秋山ゆずきの『カメ止め』後 『ゾロリ』&斎藤工 監督作へ挑戦!

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舞台「かいけつゾロリとなぞのスパイ・ローズ」の稽古場でインタビューに答えた秋山ゆずき(写真:竹内みちまろ)

製作費300万円&2館での上映から始まった映画『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督/以下『カメ止め』)。最終的に300館以上で公開され、興行収入も31億円超を記録。平成最後の年に起きた“日本映画史始まって以来の奇跡”として話題を集めた。現在でも、上田慎一郎監督の新作の公開情報が注目を浴びるなど、『カメ止め』の製作陣やキャストたちのその後の活躍が話題となっている。

『カメ止め』にヒロイン役で出演した秋山ゆずき(26)は、同作の大ヒット後、舞台、朗読劇、音楽劇、テレビドラマなどに出演中。2020年2月公開予定の齊藤工監督映画『COMPLY+-ANCE』では主演として、『カメ止め』後初の映画出演を果たす。

上田監督の新作公開で『カメ止め』を過去のことに感じるように

——まず、“カメ止め現象”への想いをお聞かせください。

秋山ゆずき(以下、秋山):『カメ止め』は2017年11月に6日間限定でイベント上映され、2018年6月23日に2館での公開が始まりました。一挙に拡大上映されたのは、2018年8月の頭からです。私は、拡大上映が始まったころから今年の3月くらいまで、『カメ止め』のキャストや製作陣の方々と毎週のようにお仕事で会っていました。それ以降は、みんな忙しくなって徐々に『カメ止め』関連のお仕事やイベントなどで会うことはなくなっていきましたが、代わりに今は、みんなの活躍をテレビなどで観ています。形が変わってもみんなに会えていることは『カメ止め』のおかげだなと実感しています。

“カメ止め現象”として振り返るほどの実感はなく、正直まだ、“その中”にいるような感じがしています。先日も、濱津さん(隆之:『カメ止め』では主人公の映画監督・日暮隆之役)と、『カメ止め』っぽい役柄で共演したのですが、私たちにとってはまだ、『カメ止め』は「あのころは、ああだったよね」と言い合えるえるほど遠いものではない気がしています。

ただ、上田監督の『カメ止め』に続く長編映画第2弾『スペシャルアクターズ』が10月公開と聞くと、みんな次に向けてどんどん色々なことをしているなと感じます。今までは毎日のように一緒にいたのですが、知らないことも増えてきて、ちょっとずつ『カメ止め』を過去のことに感じるようになってきてはいます。

空前の大ヒットを“行列”“Tシャツ”“声掛け”で実感 「あの映画、すごいのだな」

——『カメ止め』は作品に対する自信はあったのですか?

秋山:まさかこんなにたくさんの人に愛してもらえるとは本当に思っていませんでした。『カメ止め』は、お芝居や映画が大好きで、面白いものを作りたいと思っている人たちが集まって、それぞれがやりたいことや“自分自身に対する一生懸命さ”に向かって突き進みながら作った映画です。みんな、“ただ、ただ必死”でした。完成したものを試写で観たときも、自分が出ているのに、客観的に面白くて笑ってしまったくらいないので「面白い映画だな」とは感じていましたが、まさかここまでヒットするとは本当に誰も思っていませんでした。

——社会現象化する中で、「これは、すげえ!」と思ったことはありますか。

秋山:朝の情報番組で「連日、チケットが取れない」というニュースを見たときは、「ほんとにザワついてきているのだ」と実感しました。私は、チケットや入場待ちの行列を生では見ていなかったのですが、情報番組で、列に並んでいる人に「どうして観に来ているのですか?」とインタビューをしていました。

また、去年の8月に、「カメ止めTシャツ」を着ている人とすれ違ったことがあります。撮影のために京都にいて、撮影所がある太秦の辺りを歩いていたのですが、向こうから来る男性が「カメ止めTシャツ」を着ていました。嬉しくなって、「『カメラを止めるな!』を観てくれたのですか! 私、出てたんですよ!」と話し掛けちゃいました。その方は、「え? あっ、……はい」とひたすら驚いていましたが、そのことを上田監督に言ったら、「お母さんが買ってきて、着てたんじゃない?」と笑っていました。

今は、ごはんを食べていたりしても、「出てましたよね!」「観ました! 面白かったです」と声を掛けていただくことが増えました。私に気付いてくれる方はみんなテンションが高いです。しかも、まだ『カメ止め』を観ていない人まで「まだ観てないのですが……」と声を掛けてくれます。それまでは、街中で声を掛けたことも、掛けられたことも一度もなかったのですが、今は前とまったく同じことをしていて、声を掛けられるようになりました。「あの映画、すごいのだな」と感じています。

現在は様々なことに挑戦 『カメ止め』が背中を押してくれている!

