「オネエにおデブ…」りんごちゃん旋風はハイブリットキャラにあり
勢いが止まらない。
『りんごちゃん』のことだ。ポッチャリした愛らしい姿ながら、『フォルテシモ』を歌う大友康平や、『贈る言葉』を歌う武田鉄矢のモノマネをして、野太い声で歌う姿をテレビで見たことがある人は多いだろう。
彼女の属性は“ものまねタレント”となっている。’14年に『ものまねグランプリ』(日本テレビ系)に出演していたのだが、特にブレイクすることはなかった。それが今年1月、『ウチのガヤがすみません』(日本テレビ系)に出演すると一気に人気が出ることになった。
芸能界には歌手、俳優、芸人など芸のジャンルとは別に、キャラクターによって分けられる『キャラクター枠』というものがある。馴染みがあるのは“デブキャラ”や“オネエキャラ”だが、ほかにも“おバカキャラ”や“毒舌キャラ”“タメ口キャラ”“不思議ちゃんキャラ”など、よく耳にするだろう。
昔はそれぞれのキャラクター枠でブレイクするタレントは1人か2人くらいだったが、近年はどの枠でも数が増え、群雄割拠の様相を呈している。そのなかで生き残り、尚且つ第一線で活躍し続けるのは大変なことだ。
そんな戦国時代に突如彗星のごとく現れたりんごちゃん。バラエティー番組を席巻し、今ではテレビで顔を見ない日がないという活躍ぶりで、ついには今年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)に出場を果たした。彼女(彼?)の躍進の秘密はどこにあるのだろうか。キー局プロデューサーは語る。
「ああ見えて、りんごちゃんのものまねはレベルが高い。よく目にする大友康平や武田鉄矢のほかに、秋川雅史、井上陽水、森山直太朗、甲本ヒロトなどの男性歌手のみならず、美空ひばり、椎名林檎、AKB48などレパートリーは多岐にわたります。純粋にものまねタレントとしてのポテンシャルも高いんですね。
さらに歌のうまさで聞かせるだけでなく、爆笑させてくれるという、“お笑い”の要素もふんだんに入っている。それでいて、渡辺直美、柳原可奈子のような“デブキャラ”の“お笑いタレント”でもあり、はるな愛のような“オネエキャラ”でもあります。今までいたようで、いなかったタレントでしょうね」
“ゆるキャラ”にも見え、まるでキャラクターの“幕の内弁当”のような彼女が人気者になるのは当然のことなのかもしれない。だが、彼女の躍進を支えているもっとも重要なキャラを忘れてはいけない。それは“愛されキャラ”だ。芸能界だけではない、どんな世界でもこれが最強のキャラなのではないだろうか。快進撃は当分続きそうだーー。
- 文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
- 写真:アフロ
芸能ジャーナリスト
宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。最近は、コメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中