元若嶋津 この世の土俵際で「死神」をうっちゃり | FRIDAYデジタル

元若嶋津 この世の土俵際で「死神」をうっちゃり

昨年10月、意識不明の重体になったが天国へ行く目前で「奇跡の復活」

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千葉県船橋市の二所ノ関部屋近くにて。この日の最高気温は27℃で、親方は首筋に汗をかきながらゆっくり歩を進めていた

千葉県内の住宅街を、白髪の男性が10㎝ほどの歩幅で歩いている。若い女性に付き添われた男性は、歩行速度こそゆっくりだが眼光は鋭い。精悍な顔立ちと浅黒い肌から「南海の黒ヒョウ」と呼ばれた元大関・若嶋津の二所ノ関親方(61)と、モデルで長女のアイリ(29)だ――。

親方がサウナからの帰り道に自転車で転倒し、頭を強打したのは昨年10月。搬送先の病院では4時間半に及ぶ開頭手術を受けた。一時は意識不明の重体となり、家族も死を覚悟したという。だが「現在は奇跡の復活をしている」と、医師で親方と親交のある増渕和男氏が話す。

「夫人(元歌手の高田みづえ)から、『(親方は)若い力士たちをもう一度指導するためにがんばっています』とメールをもらいました。私も『動きが鈍くなった手や指を曲げるなどして、なるべく刺激を与えて』とアドバイスしています。親方は夫人に『ツラくてもやらなきゃ治らないよ』と励まされながら、部屋周辺を歩行するなど毎日ハードなリハビリを続けているそうです。あれだけ頭にダメージを受ければ、一命はとりとめても、下半身不随になってもおかしくない。自力で歩けるまでに回復したのは、本人の意思と家族のサポートのおかげでしょう」

親方はまだハッキリと会話をすることはできないが、「はい」や「いいえ」など短い言葉を発することは可能だという。夏場所直前の5月10日には、事故後初めて両国国技館(東京都墨田区)へ足を運ぶまでの回復を見せた。

相撲評論家の中澤潔氏が話す。

「若嶋津を鍛えあげたのは、師匠の初代・若乃花です。稽古の激しさは今の角界では想像できないほど。身体の細い若嶋津は、その厳しい指導に耐え大関にまでなったんです。不幸な事故でこの世の土俵際に立たされても、『死神』をうっちゃることのできる精神力があります。『オレは凄まじい稽古を体験してきたんだ。この程度で死んでたまるか』という強い気持ちで、自分が現在置かれている状況と向き合っているのでしょう」

不屈の精神力で、親方は驚異的な回復ぶりを見せている。

撮影:坂口靖子

 

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