社労士は見た SNSで誹謗、仕事放棄…“モンスター部下”事件簿

欠勤、遅刻を続けたかと思ったら代行会社をつかって突然退職……。企業を悩まさせる超問題社員が急増している。モンスター部下の実際のトラブル集だ。

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「注意をしたら慰謝料請求された」「意識が高すぎで日常業務をバカにしている」。社労士のもとにはモンスター部下の悩み相談が多数寄せられている

「最近、『部下の言動が酷すぎて困っている』という相談を受けることが多いんです」

こう話すのは社労士の石川弘子氏だ。15年以上のキャリアのある石川氏は、さまざまな企業から労務相談を受けてきた。ここ数年増えているのが、部下のトラブルに関する悩みだという。以下は、実際に石川氏が相談を受けたモンスター部下の事件簿だ。

欠勤繰り返し代行業者を使って退職

都内にある創業30年ほどの不動産会社。ある朝、Aの担当している客から支店に電話が入った。Aは新卒で入った新入社員。客によるとAに物件を案内してもらう約束だったが、待ち合わせ時間を30分過ぎても来ないという。上司がすぐにAの携帯に電話したが出ない。

しばらくすると、Aから折り返し上司に電話が入った。

「おい、どこにいるんだ? お客様からクレームが入っているぞ」
「昨日、祖父が亡くなって……。だから今週は休みます」
「そうだったのか……。だけど大事なことは、すぐに連絡してくれないと困る。お客様にも迷惑がかかるだろう」
「はい。でも、ショックで……。次の月曜日には出社します」

Aは月曜日に出社したが、落ち込んだ様子はまったくない。Aは以前から欠勤や遅刻を繰り返していた。上司が「今回の件は大変だったが、会社には連絡してくれよ」とやんわり注意すると、「次から頑張ります!」と笑顔を見せた。しかし……。

翌朝Aは出社しなかった。電話にも出ない。上司が自宅アパートを訪ねたが、シーンと静まりかえっている。すると支店に退職代行会社から電話が入った。

「Aさんはこれ以上出社することができません。退職の手続きを進めてください」

退職理由を聞いても「一身上の都合」と答えるばかり。結局Aからはなんの説明もなく、社員は彼の担当していた案件の対応のため謀殺されることになった。

社員への誹謗中傷をSNSにアップ

「申し訳ないですが、今月で御社との契約を終わらせていただきます」

オフィス機器リース会社の課長は突然、取引先から契約解除を言い渡された。相手が怒りを含んだ口調で理由を告げる。

「御社営業のBさんのトンデモない動画がSNSに出ていますよ。弊社もコンプライアンスを重視しています。こういった動画を載せる会社とは取引できません」

青ざめた課長が若手社員BのSNSを調べると、全裸で局部をお盆で隠しながら踊る動画が……。他にも社員がいて大笑いしている。どうやら会社の宴会のようだ。すぐにBに確認すると、別のサイト掲示板にも頻繁に投稿していることが判明。そこには社員への悪口が書き込まれていた。

〈〇〇って女の性格がマジ最悪。ヒステリー半端ない〉
〈■■が宴会の画像をセクハラとかケチつけてきた。オバサンのくせに自意識過剰〉

投稿はすべて削除され、Bは懲戒処分。最後までBは不服そうだったが「今後、仕事に関する投稿は一切しない」と誓約書をしぶしぶ会社に提出した。

「成長できる仕事」しかしない意識高い系

「C君。この数字間違っているから入力しなおして」
「わざわざ入力する仕組みが、どうかと思うんっすよね。AIにとって代わられますから」

税理士事務所に勤める新人Cは、仕事を任せても何かと言い訳をしてくる。Cは学生時代に企業した経験があるらしく、自信たっぷりに「税理士事務所はオワコン。コンサルになるためのステップっしょ」と公言。日を経るごとに仕事をえり好みし、雑務を同僚に押しつけるようになった。ある日、Cは突然上司にこう言って退職願いを出した。

「自分はもっと成長できる仕事に集中したい。転職させてもらいます」

その後のCは転職と退職の繰り返し。投資家になるために海外に渡ったという――。

こうしたモンスター部下とは、どうつき合えばいいのだろうか。石川氏が解説する。

「個性が尊重される教育現場で育った若者は、報酬や昇進よりも『やりがい』や『プライベートの充実』を求めます。40代以上の上司には『自分本位』『欲がない』と映り、理解に苦しむかもしれません。しかし問題行動は放置するとエスカレートします。まず相手の言い分をじっくり聞き、何が不満なのか、どうして突飛な言動をとるのか原因を把握してください。そして部下に自分の考えを正直に伝えましょう。それでもダメなら、辞めさせなくてはいけないコトもあります。事後のトラブルを避けるために、解雇理由があるコト、就業規則の禁止事項に違反しているコトなどを明確にしておいてください」

一人のモンスターによって組織が破壊される前に、問題ある部下ともしっかり向き合うことが大切なようだ。

 

社労士の石川弘子氏。中小から大企業まで、さまざまな会社の労務相談を受けている

社労士:石川弘子(いしかわ・ひろこ)

‘73年、福島県生まれ。青山学院大学経済学部卒業。フェリタス社会保険労務士法人代表。一般企業に勤めるかたわら’03年に社労士の資格を取得。労務相談だけでなく、企業のメンタルヘルス対策にも携わる。著書に『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)、『モンスター部下』(日経プレミアシリーズ)など。

 

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