オールブラックスだけじゃない!覚えておきたいラグビー代表の愛称 | FRIDAYデジタル

オールブラックスだけじゃない!覚えておきたいラグビー代表の愛称

「ワラビーズ」「スプリングボクス」「ブレイブ・ブロッサムズ」、どこの国のチームか分かりますか?

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“世界最強チーム「オールブラックス」”

いよいよ20日に開幕が迫ったラグビーワールドカップ2019を前に、テレビや新聞などで上の言葉を目にした人も多いはず。この「オールブラックス」とはニュージーランド代表の愛称で、ラグビー界では当たり前のように使われている。

実はニュージーランド以外にも、多くの代表チームが独自の愛称を持っているのをご存知だろうか。今回は、ラグビーワールドカップ2019に出場する各国代表の『チームネーム』について解説しよう。

オールブラックスという愛称は「誤植」から始まった?

もっとも有名なチームネームである、ニュージーランド代表の『オールブラックス』。ジャージーからパンツ、ストッキングまで黒一色というインパクト抜群のルックスと相まって、世界的に見てもその知名度は高い。

“全身黒だからオールブラックス?”と考えがちだが、実はその由来にはいくつかの説がある。もっとも長く語り継がれているのは、1905年の英国遠征の際に試合をレポートした現地の新聞が、チーム全員がバックス選手のように縦横無尽に走り回る戦いぶりを「All Backs(オール・バックス)」というフレーズで表現しようとしたところ、「All Blacks(オールブラックス)」と誤植したのが元になった――という説。

ニュージーランド代表の愛称「オールブラックス」の由来は黒いユニフォームからではなかった?/写真 アフロ
ニュージーランド代表の愛称「オールブラックス」の由来は黒いユニフォームからではなかった?/写真 アフロ

もっとも、オールブラックスという呼び方自体は1893年の時点で存在しており(当時はラグビーチームをジャージーの色で呼ぶことが多かった)、1905年の英国遠征がきっかけでオールブラックスの愛称が「定着した」、という説もある。

そのオールブラックスが長年に渡り激闘を繰り広げてきたライバル、オーストラリア代表の愛称は『ワラビーズ』。ワラビーとはオーストラリアに生息する小型のカンガルーの総称で、ジャージーのエンブレムにも、国章とともにワラビーがデザインされている。

過去2度のラグビーワールドカップ優勝を誇る南アフリカ代表のチームネーム、『スプリングボクス』も、同じように動物の名に由来する。スプリングボックとは、アフリカ大陸南部のサバンナや砂漠に分布する、ガゼルに似たウシ科の動物。「トビカモシカ」という別名が示すように驚異的な跳躍力を誇り、四肢をそろえて3.5メートルもジャンプできる。

オーストラリア代表のエンブレム「ワラビーズ」と南アフリカ代表のエンブレム「スプリングボクス」
オーストラリア代表のエンブレム「ワラビーズ」と南アフリカ代表のエンブレム「スプリングボクス」

北半球勢には愛称なしの国も

ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの3ヵ国で争われてきた南半球対抗戦に2012年から加わり、いまや世界のトップグループの一角となったアルゼンチン代表の愛称は『ロス・プーマス』。実はジャージーの胸のエンブレムに描かれているのは大型ネコ科動物の「ジャガー」だが、1965年にローデシア(現ジンバブエ)に遠征した際、地元メディアがそれを「プーマ(英語発音はピューマ)」と誤解して報道したのが由来といわれている。

愛称で呼ばれることの多い南半球勢に対し、ヨーロッパ勢はチームネームを持たない国代表も少なくない。

ラグビー発祥国のイングランドは、純白のジャージーに赤いバラのエンブレムから『レッドローズ』や『レッドアンドホワイツ』が使われることもあるが、どちらも一般的なニックネームとはいえず、アイルランド代表とスコットランド代表も、稀にそれぞれエンブレムの「シャムロック」や「ティスル(アザミ)」で呼ばれることがあるという程度。

イングランド代表のエンブレムは「レッドローズ」/写真 アフロ
イングランド代表のエンブレムは「レッドローズ」/写真 アフロ

そんな北半球勢のなかで知名度があるのは、ウェールズ代表の『レッド・ドラゴン』だろう。レッド・ドラゴンはウェールズという国を象徴するものであり、国旗にも描かれているシンボル。真紅のジャージーで大胆にボールを展開して攻めるアグレッシブなプレースタイルも、「赤い竜」のニックネームにぴったりだ。

その他の国のチームネームと由来も列記しておこう。フランス代表は青色のジャージーから『レ・ブルー』。同じく青のジャージーを持つイタリア代表も、同国語で青色の複数形を意味する『アズーリ』が愛称だ。黒海の東岸に位置するジョージア代表は、同国で昔から行われてきたラグビーに近いコンタクトスポーツ「レロ」にちなんで『レロス』。日本代表が9月20日の開幕戦で対戦するロシア代表は『べアーズ』で、胸には熊をモチーフにしたエンブレムがあしらわれている。

南太平洋の国では、フィジー代表が変幻自在の戦いぶりから『フライング・フィジアンズ』サモア代表が勇敢な戦士たちという意味の『マヌー・サモア』トンガ代表が同国語で海鷲を意味する『イカレ・タヒ』という愛称で親しまれている。

またアメリカ代表は『イーグルス』カナダ代表は『メイプル・リーフス』ウルグアイ代表は『ロス・テロス(テロ=ウルグアイの国鳥』ナミビア代表は『ヴェルヴィッチアス(砂漠に分布する希少植物)』というチームネームを持っている。

大善戦をきっかけに、「チェリー・ブラックス」から「ブレイブ・ブロッサムズ」になった日本代表

最後に、日本代表について。日本のラグビー関係者やファンの間では『ジャパン』で呼ぶのが通例で、その時々の監督の名を冠して「平尾ジャパン」や「エディージャパン」などと称されてきた。世界的には桜のエンブレムにちなんで「チェリー・ブロッサムズ」として報道されることが多かったが、ニュージーランド出身者が多数名を連ねながら国際試合で不甲斐ない敗戦が続いた時期には、「チェリー・ブラックス」と揶揄されたこともあった。

その流れが変わったのが、2003年のラグビーワールドカップオーストラリア大会だ。向井昭吾監督、箕内拓郎キャプテン率いる日本代表は、大方の予想に反しスコットランドとの初戦で感動的な大善戦を見せた。その勇敢な戦いぶりを伝える翌日の地元紙の見出しに掲載されたのが、『ブレイブ・ブロッサムズ(BRAVE BLOSSOMS=勇敢な桜の戦士たち)』の文字だった。

桜のエンブレムが特徴の日本代表。チーム愛称は「ブレイブ・ブロッサムズ」/写真 アフロ
桜のエンブレムが特徴の日本代表。チーム愛称は「ブレイブ・ブロッサムズ」/写真 アフロ

これ以降、日本代表の愛称として『ブレイブ・ブロッサムズ』が浸透していき、海外のメディアでも使われるようになった。2015年のラグビーワールドカップイングランド大会で南アフリカを破るというラグビー史に残る金星を挙げたこともあり、現在ではすっかりジャパンのニックネームとして定着している。

「名は体を表す」といったものからユニークな由来を持つもの、特別な思いが込められたものまで、バラエティに富んだ愛称を持つ各国のラグビー代表チーム。その意味を意識しながら試合を見れば、また違ったおもしろさが感じられるかもしれない。

  • 直江光信

    1975年熊本市生まれ。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)

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