楽天・茂木栄五郎「どん底にいるから、わかることもある」 | FRIDAYデジタル

楽天・茂木栄五郎「どん底にいるから、わかることもある」

ヒジの大けが、不整脈、チームは最下位

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もぎ・えいごろう ’94年2月、東京都生まれ。小学校1年の時に野球を始め、桐蔭学園から早大に進学。昨季までのプロ2年間で打率.287、24本塁打。身長171cm、体重75kg。右投げ左打ち

「人生の中で何度か、野球ができないどん底のツラい状態を経験しました。だからこそ試合に出られる光栄さを感じ、ミスをしてもがんばろうと思えるんです。どんな状況でも受け身にならず、バットを強く振るように意識しています」

楽天イーグルスの茂木栄五郎(24)が語る。茂木は1番打者で遊撃手という攻守の要。最下位に沈むチームが再浮上するための、キーパーソンなのだ――。

茂木の野球人生は逆境の連続だ。桐蔭学園(神奈川県)から早稲田大学に進学すると、1年の春からレギュラーに定着。いきなりベストナインに選ばれた。だが2年生の秋に最初の試練を迎える。心拍が不規則になる不整脈で、足のつけ根からカテーテルを心臓まで通して治療する大手術を受けたのだ。

「1ヵ月以上、ボールを握れませんでした。本当に歯がゆかったです。ただ、病院のベッドで自分を見つめ直すいい機会を得た。スポーツをできる喜びというか、野球に集中できるありがたみが身にしみて分かったんです。バットが振れないため、ウェートトレーニングに時間をかけたのも良かった。打球の飛距離が格段に伸びましたから」

病気から復調し3年秋には首位打者を獲得した茂木は、ドラフト3位で’15年に楽天へ入団する。1年目からレギュラーに抜擢され打率2割7分8厘、7本塁打の活躍。2年目の昨季も順調に成績を伸ばし、6月上旬までに打率はチームトップの3割1分9厘、12本塁打と打線を牽引した。だが、再び試練が茂木を襲う。


「6月17日に行われた、阪神との交流戦でのことです。ファウルを打った瞬間に右ヒジに激痛が走り、力が入らなくなってしまった。5月からなんとなく痛みを感じ、練習量を抑えるなど対処していたんですが……。すぐに仙台に戻り診察を受けました。当初は2週間ほどで復帰できる見通しでしたが、なかなか良くならない。握力が戻らず、ペットボトルのフタも開けられないほどでした」

再検査を行うと、結果は右ヒジ骨挫傷だった。優勝争いをするチームの良い流れを止めてしまうのではないかと、悶々(もんもん)としながらリハビリに励む日々。7月下旬に復帰したが成績は伸び悩んだ。


「思い通りのバッティングができず、気持ちが消極的になっていたんです。転機となったのが9月のロッテ戦でした。試合前に高校の先輩、鈴木大地さんに挨拶に行ったんです。そこでこう声をかけられました。『プロの選手はみんな、どこかしら痛みを抱えてプレーしている。ケガを言い訳にしてはいけない。打てなくても落ち込むんじゃなくて、次の打席で気持ちを切り替え明るくやってみたら。反省は試合が終わってからすればいい』と。気持ちが晴れましたね。消極的な自分を反省しました。ネガティブな考えが、いかに自分の足を引っぱっているのかに気づかされましたから」

昨年オフの11月に、茂木は右ヒジのクリーニング手術を受けた。現在は100%回復し、積極的な打撃が戻りつつある。

「1番打者に求められるのは、高い出塁率です。ただボクは、四球を選び盗塁で二塁に進むようなタイプではない。二塁打を打って、チャンスを作るのが自分の持ち味。そのために、甘い球は1球目から打っていこうと意識しています」

何度も試練を乗り越え一皮むけた若きリードオフマンが、チームを引っ張る。

5月4日の西武戦で2号本塁打を放つ。漫画好きで愛読書はサッカー選手を主人公にした『ジャイアントキリング』

昨年11月に内視鏡を入れ軟骨を除去した右ヒジ。現在はまったく痛みを感じず守備にも支障はない

本誌未掲載カット

本誌未掲載カット

撮影:黒澤崇

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