「一番のお買い得」はどれ? スマートスピーカー活用講座 | FRIDAYデジタル

「一番のお買い得」はどれ? スマートスピーカー活用講座

’17年末から話題になっているスマートスピーカー(AIスピーカー)が新生活のスタートとともにますます注目されるようになっている。

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何を選べばいいのか、どんなことができるのか、探ってみた。

なぜ売れているのか、何が便利なのか
あなたに合ったメーカーを選ぼう

スピーカーに向かって話しかけるだけで、好みの音楽をかけたり、スケジュールを確認したり、天気予報やニュースを聞くことができる―こんな機能を持つスマートスピーカーが売れている。秋葉原の家電量販店では店頭に山積みされ、にわかに専用の特設コーナーが設けられるなど、注目のほどがうかがえる。

「年末年始から売り上げがぐっと上がりました。値段がそれほど高くないのでプレゼント需要も高まっています。お客さんに聞かれる質問で一番多いのは、『何ができるの?』ということです。実際に操作してみたいという方も多いですね」(『ヨドバシカメラ』パソコン専門チームグループリーダー・藤本健司氏)

たしかに一番知りたいのは「何ができるか」だ。スマートスピーカーとは、Wi―Fi機能を搭載したBluetoothスピーカーに、音声アシスタントが内蔵されたもの。使い方は共通で、自宅のWi―Fiに接続し、インターネットのクラウドサーバーと連携することで、音声アシスタントを使った会話と、音声による操作ができるようになる。

使うときは、各メーカーごとの「ウェイクワード」に続けて、してほしい操作を指示する。「ウェイクワード」とは、一般の家電のスイッチと考えてもらえればいいだろう。アマゾンの『エコー』なら「アレクサ」、グーグルの『グーグル ホーム』なら「OK(ねえ)グーグル」といった具合に声をかける。

「エコーに『アレクサ、○○(曲名)かけて』と話しかけると、その曲を再生してくれる。いちいち音楽ライブラリーを探したり、スマートフォンを操作する必要がないわけです。グーグル ホームに『おはよう』と話しかけると、『おはようございます○○さん』と返事し、続けて時刻や天気、最新ニュースなどを読み上げてくれる。また、エコーに『フライデー買って』と話しかければアマゾンから自動注文ができます。グーグル クロームキャストを使えば、音声指示だけでテレビの電源を入れて、好きな番組やYouTubeの音声を流すこともできます」(家電ライター・コヤマタカヒロ氏)

さらに、用意されている「スキル」(グーグルでは「できること」)を追加すると、機能を増やすことができる。なかには、LINEでメッセージを送ったり、タクシーを呼んだり、飲食店の予約ができるスキルもある。アマゾンによると現在一番人気の高いスキルは「radiko.jp」(ラジコ)だそうだ。例えば、「アレクサ、J―WAVEかけて」と話しかけると放送が流れてくる。

スマートスピーカーを最初に売り出したのはアマゾンで、その後グーグルが続き、昨年夏にはLINEから「クローバウェーブ」が登場した。さらに、家電や音響機器のメーカーが追随して、いまや乱戦状態。価格やサイズも様々だ。こうなるとどれを選べばいいのか迷ってしまう。

「利用している音楽サービスや、利用したいスキル、ライフスタイルに合わせて選ぶことです。音声アシスタントによる会話やスキルをメインに使う場合は、コンパクトタイプのスピーカーで問題ありません。音楽やラジオを聴く目的で使う場合は、スピーカーの性能も重要になるので、大口径のスピーカーユニットを搭載するモデルが向きます。現時点でスキル数が多いのはアマゾンですが、数が多ければいいというものでもなく、ライフスタイルに合った自分にとって実用性の高いスマートスピーカーを導入することです」(前出・コヤマ氏)

もちろん、音質にこだわれば価格も高くなる。どう使うか目的をはっきりさせることだ。

「基本的にリモコンのある商品であればスマートスピーカーにリンクさせることが可能です。ロボット掃除機のルンバはスマートスピーカー対応なので、そういった家電が増えてくれば、もっと普及していくと思います」(前出・藤本氏)

藤本氏自身も、朝起きたらスマートスピーカーに話しかけるのが日課になっているという。

ヨドバシAkiba店では、1階の目立つところに特設コーナーを設置。プレゼント需要が多いという

ルポ 自分の家で繋げてみた

’17年秋、我が家にアマゾンのスマートスピーカー「エコー」(音声アシストの名前は”アレクサ”)が届いた。さっそくセットしてみる。操作は簡単でアプリをダウンロードして、Wi―Fiに接続する。以上だ。我が家ではさらに、いち早く音声操作に対応していたフィリップスのLED電球「Hue(ヒュー)」も合わせてセットアップした。さっそく声をかけてみる。

「アレクサ、ライトつけて」

部屋にあった3つの「Hue」が点灯した。これまではスマートフォンを手に取りHueアプリを起動してから、点灯・消灯していた電球が、話しかけるだけで点くようになったのだ。おかげで、スマートフォンが手元にない時でもライトのオンオフができるようになった。