——“『カメ止め』後”の活動方針やキャリアプランを意識し始めたのはいつごろ?

秋山:去年の8月に拡大上映が始まったタイミングから、ドラマやCMに出させていただくようになりました。初めてのことばかりで、とにかく必死でした。「今後、どうしていこう」などと考える時間がないくらい充実した毎日を過ごさせていただきました。

バラエティ番組にも出演させていただくようになったのですが、テレビで見ていた芸能人の方を初めて生で見るようになって、最初のころは、「ああ、あの人がいる。見過ぎちゃいけないけど、見たい。やっぱ綺麗なんだ!」と心臓がドキドキでした。マネージャーさんから「平常心でできるようになりましょうね」と注意され、落ち着く振りをするようになりましたが(笑)。

私自身はそんな感じなのですが、たくさんの方が『カメ止め』を観たと言って優しく声を掛けてくださります。『カメ止め』はみんなが私のことを知ってくれたキッカケになりました。“ひとつの映画が会話のキッカケになる”って、すごいことなのだなと実感しています。去年が“平成最後”だったこともあり、人生の中でも『カメ止め』のヒットは大きな節目の出来事になりました。

——多方面で活躍されていますが、今後の活動の中心は役者?

秋山:私の中で、「役者一本で」とは思っていないです。イベントに出演することも楽しいですし、バラエティも面白かったです。そういった分野でも色々と活動していきたいと思います。

今後のキャリアについては、拡大上映から1年が過ぎた今、ようやく考え始めるようになりました。ただ、「こういう役者になりたい」とか、「こういう路線で行きたい」というのは決めていないです。そのとき、そのときにやりたいことや興味があることに挑戦していけば、また、新しいやりたいことが出てくるのかなと思っています。

今の事務所(アソビシステム)に所属したのが『カメ止め』の公開が始まる前の昨年6月頭でした。そのときはネット配信に興味を持っていて、配信者を集めたグループを作るアソビシステムのオーディションに応募しました。ネット配信も面白いと思いますし、声優など声のお仕事にも興味があります。

変化という点では、『カメ止め』の大ヒットがあってからさらに色々なことに興味を持ち始め、同時に勉強するようになりました。それまでは、映画やドラマもただ好きなものを楽しく観ていたのですが、今は「この役者さんはこのシーンでどういう気持ちでお芝居しているのだろう」と考えますし、日本語でお芝居をしているドラマなのですがテレビの字幕機能で字幕を出しながら、間の取り方やお芝居の動きを勉強することもあります。

『カメ止め』の大ヒットで可能性が広がりましたが、“何でも挑戦しよう精神”を持てるようになったのは、『カメ止め』が背中を押してくれているからだと思います。

秋山ゆずき:“「カメ止め」後”初の映画出演は齊藤工監督の「COMPLY+-ANCE(コンプライアンス)」(2020年2月)(写真:竹内みちまろ)

上田監督の妻・ふくだみゆき監督に悩み事を相談

——“『カメ止め』後”の活動方針や、セルフプロデュースの方向性などについて、『カメ止め』の製作陣やキャストたちと話したりするのですか?

