歴代スパイダーマンが振り回され続けてきた“オトナの事情” | FRIDAYデジタル

歴代スパイダーマンが振り回され続けてきた“オトナの事情”

トム・ホランド、アンドリュー・ガーフィールド、トビー・マグワイア…歴代映画・頓挫と再出発の歴史

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世界中の映画ファンを驚かせた、「スパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)から離脱する」というニュース。
スパイダーマン映画は、「オトナの事情」に振り回され続ける運命なのだろうか――。

8月24日(米国時間)、ディズニーのファンクラブ向けイベント「D23 Exipo」に参加していたマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギと、スパイダーマン役のトム・ホランド。彼らがついに離脱問題について言及した。

映画『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年) LAワールドプレミアでのケヴィン・ファイギ(左)とトム・ホランド(右):写真:Shutterstock/アフロ
映画『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年) LAワールドプレミアでのケヴィン・ファイギ(左)とトム・ホランド(右):写真:Shutterstock/アフロ

「この5年間は、人生最高の時間だった。未来がどうなるかは解らない。でも、僕が解っていることは、今後もスパイダーマンを演じ続け、最高の時間を過ごすってこと。どんな形を選ぶにしろ、楽しくなると思うよ」と米「entertainment weekly」誌のインタビューで語ったトム・ホランド。「スパイダーマンの未来は違ったものになる。でも、同じくらい最高で素晴らしいものになる。今よりクールになる新しい方法を見つけたい」と続けた。

同じくインタビューに応じたケヴィン・ファイギは、「これまで、計5本のスパイダーマン映画をMCUで作ってきました。実現するとは想像もしていませんでした。永遠に続くのは不可能だったんです。時間は限られているのはわかっていたし、描きたかった物語は描きました。感謝と喜びを感じています」とコメントした。

MARVEL(マーベル)社がこれまで生み出してきた、アメリカン・コミックス(※アメコミ)のヒーローたち。それらの「マーベル・コミック」を原作に、実写映画・テレビドラマ化したシリーズがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)だ。2019年に公開された『アベンジャーズ エンドゲーム』が『アバター』(2009年)を抜き、世界累計興行収入歴代トップとなったことからも解るように、今や世界的な人気を獲得している。

MCU一作目である『アイアンマン』(2008年)を皮切りに、すべての作品を取り仕切ってきたのが、マーベル・スタジオとその社長ケヴィン・ファイギだ。本社であるMARVEL社は2009年にディズニーに買収されてしまったものの、『アベンジャーズ』(2012年)以降、映画制作はマーベル・スタジオ、配給はディズニー、という体制でヒット作を世に送り出し続けてきた

これまですべてのMCU作品をプロデュースしてきたファイギと、スパイダーマンを演じ続けてきたホランド。二人が出したコメントで、スパイダーマンのMCU離脱はほぼ確定となった。

簡単に、これまでのスパイダーマン映画の歴史を振り返ってみよう。
アメコミ出版社・MARVEL社の人気コミックである『スパイダーマン』。2009年にディズニーに買収される以前、MARVELには深刻な業績不振に陥っていた時代があった。この時、同社がスパイダーマンの映画化権を譲り渡したのがソニー・ピクチャーズである。

その後、実写映画化の企画が何度も頓挫しつつ、ようやく実現にこぎつけたのが2002年に公開された『スパイダーマン』だ。以後、ソニーは様々な試行錯誤を繰り返しながら、「スパイダーマン」の作品群を作り続けて来た。

〔映画「スパイダーマン」ヒストリー〕

●主演:トビー・マグワイア 監督:サム・ライミ
『スパイダーマン』(2002年)世界興行収入:8.2億ドル(配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント、以下SPE)
『スパイダーマン2』(2004年)世界興行収入:7.8億ドル(配給:SPE)
『スパイダーマン3』(2007年)世界興行収入:8.9億ドル(配給:SPE)
★6部作にする計画があったが、監督の降板により『4』以降は白紙に

※『アイアンマン』(2008年)公開。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が始動

●主演:アンドリュー・ガーフィールド  監督:マーク・ウェブ
『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)世界興行収入:7.5億ドル(配給:SPE)
『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)世界興行収入:7億ドル(配給:SPE)
★スタッフ・キャストを一新したリブート(再始動)・シリーズ。『3』、『4』までの企画があったが、MCU加入の関係もあり『2』で打ち切り

