本当はこんなに怖いフェイスブックの「犯罪」

8700万人の個人情報流出でなぜアメリカ人はあんなに怒っているの?

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4月11日の公聴会に出席したザッカーバーグ氏。普段はTシャツ姿だが、この日はスーツにブルーのネクタイで臨んだ

「昨日どこのホテルに泊まったか教えてくれませんか?」

「あの、えーと、いいえ」

「あなたが今週メッセージを送った相手の名前を我々に教えてくれますか?」

「ここでは明らかにしたくありません」

4月10、11日の2日間にわたって、フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグCEO(33)が、米上下院の公聴会で証言した。低姿勢を貫きながら、議員の質問をかわしていったザッカーバーグ氏。ところが、民主党の上院議員ディック・ダービン氏が質問すると、冒頭のように言いよどみ、狼狽した。

「これこそがプライバシーであり、FBの集めている情報なのです」(ダービン氏)

利用者8700万人分の情報が英国のコンサルタント会社に不正に流出、これが米大統領選挙へのロシアの干渉などに利用されたとの疑惑により、巨人・FBが激震している。公聴会は延べ10時間に及び、600もの質問が浴びせられ、IT業界のカリスマであるはずのザッカーバーグ氏は徹底的に糾弾された。アメリカ人はなぜあんなに怒っているのか。

立命館大学情報理工学部教授・上原哲太郎氏が解説する。

「一般的に個人情報というと、住所氏名など個人を特定する情報と思う方が多いのですが、それらはFBのターゲットではありません。彼らの欲しい情報は、ユーザーがどんな趣味や嗜好を持っているかということ。それを集め、広告の効率を上げるために利用しているのです」

FBは、ユーザーがどんな記事を見て、何に「いいね」を押し、「シェアする」と拡散したのはどのサイトか、そういったデータを何億と集めている。今回の事件では、そんなFBが集めた「人の内面」というプライバシーそのものの情報が流出してしまった。

「この情報が’16年の米大統領選では悪用されました。たとえば、クリントン陣営がISに武器を横流しした、あるいは、ローマ法王がトランプを支持するといったフェイクニュースが『信用しやすい人』たちの間で拡散していったのです」(ITジャーナリスト・井上トシユキ氏)

自分ではネットで上手に情報を集めているつもりでも、実は知らないうちに「頭の中身」が収集され、偏向した思想や嗜好に染められていく。今回のFB事件は、そんなネット社会の巨大なリスクを全世界にまざまざと見せつけた。

対策はないのだろうか。

「書き込まれた情報を抜こうとするサイトには注意が必要です。具体的には占いや性格診断テスト、キャンペーンなどのサイトで、FBの『公開プロフィール』を要求してくるものは警戒しないといけません。クリックする前に自分のプロフィールで何を『公開』するか確認しておきましょう。これを怠ると知らないうちに出身校や交際ステータス、近況などをアプリの開発者に提供することになります」(前出・上原氏)

あなたも気づかないうちに、ネットの闇に足を踏み入れているのかもしれない。

連邦議会議事堂には、抗議のため、ザッカーバーグ氏の顔写真が貼られたボードがおよそ100枚並んだ。その胸にはフェイスブックのロゴをモジって「フェイクブックを修理せよ」(fix fakebook)というメッセージが書かれていた

写真:UP、ロイター/アフロ

 

Photo Gallary2

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