秋山:上田監督とは話していないのですが、上田監督の奥様のみゆきさん(ふくだみゆき/映画監督)とは、真魚(女優/「カメ止め」では主人公・日暮隆之の娘・日暮真央役)と、上田監督とみゆきさんの息子さんとの4人で公園に行って、息子さんがお昼寝しちゃってからベンチで話をしました。

ちょうと第42回日本アカデミー賞の授賞式(2019年3月1日:『カメ止め』は優秀作品賞をはじめ、上田監督の優秀監督賞と優秀脚本賞、濱津の優秀主演男優賞など合計8部門で受賞))が終わったくらいで、みゆきさんから、「これからどうしていくの?」と聞かれました。私は「ドラマやCMなど映像のお芝居に出てみて、『こんなにも知らない世界があったのだ』と驚いています。なので、とにかく今は、もっと、もっと色々な現場を経験し、学んでいきたいです」と答えました。

真魚も「ドラマの現場って、こんなにもスピーディーなんだ」と驚いていましたし、私も「ドラマの現場って難しいよね。もっと、色々なことが出来るようになりたいよね」と話しました。

——ふくだ監督には悩み事を相談する?

秋山:たくさんします。私は若く見られることが多いのですが、もう26歳なので、「年上の役もやれるようになりたい」と相談したとき、みゆきさんは、「それぞれの自分らしさがあるので、ゆずゆずはわざわざ大人に寄せたりする必要はないんじゃない。若く見られるゆずゆずがいいと思って声を掛けてくれる人もいるだろうし」と言ってくれました。「大事なのはゆずゆずの心だよ。やりたくないと思ったことはやらなくていいし、やりたいと思ったら必死で頑張ればいいだけ」と背中を押してくれたりします。

上田監督とみゆきさんはすごく細かいフォローまでしてくれます。上田監督は私たちのお父さんみたいな存在で、みゆきさんはお母さんです。このところ新作の編集が忙しいようで、上田監督ともみゆきさんとも会っていないのですが、落ち着いたら「また公園に行きましょう」と話しています。

秋山ゆずき:「カメ止め」はみんなが私のことを知ってくれたキッカケになりました。(写真:竹内みちまろ)

舞台「かいけつゾロリ」に出演…『カメ止め』のおかげで夢がまたひとつ叶います

——9月7日にはヒロイン役で出演する舞台『かいけつゾロリとなぞのスパイ・ローズ』が東京で開幕し、10月6日の大阪公演まで全国を回ります。どんな作品なのでしょう。

秋山:『カメ止め』後にメインキャストとして出演する舞台は2作品目です。人気児童書シリーズの舞台化作品なのですが、子どもたちも観ることができるように、原作の中にある2話を1時間に凝縮して上演します。一番のポイントは、なんと言っても、子どもたちが一緒に考えたり、お父さん、お母さんと一緒に体を使って遊べたりするところです。私の役柄は悪の組織と戦うスパイなので、そこまで子どもたちとコミュニケーションを取る機会はないかもしれませんが、子どもたちは、キツネの主人公であるゾロリと一緒に遊べます。

——出演したいと思ったキッカケは?

秋山:子どもが大好きで、“歌のお姉さん”ではないですけど、ずっと子ども向きの仕事をしたかったのです。舞台のイベントで、名古屋にゾロリ(の着ぐるみ)と一緒に行ったのですが、2歳くらいの子でも「ゾロリ!」とちゃんと言えて、お母さんも「この子、家でずっとゾロリの歌を歌っているんですよ」と微笑んでました。今回、この舞台に出演することができたのも『カメ止め』があったからですし、『カメ止め』のおかげで夢がまたひとつ叶います。

『カメ止め』以降初の映画出演は齊藤工監督作品

——『カメ止め』以降の映画出演は、主演映画となる齊藤工監督(俳優の斎藤工)の『COMPLY+-ANCE(コンプライアンス)』(2020年2月公開予定)が初めてですが、齊藤監督の印象は?

秋山:オファーをいただいて、すぐに「やります!」とお返事しました。コンプライアンスは文字で読んだら硬いと感じることもあるテーマなのですが、それをこんなにも面白く、楽しく、かつ分かりやすく伝えてしまうって、齊藤工さんは天才だなと思いました。

——演じるうえで、齊藤監督からはどんな依頼があったのでしょう。

秋山:齊藤監督からは、「秋山さんが普段感じているコンプライアンスに対する想いを爆発させてください!」と言われました(笑)。

秋山ゆずき:「カメ止め」を振り返る「みんな、“ただ、ただ必死”でした」(写真:竹内みちまろ)

『カメ止め』のプレッシャーは上田監督に全部お任せ

——今後のことは考え始めたばかりとおっしゃっていましたが、『カメ止め』ヒロインとしてのプレッシャーはありますか?

