大ブーム!1万円から始めるキャンピングカー生活
いまの車で始めるか レンタカーを利用するか 思い切って買ってみるか
今年のGW、車で出かけた人は、キャンピングカーをたくさん見かけたのではないだろうか。かつては一部の愛好家のものだったが、今や一般に普及している。日本RV協会によると、総保有数は10万台を超え(’16年)、業界全体の売り上げは約365億円に達したという。
「ひと昔前は、キャンピングカー=アウトドア、キャンプ場というイメージが強かったのですが、キャンピングカーに泊まりながら街から街へ、という新たな旅のスタイルが浸透し、需要のすそ野が拡がりました」(日本RV協会)
軽キャンピングカーや、ハイエースを改造したワンボックスカータイプだけでなく、最近は大型で1000万円を超えるものが結構売れているという。
キャンピングカーに力を入れて店作りをしている、スーパーオートバックス市川店の森本勝久さんも、ここ1~2年、特に需要が高まりを実感している。
「まだキャンピングカーを持ってはいないけれど、何回も当店に通われていつか買いたいと夢を持っている方もいらっしゃいます。店頭でも、いろいろと質問をしてくれるお客様も増えてきていて、大ブームになってきているようです」
興味はあるが二の足を踏んでいる人には、レンタカーを借りる方法もある。
「今年のGW期間中は、売り上げ、予約件数とも昨年の1.5倍でした。今年は17台増車して49台用意しましたが、満車で予約をお断りしている状況ですから、実際の需要はもっとあると思います」(東京キャンピングカーレンタルセンター)
最も安いプランなら約1万円で12時間借りられる。これなら手軽にキャンピングカー生活を楽しめる。キャンピングカーには、具体的にどんなメリットがあるのか。『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』の著書があるキャンピングカーライフ研究家・岩田一成氏はその魅力をこう話す。
「移動手段であると同時に、生活できる”動く家”でもあるので、思い立ったらすぐ出かけられるのが一番ですね。宿を予約しなくてもいいし、宿泊費もかからない。我が家はペットを飼っているのですが、ペット可の宿を探す手間もなく、どこにでも連れて行ける。それにキャンプ場を利用して旅をしようと思うと、毎回テントを設営しなければいけませんが、その必要もありません」
観光地や秘湯巡りはもちろん、野生動物の観察や撮影、登山や釣りやカヤックなどに利用している人もいる。「趣味のベース基地として使う人が多く、Wi-Fiにつなげれば仕事だってできてしまう。まさに移動式別荘です」(岩田氏)
震災の際、避難所の代わりに利用されたり、ボランティアの拠点となったこともあった。それがキャンピングカーが見直されるきっかけとなったのだ。
最近は車中泊公認の有料駐車場「RVパーク」も増えている。家族連れや若者、シニア、誰でも楽しめるキャンピングカー生活。興味さえあれば、明日からでも始められるのだ。
取り回しが楽で、価格もお手頃 最初に買うなら「軽キャンパー」
キャンピングカーは欲しいが値段的にも、置き場的にも大型車はムリ、という方にお勧めなのが軽自動車のキャンピングカー=軽キャンパーだ。
「昨年から圧倒的に売り上げが伸びています。最初はキャンピングカーは高くて手が出せないとおっしゃる方もいるのですが、ノーマルな軽自動車でも200万円前後出さないと新車を買えない時代ですし、ノアなどのミニバンクラスは250万~350万円ほどしますから、それより割安で、装備も充実している軽キャンパーが選ばれるようです。軽自動車だと狭い道も問題なく通行できるなど取り回しもラクですし利点も多い」(『オートワン』代表取締役・青木秀之氏)
同社の一番人気はスズキのエブリイをベースにした『給電くんポップアップルーフ』で価格は214万8000円から。