ならばもっといろんな家電を操作したい。そこでアマゾンエコーと連携できる周辺機器「eRemote mini」(6770円)を購入した。これはリモコンの代わりに赤外線を飛ばして各種家電をスマホ1台で操作できるようにする機器だ。この「eRemote mini」のアプリに天井照明やエアコン、テレビなどの情報を登録していく。登録は簡単なので、ものの5分で音声でテレビをつけたり、ボリュームを変えたりできるようになる。夜ベッドに入った状態で天井の照明をオフにできるため、眠い中でスマートフォンやリモコンを探す必要もない。朝起きたら「アレクサ、照明つけて」の一言で部屋が明るくなる。

さらに、「アレクサ、’80年代の歌謡曲をかけて」と声をかければ松田聖子や斉藤由貴の曲が流れてくる。また、ジョイサウンドスキルでカラオケができるので、「アレクサ、ジョイサウンドを開いて」と言うだけで、好きな曲で盛り上がることができる。この機能は、我が家では最近人が集まった時の鉄板になっている。

スマートスピーカーを使うようになって最も大きな変化は部屋でリモコンを探し回る頻度が減ったということ。それまではどこに置いたか忘れてしまい、探し回ったりしていたが、今では基本的な操作は音声で行っているため、テレビや天井照明などのリモコンを持ち出すことがなくなった。もちろんレコーダーなど複雑な操作をする時は音声での操作に対応していないが、表に出ているリモコンが減って机の上はスッキリした。

今後は複数の機器の連動操作を考えている。「アレクサ。おはよう」と言うだけで部屋の照明とテレビが点灯するといった設定も可能になる。さらには「映画を見たい」と言うとプロジェクターとアンプの電源を入れて、天井照明を消すといったシアター用のセッティングや、「おやすみ」と言うだけで家中の照明を消し、玄関の鍵も外付けのスマートロックで施錠できるのだ。

日々進化する音声操作を覚えこませることが楽しみになっている。

スマートスピーカーはどこまで進化するか?

私たちは子どもの頃からSFの世界で優秀なAIの具体的な姿に親しんできた。そう、鉄腕アトムや、ドラえもんなどだ。人間のわがままな要求に応えてくれ、さらにはちょっと先回りさえして手助けしてくれる頼もしい存在。

ではAIを搭載したスマートスピーカーは最終的にそのレベルまで達するのだろうか。音声アシスタントがその一歩を踏み出したと語るのはITジャーナリストの西田宗千佳氏だ。

「人間同士の会話では『どこか食事に行きたい』と言えば場所や時間を考慮した相談ができます。しかし、現時点でのスマートスピーカーはまだ聞かれたことに答えるだけです。これは、社会常識や生活様式などがデータベースに組み込まれていないから。これらをスマートスピーカーが吸収していく、その歴史的なスタートラインが’18年になるでしょう」

ティータイムなら軽く食べられる店を、「デート」という言葉が入っていれば高級レストランを紹介してくれる。そんな”忖度”ができるようになる日は、決して遠くない。

米Voicebot.aiの調査によるとアメリカでは成人の4730万人がスマートスピーカーを利用できる環境にあるという。成人への普及率は20%超。この広がりにより、クラウド上のデータベースは急速に進化すると見られている。

「2020年には音声アシスタントはテレビなど多くの家電に入っていくはずです。その時には現在のようなやりとりだけでなく、さらに使用者個人のライフスタイルに密着したやりとりができるようになるでしょう」(前出・西田氏)

面倒くさいことを代わりにやってくれて、先回りして助けてくれる。それはまるで”お母さん”のようなものかもしれない。実際、欧米でもスマートスピーカーはデジタルマムと呼ばれることがある。ではどこまで進化するのか。

「パーソナルな情報をスマートスピーカーが吸い上げてビッグデータに組み込むのは、(技術的には可能でも)プライバシーの問題もあるため、制限されるでしょう。それを考えると、まずは執事・家政婦のような役割がメインになるでしょう」(前出・西田氏)

さらなる未来の風景はこうだ。「ただいま」という声の調子から体調、気分を把握し、直近の食生活と照らし合わせて、栄養のバランスが取れた美味しい料理が出てくる。食べるペースから疲れ度合いを判断し風呂の温度を調整する。より深く眠れるようなBGMのセレクトは当たり前。さらに、転職や結婚など人生の岐路に立った時は、その人のこれまでの体験とビッグデータを照らし合わせてより良いアドバイスをしてくれる……。母なるAIの登場は夢ではないのだ。

取材・文:コヤマタカヒロ

ラリー・ペイジ(上)、セルゲイ・ブリンのグーグル共同創業者は、先行するアマゾンへの猛追を指示

ビッグデータサービスを加速させるアマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス。エコーの開発は同社の最優先課題だ

デザイン:河地貢士 宮田義明

写真:Amazon、Google、LINE、ロイター、AP、Lee Jae-Won/アフロ、濱﨑慎治、

撮影協力:ヨドバシAkiba(店舗写真)

 

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