日産自動車・西川社長が株主訴訟で「無一文」の危機 | FRIDAYデジタル

日産自動車・西川社長が株主訴訟で「無一文」の危機

ゴーンショックで業績低迷の中、不正報酬問題で辞任に追い込まれ

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9月11日、東京・渋谷区の自宅から出勤する西川社長。今年3月発表の有価証券報告書によれば西川社長は4億円強の総報酬を得ている
9月11日、東京・渋谷区の自宅から出勤する西川社長。今年3月発表の有価証券報告書によれば西川社長は4億円強の総報酬を得ている

「西川社長は、直前まで辞める気はなかったのではないかと思います。『いずれ辞める』とお茶を濁しながら、居座りたいと思っていたのが、取締役会から9月16日付での辞任を突きつけられて、辞めざるを得なかった。9日の辞任会見を見ていても、ご本人は未練たっぷりでしたね」(経済ジャーナリスト・町田徹氏)

9月9日に日産自動車は西川廣人(さいかわひろと)社長(65)の辞任を発表した。これまでは”独裁者カルロス・ゴーンの首に鈴をつけた功労者”として社内で評価する声が高かった西川社長。だがゴーン前会長と共に逮捕されたグレッグ・ケリー被告が報酬不正を暴露したことで風向きは一変した。

「西川さんはケリー氏の告発に『余計なことを言いやがって』と毒づいていたそうです。ケリー氏の発言を契機として6月に報酬不正についての社内調査が始まっても、西川さんは、俺以外に誰がルノーと渡り合えるんだ、という態度だった。そんな西川さんを見て、社内では『結局、西川さんはゴーンに取って代わりたかっただけだった』と失望している人が少なくなかった」(全国紙経済部記者)

西川社長の報酬で問題とされたのは、「SAR」と呼ばれる株価連動報酬の行使日書き換えだ。日産の株価に応じて支払われる報酬を、決められていた行使日から1週間ずらすことで4700万円もの値上がり分を手に入れたという。しかしゴーン事件を捜査中の東京地検特捜部は「西川社長の報酬不正は本人ではなく部下が気を利かせて運用した」という見立てで、刑事責任を追及する様子はない。ゴーン前会長の捜査にあたり、全面協力を申し出た西川社長は、自身が罪に問われることはないと余裕綽々だ。だが、前出の町田氏は、西川社長に対し株主代表訴訟が起こされる可能性もあると話す。

「いくら不正の意図はなかったと主張しても、SARで不正報酬を得てから6年も返していなかったわけですからね。

ゴーン・ショックの影響があるとはいえ、西川氏が社長就任以来、業績は低迷を続けている。さらに今回の報酬不正問題のあおりで、3年から10年物の普通社債(調達総額2500億円)の発行を延期せざるを得なくなったことは明らかです。本来なら日産が西川社長に対して損害賠償請求をすべきだと思いますが、会社側は辞任勧告で”ゴーン追放”の功績を口にしていますので、厳しい態度に出ることはないでしょう」

前年同月比94.5%減と悲惨な状態の中、株主から怒声が上がるのは当然だ。

億単位の年俸を得て金銭感覚が麻痺したとしか思えない西川社長。株主代表訴訟で無一文になれば普通の感覚を取り戻すかもしれない。

『FRIDAY』2019年9月27日号より

  • 撮影蓮尾真司

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