50歳で日本一 “奇跡”を起こした谷口徹の「強さの秘密」

ゴルフ「日本プロ選手権」で尾崎将司を超える最年長で優勝

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インタビューでは、「勝ちたくて必死だった」と語った谷口。己を貫き続けた男は、すでに次の優勝を狙っている

「奇跡だと思う」。言葉を詰まらせ男泣きする姿にギャラリーももらい泣き――。

5月13日が最終日だった男子ゴルフツアー「日本プロゴルフ選手権」で谷口徹が藤本佳則(28)とのプレーオフを制して優勝。尾崎将司の49歳109日の記録を上回る50歳92日で、22年ぶりにこの大会の最年長優勝記録を塗り替えた。国内3大大会としても最年長の優勝となった。

身体が大きいわけでも飛距離があるわけでもない谷口の勝因についてティーチングプロ・桑田泉氏が言う(桑田泉氏は元プロ野球選手・桑田真澄氏の実弟で、真澄氏と谷口はPL学園高校の同級生)。

「兄貴は谷口さんと一緒にラウンドをしていて『あいつ、本当に曲がんないんだよなあ』と感嘆していました。プロだからボールが曲がらなくて当たり前と思われるかもしれませんが、谷口さんが凄いのは、どんな場合でも正確なショットが打てるということです」

実は谷口は3年前から肉体改造に取り組んでいる。だが、飛距離は伸びたものの柔軟性を失い、スイングのバランスが崩れた。そこですっぱり筋トレをやめて優勝。自分流が正解だったのだ。しかし、正確なだけで勝てるほどプロは甘くない。彼の強みは何か。

「周りを気にしないことです。周りにどう言われようが自己流を貫く。谷口さんから『自分は(クラブヘッドの)入射角しか考えていない』と聞いたことがあります。プロはクラブがボールに当たる瞬間、飛ぶ方向を見ず、ボールを注視しますが、彼はインパクト後でさえも顔がほとんど動かない。谷口さんのスイングだと飛ばないし、かっこよくもないけれど、物理学的、力学的に正しい。それをブレずにやり続けるのが彼の強さです」

また谷口といえば歯に衣着せず思ったことをずばずば口にすることで知られる。以前、日本プロゴルフ選手権が悪天候で中止になったときには、「予備日を設けないなんて、ローカル戦と一緒だ」と批判し物議をかもした。この日も、若手へのアドバイスを求められ、「優勝や結果への貪欲(どんよく)さがない。トップ10で満足していてはダメ」と厳しく指摘した。人間的にはどんな人物なのか。桑田氏が言う。


「ぼくが高校1年のとき谷口さんは3年でしたが、彼のお母さんが兄貴に、『うちの息子は言うことを聞かないから真澄くんから言ってやってよ』とこぼしていたのを覚えています。私個人としては、’00年にツアーデビューしたときから、アドバイスをしてもらうようになりました。みんなは怖いと言っていましたが優しくていい人。PLの先輩として尊敬しています」

谷口にとってツアー優勝は実に6年ぶり。一時はシニア登録も考えたというが、今回で5年シードを手に入れた。

「諦めなければ50歳でも日本一になれる。ジャンボさんのツアー優勝最年長記録(55歳241日)を超えたい」

谷口の挑戦は続く。

プレーオフ2H目。先にパーパットを沈めた藤本が見つめる中、5mのバーディーパットを沈めた谷口

写真:時事通信

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