男性は30歳、女性は40歳からストレスに弱くなる。そのワケは?

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先輩と後輩に挟まれて何かと気苦労が多い3040歳代。「最近ストレスが溜まって、体調もイマイチ…」と感じる人も多いはず。が、その体調不良の原因、「心」だけの問題じゃないかもしれない! ストレスを感じたら、気力だけでなんとかしようとせずに「体を動かせ」と、自律神経研究の第一人者、小林弘幸先生は言う。 

ストレスを受けると体はどう反応するのか?

ストレス過多の状態になると、眠れなくなったり、食欲がなくなったり、疲れやすくなるなど、体の不調を起こす。これは、自律神経が乱れている証拠。

自律神経とは、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、24時間働き続けている神経のこと。自分の意志でコントロールすることはできない。緊張すると、自然と手に汗をかいたり、心臓がドキドキする。このような症状は、自律神経が作用しているから起こること。

「自律神経は『交感神経』と『副交感神経』に分けられます。交感神経が働くと、血管が収縮し、心拍数や血圧が上昇し、気分は高揚して、アグレッシブな状態になります。対して、副交感神経は血管をゆるませて、心拍数や血圧を低下させ、気持ちを落ち着かせ、リラックスした状態にします。

交感神経は車にたとえると、アクセルの役目。副交感神経はブレーキ。どちらかが過剰に強くなる(優位になる)ことは好ましくありません。交感神経と副交感神経がバランスよく機能することが大切なのです」(小林弘幸氏 以下同) 

男性アスリートが30歳代半ばで引退することが多いのは、副交感神経の低下も大きく影響していると考えられている。33歳で引退会見をした北島康介氏

歳を取ると働きが弱くなる“副交感神経”

「交感神経は年齢を重ねても、それほど低下しませんが、副交感神経はある年齢から急激に低下することが、データをとってみてわかったのです」

ある年齢とは、男性の場合30歳、女性の場合は40歳。男性アスリートが30歳代半ばで引退することが多いのは、副交感神経の低下が大きく影響していると考えられるのだとか。副交感神経の働きが低下すると血流が悪くなる。筋肉をイメージどおり動かすためには筋肉に栄養を十分に供給することが必要だが、それができなくなってしまうからだ。

「女性が40歳代あたりから更年期障害で苦しむようになるのも、副交感神経が低下して、自律神経のバランスがくずれてしまうことに原因があると考えられています」 

年齢を重ねるにつれ、判断力や決断力が鈍くなったり、怒りっぽくなる人もいるのも、同じ理由が考えられると言う。

ストレスからくる「心」と「体」の“負のスパイラル”に気をつけろ! 

自律神経の乱れは身体的な不調の原因になるばかりでなく、精神面にも影響を及ぼす。

仕事でいやなことがあってストレスがたまった状態は、体にとっても「危機」。このような時、体は危機を回避するために交感神経を活発化させる。すると、脳への血液供給が低下して、思考力も下がり、ますます感情のコントロールができなくなる。こんな状態で「気持ちを落ち着かせよう」「前向きに考えよう」としても、無理な話。“気の持ちよう”でストレスを解消することはできないのだ。 

「スポーツの世界に『心技体』という言葉があります。気持ちがしっかりしていれば技術も体もついてくるという考え方ですが、私に言わせれば『体技心』。体が健康であれば、心も健康になる。ストレスを抱えたら、なにはともあれ体を動かして血流をよくすることです。 

健康な体とは細胞の隅々まで、質の良い、きれいな血液が流れている状態。きれいな血液が流れれば、臓器がしっかり働きますから、元気に活動することができます。この血液の流れをコントロールしているのも自律神経です」

思いっきりモノをぶっ壊せるアミューズメント「怒りの部屋」は世界中で人気。“体を動かす”という意味では、正解?

ストレスに強い体を作るために行いたい毎日の習慣 

ストレスを受けたときも、耐えられるだけの体を作る(=自律神経の機能を高める)ためには、どんなことをすればいいのだろうか。

1_朝目覚めたら日光を浴び、朝食を摂る

「まず、朝起きたら、カーテンを開け、日光を浴びることです」

人間には朝になったら目が覚め、夜になると眠くなるような「体内時計」がある。ところが、体内時計のサイクルは25時間周期。毎日この差を修正しないと、どんどんズレが大きくなってしまう。それを修正するのが、太陽の光。日光が目に入ると“視交叉”という部分が反応し、体は活動モードになり交感神経が活発になる。

「もう一つ重要なのは、朝食です。朝食も体にスイッチを入れる役割をします。さらに、腸の蠕動運動は副交感神経を働かせる働きもあります。交感神経が優位になる昼間も、ブレーキ役の副交感神経を働かせバランスを整えることが大切です」 

朝食で積極的に摂りたいのは発酵食品。納豆やヨーグルト、みそ汁は腸内環境を整えるためにも役立つ。

2_仕事中は、とにかく体を動かせ!

仕事中はできるだけ体を動かし、血流をよくして自律神経を整えることを考えよう。 

「1時間座っていたら、階段を上り下りする。私は本を歩きながら読んでいます。座って読む必要はありません」

上司から叱責された、同僚と言い争いした。そんなときも、机に座って、じっと考え込んではダメ。ちょっとそのへんを歩くなどして、副交感神経を刺激することを心がけたい。

3_寝る前にお風呂に入る

「お風呂に入ることも大事です。昼間ストレスをいろいろ受けて、交感神経は上がりっぱなしになっています。寝る前に副交感神経を上げなければスムーズに睡眠に入っていけない。4041度のぬるめのお湯に5分ほど首までつかり、その後半身浴してください。ずっと首までつかるのは、水圧で心臓に負担がかかるので避けたいところです」

入浴するのは、寝る前の1時間ほど前がベスト。入浴によって上がった深部体温が下がるときに眠りやすくなるからだ。

「脱水も自律神経を乱すもと。こまめに水分を摂ること。1日に1.5リットルは飲むようにします」

朝に光を浴びてのジョギングはストレス解消のためにもいい

体調が整ってきたと感じたら、改めて心のメンテナンスを考えてみよう。 

「日記をつけることをおすすめします。長く書く必要はありません。3行でいいんです。最初に、今日いちばんよかったこと。次に今日いちばん失敗したこと、いやだったこと。3番目に明日はこれだけがんばろうということ。それぞれを1行ずつ書いていく。

5年間ぐらい書き続けられる日記帳がおすすめです。昔の日記を読み返してみると、『体』と『心』の成長も実感できるはずです」

小林弘幸 順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。自律神経研究家の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。著書に『自律神経が整う時間コントロール術』(小学館)、『マンガでわかる 自律神経を整える習慣・運動・メンタル』(池田書店)など多数。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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