秋山:最近、取材の方から「役者としてどういうところを目指しますか?」と聞かれる機会が多く、「自分は役者というカテゴリーなのだ」と思うようになりました。職業的な肩書については、それまでは、お芝居をしているときは役者だし、バラエティ番組に出るときはタレントだし、歌を歌ったときは歌手と呼ばれるのかなと思っていました。

役者としてのスキルは身に着けていかなければとは思っているのですが、「役者」という肩書にこだわりはなくて、自分らしく楽しく生きていて、その先に、何かを残して行ける作品ができたらいいなと思っています。

最近、「“カメ止め後初の何々”ですが、プレッシャーは?」ともよく聞かれます。「『カメ止め』で一時期、話題になったけど見なくなったね」と言われないように頑張らなければと思いますし、『カメ止め』という看板をいただいたからには名を汚さないようにはしようという気持ちはありますが、“『カメ止め』のヒロイン”としてのプレッシャーは正直、ぜんぜんなくて(笑)

——みなさん、『カメ止め』キャストとしてのプレッシャーは感じていない様子ですか?

秋山:『カメ止め』は、みんなが好きで出演したものがたまたまた大きくなったのですが、先日、濱津さんのインタビューを読みました。濱津さんは「他のみなさんはドラマなどに出ていますが羨ましいなと感じますか?」と聞かれて、「一切、感じません。みんな頑張っているし、僕はもともとアルバイトをしていたので」と答えていました。それを読んで「私もそうだな」と思いました、『カメ止め』のキャストは、ある意味では、みんなそうなのではないかなと思います。

——上田監督は、プレッシャーを感じている?

秋山:上田監督は作る側なので、プレッシャーは相当、感じていると思います。上田監督にとっては一生、『カメ止め』がプレッシャーになり、そのプレッシャーを抱えて生きていくのだろうなと思います(笑)。でも、それを楽しく跳ねのけてしまうのが上田監督なので、私もSNSに「上田さんの新作、楽しみ!」と書いちゃいます。それがまたプレッシャーになってしまうと思いますが、みんながみんな「楽しみ」と思うくらい、上田監督は人をワクワクさせる方だと思います。

——『カメ止め』のプレッシャーは、上田監督一人にお任せという感じでしょうか?

秋山:そうですね。上田監督に背負っていただきましょう(笑)。私たちも、何年後かに集まって、みんなで「あのときはああだったよね」と楽しく言い合えるくらい、個々で活躍していきたいと思います。

***

秋山には舞台『かいけつゾロリとなぞのスパイ・ローズ』の稽古場でインタビューをさせてもらったが、質問に気さくに答えてくれ、特に同作で子どもたちと触れあることを紹介する際は、ひときわ嬉しそうな表情をしていた。そんな秋山に「夢は?」と尋ねてみると、「ディズニー映画が大好きで、『トイ・ストーリー4』もすぐに観に行きました。作るのかどうか分かりませんが、『トイ・ストーリー5』に、新しいおもちゃの日本語版吹替え声優として出演したいです!」と声を弾ませた。「『カメ止め』のおかげで夢がまたひとつ叶います」と目を輝かせた秋山のますますの活躍に期待したい。

 

プロフィール:秋山ゆずき

1993年4月14日生。埼玉県出身。特技はクラシックバレエと水泳。映画「カメラを止めるな!」でヒロイン役を演じ、注目を集める。2008年に芸能界デビューして以降、現在までに約50本の舞台に出演し、その経験で得た高い演技力・表現力が評価されており、テレビ朝日「科捜研の女SP」、CX「スキャンダル専門弁護士〜QUEEN〜」に出演する等、本格派女優としての活躍が期待されている。

秋山ゆずき:舞台「かいけつゾロリとなぞのスパイ・ローズ」で夢だった子ども向けの仕事が実現(写真:竹内みちまろ)
  • 文・撮影竹内みちまろ

    1973年、神奈川県横須賀市生まれ。法政大学文学部史学科卒業。印刷会社勤務後、エンタメ・芸能分野でフリーランスのライターに。編集プロダクション「株式会社ミニシアター通信」代表取締役。第12回長塚節文学賞優秀賞受賞。

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