を置いたときのクイックモーションはプロでも速い1.0秒台前半で、ストレートのスピードは全然落ちなかった。

奥川は夏の甲子園大会で星稜高が準優勝する原動力になり、スカウト間では佐々木に迫る人気を得ている。毎試合、見事なピッチングをしたのだが、とくに心に残ったのが3回戦の智弁和歌山高戦。延長14回を投げて球数は165球。9回に換算すれば106球の省エネ投球である。このうちストレートは78球あり、その平均球速は何と150.1キロ。春、夏の甲子園大会でストレートの平均が150キロを上回った選手はもちろんいない。昨年夏、2年生だった佐々木朗希が岩手大会2回戦の盛岡三高戦で142球中、ストレートを102球投げ、その平均球速が147.5キロで驚かされたが、その1年後、甲子園の大舞台でそれを超える選手が現れたのである。佐々木がいなければ奥川の活躍はなかっただろうし、奥川の活躍は佐々木の闘志に火をつけると思う。

甲子園で評価を上げた奥川恭伸(星稜高)。球数が少なくとも三振が奪えるクレバーなピッチングが魅力
甲子園で評価を上げた奥川恭伸(星稜高)。球数が少なくとも三振が奪えるクレバーなピッチングが魅力

即戦力候補の大学生では森下がナンバーワン評価である。6月17日に行われた大学選手権の決勝では9回を完投し、球数は105球という少なさ。被安打7、与四球1、奪三振10、失点1と数字を並べると奥川に共通する美質が浮かび上がってくる。この試合で計測したストレートの最速は152キロで、スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップと持ち球も豊富。事実上の決勝とも言える準々決勝の東洋大戦でもストレートの最速が151キロを計測し、7安打完封とまったくスキを見せていない。

この3人に3球団以上の入札が集中するのではと言われている。日本ハムはすでに佐々木の1位入札を表明し、仙台を本拠地とする楽天も佐々木に入札することは確実だろう。ソフトバンク、ロッテ、セ・リーグでは「(高校時代の)大谷君も見た。確かに大谷君もすごいなと思ったけど、佐々木君の方がすごいと思う」と高く評価している長谷川国利スカウト部長の熱い言葉でわかるように巨人が熱心だ。広島も即戦力を必要としないので、破格の将来性に向う可能性がある。
奥川にはチーム事情から即戦力を待望する中日、阪神、西武、オリックスあたりの指名がありそうだ。即戦力度で奥川を上回る森下には14年以降、大学生の投手を1位で獲得して結果を出しているDeNA、さらに投手陣が壊滅状態にあるヤクルトの入札が有力視されている。

大学生では最も評価の高い森下暢仁(明治大)。ストレートも速いが、変化球も豊富
大学生では最も評価の高い森下暢仁(明治大)。ストレートも速いが、変化球も豊富

この予想通りなら佐々木に入札するのはパ4:セ2なので、超大物はまたまたパ・リーグに行く可能性が高い。即戦力を求めるセ、大物を求めるパの図式は今年も繰り返されるのだろうか。

3人以外では、高校生の及川雅貴(横浜高・投手)、石川昂弥(東邦高・野手)、西純矢(創志学園高・投手)、宮城大弥(興南高・投手)が有力だ。とくに西は広島のお膝元にいる選手なので1位入札があってもおかしくない。

大学生ではサイドスローの津森宥紀(東北福祉大)、海野隆司(東海大・捕手)、杉山晃基(創価大・投手)など地方勢に有力選手が揃っている。今、球界は捕手不足に喘いでいて、とくに中日、DeNA、オリックス、ロッテのスカウトの「捕手がほしい」という声はよく耳に入ってくる。

社会人では太田龍(JR東日本)、小又圭甫(NTT東日本)、宮川哲(東芝)、立野和明(東海理化)、河野竜生(JFE西日本)の各投手の評価が高い。1位入札があってもおかしくないのが宮川で、最速154キロのストレートだけでなく、縦変化のスライダーに140キロ台前半のカットボール、さらに130キロ台のフォークボールを交えた緩急や左右の揺さぶりは高校生の候補にない完成度を有している。

整理すると、今年のドラフト1位・12人は次のような顔ぶれになる可能性がある。

<入札候補>
佐々木朗希(大船渡高・投手)
奥川恭伸(星稜高・投手)
森下暢仁(明治大・投手)
<外れ1位候補>
西 純矢(創志学園高・投手)
石川昂弥(東邦高・野手)
宮城大弥(興南高・投手)
海野隆司(東海大・捕手)
杉山晃基(創価大・投手)
宮川 哲(東芝・投手)
太田 龍(JR東日本・投手)
立野和明(東海理化・投手)
河野竜生(JFE西日本・投手)

以上はかなり常識的な予想で、個人的には鈴木寛人(霞ヶ浦高・投手)、井上広大(履正社高・外野手)あたりの未完の大器が外れでもいいので1位で指名されないかなと思っている。1位は即戦力より、「メジャーリーグでプレーする可能性がある」を基準に指名するべきだと思っているからだ。

  • 小関順二

    1952年神奈川県で生まれる。日本大芸術学部文芸学科卒業。『プロ野球問題だらけの12球団』(草思社)は2000年以来20年に及ぶ年度版として現在も継続し、スカイAが中継するドラフト会議では1999年以来、今年で21年目となる指名選手の解説を担当している。主な著書は『「野球」の誕生』(草思社)、『ドラフト未来予想図』(文藝春秋)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社α新書)など多数。

  • 撮影桐島瞬(佐々木朗希)写真アフロ(奥川恭伸) 時事通信社(森下暢仁)

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