リサイクルの現場最前線! 粗大ゴミが宝の山に変わる瞬間

家電だけじゃない! 太陽光パネルもリサイクル可能にする技術

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岡山県にある平林金属の「リサイクルファーム御津」。ホットナイフと呼ばれる技法で、太陽光パネルをセル(発電に必要な太陽電池)などと受光面のガラス板に分離する。国立研究開発法人NEDOも協力した新技術だ

「メーカーなどのものづくりが動脈とすれば、我々の仕事は静脈です。社会で生み出される廃棄製品から有益な資源を取り出し、再び原料としてメーカーに活用してもらう。

今までの廃棄製品は、とにかく粗大ゴミとしていっしょくたに埋められてしまっていましたが、あと20年程度で一般廃棄物処理場は満杯になってしまうと試算されています。’01年に家電リサイクル法が施行され、少しずつリサイクルは進んできましたが、このままでは立ちゆかなくなってしまうのです。

しかも冷蔵庫や洗濯機といった馴染み深い家電だけでなく、まったく新しい産業廃棄物が、まもなく大量に、一度に登場してきます。それが太陽光パネルです」

岡山県にある総合リサイクル企業「平林金属」の平林実社長はこう話す。

’11年の東日本大震災と福島第一原発事故で急速に普及した太陽光パネル。その寿命は25年とされており、環境省の試算では2040年に約80万トンのパネルが廃棄市場に溢れ出すと予想されている。

「太陽光パネルのように新しい分野は技術革新もめざましい。25年の耐用年数が過ぎる前に画期的な技術が出てきて発電能力の高いものが登場したら、環境のため早めに廃棄して高性能製品にしたほうがいい、ということになるかもしれません。

つまり2040年頃という大量廃棄の時期は、もっと前倒しになる可能性もあります。そのXデーに向けて、太陽光パネル廃材から出る資源を、再生素材としてどう使ってもらえるか。たとえば太陽光パネルの大部分を占める強化ガラス板を六ヶ所村の放射性廃棄物貯蔵施設で活用してもらえないかといったように、研究者の協力も募り、その用途を見つけてもらおうと研究を進めています」

現在、太陽光パネルのリサイクルが可能な施設はまだ日本に十数ヵ所しかない。

ペットボトルやアルミ缶のように単一素材でできている製品は再生原料から同じ製品を作る「水平リサイクル」をしやすいが、家電などは金属やプラスチックの複合素材が用いられるようになり、廃棄物が複雑化している。多様な素材を分離、選別して、思いも寄らない新しい用途を見つければ、再生原料は「宝の山」に生まれ変わるのだ。

「かつてはプラスチックを再生しても、品質が悪いのではないかと敬遠されてしまいました。しかし社会にエコの意識が浸透し始め、再生プラスチックをものづくりに活かしてくれるメーカーが増えています。

たとえば、家電リサイクル法が施行された当時、ミックスプラスチック(硬軟様々に混じったプラスチック)は素材単位に選別するのは不可能とされていました。それでも技術開発に取り組んだ結果、冷蔵庫や洗濯機など4家電から取り出したプラスチックを微妙な比重差を利用して異物を除去し、純度99%以上のPP樹脂として抽出することに成功。このリサイクルPP樹脂は、自動車の車載スピーカー原料に採用されています」

冷蔵庫が自動車に! リサイクルの世界には新たな風が吹き始めている。

太陽光パネルから透過率の高いガラス板が出現

災害などで破損した太陽光パネルが処理工場に運び込まれる
自動回転機でパネルのアルミフレームが取り外される
製作時に熱を加えて接着したセルとガラス板に、再び熱を加えて切り剥がす
ガラスパネルは光の透過量を上げるため窓ガラスなどより純度が高い

冷蔵庫のリサイクル率99%! プラスチックが蘇る現場

エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目を専門に扱うリサイクル工場。冷蔵庫がエレベーターで巨大破砕機に運ばれ、破砕されたチップは粉塵を吸い取り、様々な工程を経て単一素材へと分離されていく
平林金属の平林実社長。後ろに並ぶのは回収された冷蔵庫の列
細かく砕かれたプラスチックを特殊な機械で吸い上げる
選別デッキ上で水力と振動力により軽量物と重量物の選別が行われる
再生された高純度のPP樹脂

『FRIDAY』2019年9月13日号より

  • 撮影山田真実

Photo Gallary10

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