九州北部発「線状降水帯」豪雨 数時間で公園が巨大な池に変貌
JR佐賀駅前は水没、家の中は泥だらけ……。積乱雲の塊の脅威をフォトルポ
「午前5時頃、あまりにすごい雨音で眼が覚めました。窓の外に眼をやると、まるで滝の裏側にいるみたいな感じで全然先が見えない。前夜に天気予報で大雨だと言っていたので少しは警戒していましたが、あんなに猛烈な雨だとは夢にも思いませんでした」
佐賀市在住のカメラマン、久我秀樹氏は8月28日早朝に九州北部を襲った大雨の様子をこう話す。しばらくして小雨になった気配を感じ、外を見ると、目の前の大きな公園が一面の巨大池に変貌していたという。佐賀・福岡両県を始めとする88万人に避難指示が出され、車ごと濁流に呑まれるなどして4名が死亡。河川流域だけでなく、佐賀県中心部にも集中豪雨が降り注ぎ、佐賀駅が浸水するなど交通にも甚大な影響が出た。
今回の豪雨について、気象予報士の原田雅成氏がこう解説する。
「8月20日頃から西日本に秋雨前線が停滞していたのですが、そこに沖縄の南海上を進んで熱帯低気圧となった台風11号が一体化してしまった。本来、秋雨前線に流れ込む水蒸気はあまり多くないため、しとしとと長雨になるのが普通です。ところが今回は、熱帯低気圧の暖かく湿った空気が秋雨前線に流れ込み九州北部に一気に大雨を降らせた。昨年の西日本豪雨も同じように前線が停滞した結果でした」
発達した積乱雲の塊が線状に並ぶ「線状降水帯」が今回も発生。そして9月の台風シーズンがやってきた。十分な警戒が必要だ。


佐賀駅の構内が雨水に飲み込まれ県庁所在地が水没した










『FRIDAY』2019年9月20日号より
撮影:久我秀樹写真:時事通信(佐賀市内、大町町)