紀州のドン・ファン死去から1年超 関係者への事情聴取が再開
「執念の捜査」は実るのか
「また呼ばれちゃってるのよ! もう嫌になっちゃうわよ!」
そう怒りを露(あらわ)にするのは、久々に本誌の取材に応じた「ドン・ファンの家政婦」こと竹田純代さん(67)である。
彼女が怒るのも、無理はないかもしれない。というのも、野崎幸助氏(享年77)が怪死を遂げてから約1年3ヵ月が経ったいま、再び和歌山県警が事件の関係者から執拗に事情聴取をしているのだ。竹田さんが続ける。
「8月の後半、3日連続で呼ばれましたよ。私の六本木(港区)の自宅で話を聞きたいと言うから、『近所の目があるからウチは嫌!』って伝えたの。そしたら近くの麻布警察署に呼ばれて。そこに和歌山県警の刑事が待っていました」
竹田さんはドン・ファンの遺体の第一発見者である。当然、事件直後には何度も警察署に呼ばれ、噓発見器にまでかけられて聴取されている。そんな竹田さんに、県警は改めて何を聞いているのか。
「うんざりですけど、また社長(野崎氏)の遺体を見つけたときの状況を詳しく聞かれた。それと、繰り返し繰り返し聞かれたのは、妻のSちゃん(23)と社長の仲ですね。私は『愛はまったくなくて、おカネでつながっている関係ですよ』って、知っていることを答えました。そうそう、刑事さんは『Sさんからも話をもう一度聞いている』とも言ってましたね」
竹田さんとSさんだけではなく、野崎氏が経営していた酒類販売会社の従業員たちも再び事情聴取を受けている。若手従業員が明かす。
「社長が亡くなった直後に2回聴取を受けて以来、警察から連絡はありませんでした。それが今年6月になって急に呼び出しがありまして。警察が編集した社長の自宅防犯カメラの映像を見せられて、『これは誰ですか?』と一人ずつ聞かれた。僕はただの従業員なので当然ですが、知らない人もかなり映っていました」
彼もまた、Sさんについて執拗(しつよう)に聞かれたという。
「『SさんとLINEしていた従業員はいるか』『Sさんと家政婦は仲がよかったのか』といった質問が続きました。でもやっぱり、いちばん繰り返し聞かれたのは社長とSさんの関係ですね。昨年5月、社長が亡くなる直前に田辺市内の料亭で会社の慰労会が開かれたんですが、そこで社長とSさんが些細な理由で大喧嘩したことがあったんです。『その内容を教えてほしい』とか、細かいことまで突っ込んで聞かれました」
事情聴取の内容から鑑(かんが)みるに、警察は容疑者を絞ったようにも思えるが……。「執念の捜査」が「収穫の秋」を迎えようとしている。
『FRIDAY』2019年9月20日号より
- 撮影:小松寛之(竹田さん)
- 撮影:加藤 慶(墓参り)