どうなる横浜カジノ? 市長は誘致表明でも“ハマのドン”は大反対
「白紙」から一転、市長「誘致表明」の背後に見える菅官房長官の「思惑」
「横浜へのカジノ誘致は決定したようなものですよ。誘致の条件は、『国際空港に近いこと』と『大型船が入れる港があること』の2点。東京との距離を考えても、横浜ほど理想的な立地は他にありませんからね」(IR議連の自民党中堅議員)
これまで「白紙」という態度を貫いていた横浜市が、突如、カジノ誘致に打って出た。9月2日からの市議会で、林文子市長が正式表明する予定だ。
市がカジノ候補地としている山下埠頭の大物港湾事業者が言う。
「いきなり翻意したのは、菅(義偉)官房長官からの”圧力”があったからでしょう。菅さんが地元・横浜にカジノ誘致したがっているのは、周知の事実ですからね。実際、林市長は8月に入って菅さんと密かに会合を持っている。そこで、『次の市長選で全面バックアップするから』とでも説得されたんだと思います」
菅官房長官が強引な手段に出た背景には、こんな事情もあったようだ。
「カジノを誘致する国内3ヵ所は、早ければ来夏には決定する。それに間に合わせるためには、9月から始まる市議会で承認を得ないといけない。だから、いま表明させるわけです。ただ、水面下で準備はかなり進んでいて、すでにカジノ事業者とも話はついている。横浜でのカジノ運営は、ラスベガスやマカオに複数のホテルを持つ大手の『ウィン・リゾーツ』でほぼ決定です」(前出・IR議員)
立地は理想的で菅官房長官の後ろ盾もある。横浜へのカジノ誘致はもはや既定路線だ。だが、一つだけ、障壁がある。”ハマのドン”こと藤木幸夫氏(89)の存在だ。
横浜港運協会などさまざまな企業のトップを務め、港湾事業に多大な影響力を持つ藤木氏は、ギャンブル依存症や外資が入り込んでくることを懸念し、かねてから横浜でのカジノ建設に反対の立場を取ってきた。今回の市の誘致表明についても、ドンは本誌にこう言い切った。
「私はカジノではなく、山下埠頭にハーバーリゾートを築く計画を持っている。市がなんと言おうと、その計画は1ミクロンも動きません。カジノを作るなど、絶対に許しません」
カジノを建設するには、藤木氏の協力は絶対不可欠だ。横浜市はドンを翻意させることができるのか。誘致成功にはまだ大きなハードルが残っているのだ。
写真:時事通信社(1枚目写真)撮影:濱﨑慎治(藤木氏)