※『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)公開。本作からスパイダーマンがMCUへ加入。

●主演:トム・ホランド 監督:ジョン・ワッツ
『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)世界興行収入:8.8億ドル(配給:SPE)
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)世界興行収入:11.1億ドル(配給:SPE)

映画化の権利がソニーにあり、すでに『アメイジング・スパイダーマン』シリーズを始動させていたことから、MCU加入は難しいと思われていたスパイダーマン。しかし、2015年にマーベル・スタジオ/ディズニーとソニーの業務提携が成立したことで、『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』(2016年)から晴れてMCU参戦となったのだ。

その後、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)などの単独作品を含め計5作のスパイダーマン映画が作られ、最新作の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)では、ソニー映画歴代1位の興行収入を叩きだしている。

今回のトラブルをいち早く報じた「Deadline」の記事によると、「これまでの両社の契約は、『ソニーが映画の制作費を全額出資し、ディズニーは興収の5%を受け取る』というものだった。ディズニーが新たに提案したのが、『今後はディズニーが50%制作費を出資し、興収の50%を得る』という条件だ」という。「これに納得できなかったソニーは別の条件を提示したが、今度はそれにディズニーが難色を示し、こうして交渉は決裂した」のだと。

このニュースを受け、20日夕方にソニーは声明を発表。「スパイダーマンのプロデュースに今後ケヴィン・ファイギが参加しないのは事実だが、それは彼が他のマーベル作品の制作で忙しいからで、不参加を決定したのはソニーではなくディズニーだ」と説明した。

契約関係で揉めたという報道については言及せず、ディズニーとマーベル・スタジオはこの声明に反応しなかった。ファンは不安を募らせていたが、その後、24日にトム・ホランドとケヴィン・ファイギがコメントを出し、MCU離脱が確定したというわけだ。

初お目見えとなった『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』(2016年)以降、5作に渡りスパイダーマンを演じ続けてきたトム・ホランド。本人のお茶目な性格も相まって、ファンからの人気は非常に高い。最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)ではアイアンマンの後継者のようにも描かれていただけに、今後、MCUから彼の姿が本当に消えてしまうとなれば、ファンは悲しむだろう。

「僕がスパイダーマンを演じるのはこれが最後じゃない」とホランドが語るとおり、ソニーは次回作を制作する計画を進めているという。また、『ヴェノム』(2018)を含む、スパイダーマンシリーズのキャラクターたちを主役とした「ソニー・マーベル・ユニバ―ス」という企画も進んでいるので、今後スパイダーマンはこのシリーズに出演することになるかもしれない。

『X-MEN』シリーズの権利を持つ20世紀フォックスを2019年に買収し、今後更にMCUを拡大させていくディズニー。『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)や『ヴェノム』(2018年)をヒットさせ、自分たちのシリーズを進めていくソニー。両社の言い分がぶつかるのは仕方がないのかもしれないが、「オトナの事情」に振り回されるスパイディの姿を見たくない、というのがファンの想いではないだろうか……。

「ネタバレ王子」として知られるトム・ホランド。公開前に出演作のネタバレをうっかり話してしまうことが何度もあり、マーベルからガチで怒られ、ネタバレ防止策として台本をもらえなかったというエピソードも
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アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr(右)とトム・ホランド(中央)。ホランドはロバート・ダウニー・Jrを”ゴッドファーザー”としてリスペクトしており、プライべートでも親しい。ホランドがコメントを出す前日にも、二人でハイキングしていた
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MCUにホークアイとして出演してきたジェレミー・レナー。スパイダーマンの今回の騒動を受け、「やあソニー・ピクチャーズ、スパイダーマンをマーベルとスタン・リーに返してくれませんか」と自身のインスタグラムに投稿した
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大ヒット作『デッドプール』(2016年)主演のライアン・レイノルズも本騒動にコメントした。これまでデッドプールを含む『X-MEN』シリーズは20世紀フォックスが映画化権を有していたが、ディズニーのフォックス買収により、いよいよ本格的にMCU合流が始まる
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『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(2012、2014年)でスパイダーマンを演じていたアンドリュー・ガーフィールド(右)。3作目やスピンオフの計画があり、ガーフィールドも続編に賛成していたが、結局打ち切りとなってしまった
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サム・ライミが監督し、世界的大ヒットを飛ばした『スパイダーマン』(2002、2004、2007年)。スパイダーマンを演じたトビー・マグワイア(右)はここ5年ほど映画出演がないが、自身の制作会社「マテリアル・ピクチャーズ」がアマゾンと契約するなど好調だ
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