遅すぎる復旧作業 台風による千葉の大規模停電は人災だったのか

台風上陸から1週間も、依然として7万戸が停電したまま。千葉の暗闇を往く――。

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9月14日18時50分頃の館山市布良地区の様子。家屋や街灯、自販機の明かりはまったくない。暗闇のため、非常用のランタンの光が強烈に明るく感じた

東京の都心部からクルマで1~2時間も走れば到着するエリアとは思えない。9月9日に台風15号が上陸してから1週間が経っても、千葉県では約7万戸が停電したままである。

9月14日午後7時前、館山市内では大通りの街灯はついていた。だが、大きな被害を受けた布良(めら)地区で、一歩脇に入ると、家は建ち並んでいるのに、あたりは真っ暗。遠くに見えるガレージ内のランタンだけが光を放っていた(上写真)。同地区の公民館館長はこう明かす。

「電池式のランタンを配って、なんとか夜を過ごしている状況です。いまは屋根に空いた穴をブルーシートで被(おお)う作業をするための人手が足りなくて困っています。とにかく、雨をしのげるか心配。停電と残暑が続いて、この先もいろいろと予想できない問題が出てくると思います」

東京電力によれば、完全復旧するのは最長で9月27日になるという。なぜこんなにも時間がかかるのか。

「暴風が電柱などの配電設備の設計強度を超えてしまった。末端の配電網がダメになると、電柱の建て替えと電線を張り替える作業を人海戦術で進めるしかないんです。しかし東電は被害実態の把握を誤り、被害状況がわかるにつれて復旧の人員や資機材を増やす、という場当たり的な対応をしています。台風被害の多い九州電力や四国電力には対策ノウハウの蓄積がありますが、経験がほとんどない東電にはそれがなかったんです」(防災・危機管理ジャーナリスト・渡辺実氏) 

大停電は「人災」でもあったのだ。

大規模停電にどう備えるか

「町の防災無線も鳴らず、電話、テレビもネットも使えなくなった。とにかく何の情報も入ってこなかったことが、一番不安な点でした」(館山市在住60代男性) 

本誌は千葉の停電地域で、同じような声を何度も聞いた。近年の激甚化した台風は日本のどこを直撃してもおかしくない。非常時における電源の確保をあらためて準備する必要があるだろう。

携帯電話やスマホを充電するためのモバイルバッテリーは必須。なかでもソーラー充電が可能なタイプが便利だ。またLEDランタンのなかには、モバイルバッテリー機能を兼ねているものもある。

防災・危機管理ジャーナリスト・渡辺実氏はこうアドバイスする。

「非常用の電源を個人で確保する時代になってきました。カセットボンベを使用する発電機が10万円前後で市販されている。これがあると、大半の家電は動かせます。また、電気自動車には電源として使える車種もある。乗り換えの予定があれば検討する価値はあると思います」

また、渡辺氏は停電対策の盲点として、水の確保が重要だと指摘する。

「停電により、地域の浄水場やマンションの送水ポンプが停止して、自宅が断水になる場合が多いのです。非常用簡易トイレや飲料水の備蓄はもちろん、普段から風呂の水を常に溜めておくだけで、いざというときに生活用水として役立ちます」

ライフラインをいかに確保するか、シミュレーションしておいたほうがいい。

南房総市白浜町では、自家発電機の明かりでコンビニが営業していた(9月13日)。当然、商品棚はガラガラ

大規模停電、復旧工事はいまも続く

館山市船形でおこなわれていた電力の復旧工事。東京電力は1万6000人態勢で作業を進めているが、全域での停電復旧には最長で2週間かかる見込みだという
南房総市の沿岸部にある富浦町。電柱や配線の損壊は県内の広範囲に及び、作業が追いつかない状況である
電気が復旧して喜ぶ、鋸南町の笹生すみ子さん(88)。だが、屋根に穴が空き、居間はビショビショだという
南房総市役所の前に設置されたガレキ置き場は、住民が次々に訪れて山積み状態。ゴミ問題も今後の課題だ

『FRIDAY』2019年10月4日号より

  • 撮影濱﨑慎治 中村將一(2、3、6枚目写真)

Photo Gallary6

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