「広く空間を使え、普段の走行はルーフを閉めれば軽自動車サイズで走ることができます。ルーフを上げた状態なら、立って着替えができるなど開放感があります。ポップアップすれば、上に2人、下に2人合計4人寝られます」
他に『ピッコロキャンパープラス』(149万円~)や『愛犬くん』(169万9000円~)も人気という(ともにベース車はエブリイ)。『愛犬くん』はペット同乗に特化したタイプで、大人2人とペット2匹が寝ることが可能で、ペット専用の足洗い場がついている。
オリジナルの軽キャンパーを販売しているのが『岡モータース』。
「以前は、メーカーの軽キャンパーを扱う代理店だったのですが、納得がいくものがなく、私達が乗りたい軽キャンパーを追求して作り上げました。軽キャンパーですが、内容のクオリティには非常にこだわっています」(同社・岩崎聡氏)
同社の『ミニチュアクルーズ』はスズキのエブリイの内装をキャンピング仕様にしてある(169万円~)。ベッドなどの内装に加え、サブバッテリーもついている。『COZY』は今年の新しいモデルでプレミアムクラス(208万円~)。照明の調光機能が細かく、後部の引き出し式の収納スペースが特徴で、脱着式で調理やテーブルとしても使える。
「当社の車は就寝定員を2名に設定しているので、ご夫婦やカップルの方々に人気ですが、シニア層だけでなく、お子さんに手がかからなくなった30代、40代の方々にも人気です。最近は登山や釣りをはじめアウトドアブームなので、駐車スペースを確保するために、前泊して早朝から登山などということも、軽キャンパーなら手軽にできます」(同)
キャンピングカーライフを楽しむ車として最も低価格なのが、軽トラックの荷台部分に居住スペースを取り付けるタイプだ。専門に販売する『JUSETZマーケティング トラベルハウス』代表取締役・武智剛氏が解説する。
「ハウス(居住スペース)は女性でも一人で取り付けられます。ハウスの価格は最も安いもので78万円から。120万円ぐらいの中央価格帯がよく売れます。ほぼフルオーダーでお作りするので、4人で就寝するために二段ベッドをつけたり、窓を追加してほしいという注文にも対応できます。軽トラックを持ち込んでいただければ、車種はなんでもかまいません。お客さまによっては、移動事務所や移動店舗として利用されている方もいます」
サブバッテリーはオプションだが、外部電源から取り込むことができ、100Vで電子レンジやドライヤーなど電化製品が使える。ただし、最近のブームを反映して納期は数ヵ月待ちという。
給電くんポップアップルーフ/214万8千円~(税別)
ミニチュアクルーズ/169万円~(税別)
トラベルハウス/78万円~(ハウス部分のみ・税別)
いまある自分のクルマでキャンピングカー気分を味わいたいという人もいるだろう。「必要なのはまずベッド」と言うのは、自らもキャンピングカーを作ったルーフテント販売店・ダイキ代表の森茂樹氏だ。
「実際にキャンピングカーを購入しても、トイレやキッチンを使わない人が多いですね。トイレが完備された場所で泊まることが多いし、車が汚れるのを嫌う。キッチンで料理をすれば生ゴミが出てしまいます。ベッドは基本ですが、空気を入れるタイプは腰によくありません。スノコの上にマットを敷いたほうがずっとよく眠れます」
遮光カーテンや網戸も必要不可欠だ。他にあると便利なのがルーフテント。普通の乗用車のルーフに乗せるもので、自動開閉式の電動タイプが人気が高い。オートキャンプをする場合などは、車の横に伸ばして広げる屋根のようなサイドオーニングがあると、雨や日差しを避けられる。
「ポータブル電源」もお勧めだ。携帯の充電やポータブルテレビを見る程度ならまかなえるし、1万数千円から売っている。前出の岩田氏はソーラーパネルを屋根に積んでいる。
「今使っているのは200Wのものですが、夜電気を使って、翌日天気がよければ午前中で満タンになる。価格は20万円ほど」
いずれにしろ、「なるべくシンプルにしたほうが快適」というのが森氏のアドバイスである。