トランプ×金正恩 米朝首脳会談で起こりうる「最悪の事態」 | FRIDAYデジタル

トランプ×金正恩 米朝首脳会談で起こりうる「最悪の事態」

最初にぶちかます、それが大統領の常套手段

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国際協調のイラン核合意からの離脱も表明

「そんなこと常識人なら絶対にやらないということを平気でやるのがトランプ大統領です。パリ協定(気候変動抑制に関する国際協定)を脱退したり、突如エルサレムをイスラエルの首都に認定したり……。つまり米朝会談においても、『最悪のケース』は十分にあり得るでしょう」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)

全世界が注目する、史上初の「米朝首脳会談」が近づいている。6月中には実現の見込みとされ、シンガポールなどが開催地の候補として挙がっている。

米国・トランプ大統領が要求する「完全非核化」を北朝鮮の金正恩委員長が全面的に呑めば、日本にとっても大朗報。北からいきなり核ミサイルが降ってきて、東京が全滅……などという悪夢から解放されることになるが、そう簡単に行くかどうかと言えば、まだ怪しい。

「トランプ氏の交渉手法は、『ディール』(取引)。基本的に、最初にガツンとやってしまおうというものです。韓国とFTA(自由貿易協定)でやりあった際には、交渉担当者に『トランプは頭がイカれているから、怒らせると何をするか分からない』などとあえて言わせ、主導権を握った。今回も同様の『ディール』で金正恩氏に対し、いきなり吹っかけてくる可能性はあると思います」(前出・山田氏)

初対面から「上から目線」なのがトランプ流だ。フランスのマクロン大統領が訪米した際も、馴れ馴れしく肩をポンポンと叩きながら、「どちらが上か」をわざわざ世界に示そうとした。

「当然、金氏に対しても同様の態度を取ると思います。さすがに机をバーンと叩いて『Youʼre fired!』(お前はクビだ!=テレビMC時代のトランプ氏の決め台詞)とまでは言わないにしても、パフォーマンス的な意味も含め強く出て、両者が『衝突』する場面はあるのではないかと考えられます」(前出・山田氏)

バラエティーなら面白いかもしれないが、舞台は世界の今後を左右する国際交渉の場である。トランプ氏が「一発カマす」ことで、その後どんな事態が生じるのかは、まったく予断を許さない。

そもそも今回のイベントは、「とりあえず会う」という点で米朝は合意しているが、では実際に何を約束するのかという話になると、最大の焦点である「朝鮮半島の非核化」を中心に、両国のスタンスには大きな隔たりがある。

「米国側は『北朝鮮が非核化すれば体制を保証する』と言っているのに対し、北朝鮮側は『体制を保証するなら非核化に応じる』と主張しています。つまり互いに『そっちが先にやれ』と言っている。金委員長としては、核実験場の廃棄などで先に譲歩したのだから、次はトランプ氏の番だというわけですが、それにトランプ氏が応じるのかどうか」(『コリアレポート』編集長・辺真一氏)

韓国・北朝鮮による南北共同宣言では、「非核化に向けて努力する」との一文が盛り込まれたが、あくまで「努力」であり、金委員長自身が「非核化」に言及したことは一度もない。北朝鮮は、’94年のジュネーブ合意(米朝枠組み合意)、さらに’05年の6ヵ国協議(日米中韓ロ朝)でも「核放棄」を宣言しながら、結局はそれらを時間稼ぎに利用しただけで、核開発を続行してきた経緯がある。

「これまでは合意があっても、毎回スゴロクで言うところの『振り出し』に戻ってしまった。今回も何らかの合意文書が出ることは間違いないでしょうが、『二度あることは三度ある』になってしまうのか、それとも『三度目の正直』になるのか、まだ誰にも分からない」(前出・辺氏)

こうした中、5月7日に金委員長は中国を電撃訪問し、大連で習近平国家主席と会談。習氏とは3月に会ったばかりだが、トランプ氏との「対決」を控え、後ろ盾である中国・習氏との絆を再びアピールした。同時に北朝鮮は、「人権問題をたてに圧力をかけている」などと、ここに来て米国批難を再開してもいる。交渉の主導権をめぐり、駆け引きは激しさを増しているのだ。

「米朝会談で何らかの合意や共同宣言が出ても、北朝鮮がそれを守らない、非核化しないということになれば、米国は叩くしかない。トランプ大統領は、武力行使に踏み切ることになる」(辺氏)

トランプ氏が「fire!」と叫び、それが戦いの火ぶたを切ることに……なんてことにならないよう祈りたい。

金氏のほうは、3月に続き、5月7日にも中国を電撃訪問し、習主席との親密さをことさらアピールした

写真:ロイター/アフロ、時事通信社

 

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