元日本代表・大西将太郎「ロシア戦この3つですべてがわかる」

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(撮影:谷本結利)

ラグビーワールドカップ(W杯)が20日、味の素スタジアムで開幕する。日本代表は初戦でロシア代表戦に挑む。2007年のW杯日本代表で『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(ワニブックス)を上梓した大西将太郎氏に、開幕戦を熱狂するための3つポイントを指摘してもらった。

ロシア戦は間違いなく、これまでのテストマッチ(国際試合)とは違います。日本代表の選手の中で自国開催のW杯を誰も経験したこととがないですし、W杯が3回目となるリーチマイケル主将でさえ前日の記者会見で「緊張してミスばかりしている」とコメントしていました。私自身も開幕戦の試合前日は眠れませんでした。そういういつもと違う心理状態の中で迎える試合なので、お互い、試合を手堅くすすめるためのキックが多くなるでしょう。その場合に考えられる3つのポイントをお話します。

【1 キックしたボールの獲得率】

昨年11月24日、日本代表はロシア代表と対戦し、後半20分までリードを許しました。日本が苦戦した要因は、相手のSHペロフ、SOクシナリョフが日本のFWの背後にキックをあげ、ロシアの大柄なFWがなだれ込み、日本がキック処理のミスを誘って前進する作戦がハマったからです。9月6日、W杯前最後に行われた南アフリカ戦も、SO田村優があげたキックをうまく確保できず、南アフリカに逆襲を食らうシーンが目立ち、7―41と完敗しました。

日本はその反省を生かし、攻守において空中戦でキックを競る場面が高くなるであろうバックスリー(両WTBとFB)に、左WTBレメキ・ロマノヴァ、右WTB松島幸太朗、FBウィリアム・トゥポウを指名しました。俊足で、かつ空中戦に安定感のある3人を配置し、キックをあげられてフィフティ・フィフティとなったボールをいかに高い確率で確保できるかを見てください。

【2 インプレーの時間】

ロシアはキックを多用して強くて重いFWを前に出すことに勝機を見出していますが、裏を返せば、慣れない暑さの中で体力をなるべく温存させたいんです。昨年11月のロシアを分析していくと、攻撃の起点はキックや日本のパスをインターセプトしたもので、パスも3本続くことはほとんどありませんでした。

ですから、日本はボールを確保したら、パスをつないでなるべく長く保持して、インプレーの時間を長くする。そうすれば、必ずロシアがバテてミスする機会が増えて、日本のトライチャンスが増えます。個人的には敵陣で相手が反則したら、タッチキックで前進してラインアウトから再開するのではなく、タップキックから素早く再開して攻撃の勢いを止めないほうが、トライにつながる可能性が高いと感じています。日本がボールを持っているインプレーの時間にも注目してください。

【3 ラインアウトの獲得率】

ラインアウトのスローワー(投入者)は、会場の雰囲気や緊張の度合いで手元の感覚が微妙に狂うポジションです。さらに、相手に高さがあると無意識にプレッシャーがかかり、投げたい場所にコントロールできなくなる。6日に敗れた南アフリカ戦もラインアウトの苦戦が敗因のひとつでした。その時のスローワーはW杯の経験がない坂手淳史でしたが、ロシア戦にはW杯3回目のHO堀江翔太が復帰して、経験もあるので、連携も戻るでしょう。

ラインアウトを起点にした攻撃は、スクラムを起点にするときより攻撃のバリエーションが多い。平常心で確保できれば、自分たちが保持する時間が増えるので、2で指摘したように、日本にとっては有利になると思います。

ラグビーはどんな試合でも80分間、自分たちのペースの時間ということはまずありません。相手のペースの時間帯にいかに我慢できるか。私も会場で試合を観戦します。

<プロフィール>

大西将太郞(おおにし・しょうたろう)

1978年、大阪府生まれ。布施ラグビースクールでラグビーをはじめ、大阪・啓光学園(現・常翔啓光学園)で全国大会準優勝。高校日本代表では主将もつとめた。同志社大学を卒業後、ワールド、ヤマハ発動機、近鉄、豊田自動織機で活躍。トップリーグでは通算143試合に出場。日本代表は大学4年時から選ばれ、通算33試合に出場。W杯は2007年フランス大会に出場し、カナダ戦で終了直前に同点ゴールを決め、日本代表のW杯連敗記録を13で阻止した。

(写真:アフロ)

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