ドラックストアで買う「効くクスリ」&医師処方の「ムダなクスリ」

一部処方薬が保険適用外になる見通し。医師任せにせず、賢く薬局を活用する時代に備えて

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薬剤師や登録販売者に相談すれば、処方薬と同等の成分を含むOTC医薬品がドラッグストアで購入できる 写真:アフロ

花粉症薬が保険適用外に?

8月下旬、花粉症薬や湿布薬が保険適用外になる見通しと報じられ、大きな話題となった。健康保険組合連合会(健保連)が、病院などで処方される市販薬と同じ成分の花粉症薬を医療保険の適用から除外して、全額自己負担にすべきだとの提言を取りまとめたのだ。専門誌『医薬経済』記者の今岡洋史氏が解説する。

「こういった議論は、医療費の削減を図りたい財務省の以前からの持論です。国の医療費が増加傾向にあるため、保険適用見直しの議論は避けられません。問題は、どのクスリを保険適用から外すか、です。花粉症のように各世代で患者数が多いクスリと、高齢者の使用が多い湿布薬とでは扱いが違ってきます。たとえ湿布薬でも重症度や適用疾患が異なることがあり、特定のクスリをひと括(くく)りに保険から外すのは乱暴でしょう。

原則3割と自己負担額の少ない公的医療保険のもとでは、患者に来てほしい医師と、安くクスリを手に入れたい患者の希望が一致し、クスリの無駄な処方につながってしまう構造があります。保険適用除外の議論が進むなかで、患者の側も処方薬と同じ成分を含む『OTC医薬品』に目を向けておく必要があります」

OTC医薬品とは「Over The Counter=オーバー・ザ・カウンター」の頭文字を取ったもので、薬局のカウンター越しに購入できる市販薬を指す。最近では医師が処方するクスリと同等の成分のものも多く、薬局で薬剤師や登録販売者に相談したうえで、病院に行くことなく購入できるのがポイントだ。

「医者だって商売ですから、患者さんには多く来てもらいたい。一方で、一人の患者さんの診察に長時間かければ、数をこなせないので売り上げ的には困ることになる。そこで、適当なところで『ではクスリを出しておきましょう』と言って、本当は必要のないクスリを出してしまいがちなのです。金儲け主義の医者は患者さんを診察室から追い出すのにクスリを出す。患者さんの側もクスリが出されたら、一応は納得しますからね」(サン松本クリニック院長の松本光正氏)

医者が適当に話を聞き、患者の症状に向き合うことなく、クスリを処方すれば、それで商売が成り立つというわけだ。

「たとえば、風邪で病院に行けば、白色のPL配合顆粒がよく処方されると思います。熱を下げ、頭痛や筋肉の痛みを和らげ、鼻詰まりにも効く総合薬です。一つ一つの症状に対して効かないとはいいませんが、十分な効果は期待できない。簡単に言えば、効き方が弱いのです」(川越救急クリニック副院長の木川英(あきら)氏)

症状に合わせてドラッグストアで薬を選んだほうが、治りが早いし、診察代がかからない分、安く上がる可能性が高い。では、どのクスリを選べばいいのか。薬剤師でウインファーマ・セルフメディケーション推進室長の鈴木伸悟氏が話す。

「総合感冒薬には風邪の原因となっているウイルスなどを倒す作用はなく、諸症状を抑える対症療法にすぎません。クスリによって高熱を下げたり、咳を抑えたりできますが、治すには体力が重要です。

ひき始めで、まだ体力が充実しているなら、『カコナール2葛根湯顆粒〈満量処方〉』がおすすめです。満量処方ではなく、3分の2程度の葛根湯もありますが、そちらは高齢者や長期間飲む人に向いています。風邪の中期で、喉の痛みがメインの症状には『コルゲンコーワIB錠TXα』がいいでしょう。こちらは喉の痛みを緩和し、高熱を下げて体力を回復させることで風邪を治すイメージです」

ロキソニンの「功罪」

頭痛薬といえば、『バファリン』や『セデス』が有名だったが、今は処方薬だったロキソプロフェンが『ロキソニンS』などとして市販されるようになった。

「頭痛薬では『ロキソニンS』が人気です。後に発売された『ロキソニンSプレミアム』はロキソニンSの成分に加えて、鎮静成分などを配合して鎮痛効果が高めています。しかし、鎮静成分には眠気が起こる恐れがあるので、乗り物の運転は不可となり、価格も高い。運転の予定がなく、より効き目を求める場合はこちらを候補にしますが、まずはロキソニンSを勧めています」(前出・鈴木氏)

ただし、ロキソプロフェンは、’16年に厚生労働省が「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を使用上の注意に加え、新たな副作用が問題となっている。継続した服用には注意が必要だ。

胃痛も、まずはOTC医薬品で症状を和らげたい。虎の門中村康宏クリニック院長の中村康宏氏が言う。

「胃が痛いときには胃の働きを改善させるクスリ『ガスター10』がいいでしょう。ただし、胃痛の原因は様々なので、クスリを飲んでも痛みがぶり返す場合は、医師に相談してください」

冒頭に述べたように、保険適用除外が取り沙汰されている花粉症薬だが、それは市販薬でも十分に効果があることの裏返しでもある。なかでも『アレグラFX』が評判だ。前出の今岡氏が話す。

「医療用と同じ成分フェキソフェナジンを含む花粉症薬の定番です。その理由に価格が安く、眠気が少ないことが挙げられます。2週間分(28錠)を1500円以下で販売しているドラッグストアもあり、花粉症薬のなかでは安い部類に入ります。医療機関から処方された場合、初診料や薬剤料などで2000円前後になることもあるため、店頭で買ったほうがお得なケースもあります」

もちろん、市販薬だけでは治療できない病気もある。高血圧や痛風、ED(勃起障害)がその代表例だろう。その場合も医師に言われたままのクスリを飲んでいては、損をするケースがある。

「高血圧は患者数も多く、新しいクスリが次々と登場しています。医師の中にはそうした新薬を試したがる傾向にある人もいます。しかし、新薬は総じて値段が高い。たとえば、『ディオバン』などの商品名の『ARB』(腎臓から出る血圧を上げるホルモンの分泌を抑制して血圧を下げるクスリ)は、1錠300円程度するものもあり、1ヵ月あたり1万円を超えるものも珍しくありません。経済的な負担が大きくなって、飲むのをやめてしまう患者さんもいて、これでは本末転倒です」(前出・中村氏)

だとすれば、同じ高血圧のクスリでも古くからあるもののほうが安いため、飲み続けやすいというメリットがある。

「『エースコール』といった商品名のACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬はARBと効果にあまり差がなく、値段は5分の1以下です。新しいこともあって、日本の医師はARBをよく処方しますが、海外ではACE阻害薬のほうが安くて人気です」(前出・木川氏)

EDには何が効くのか

長期間使われてきたクスリは、副作用が明確にわかっている。一方、比較的新しいクスリは新たに重大な副作用が判明することがあり厄介だ。痛風(高尿酸血症)の治療薬がまさにそうだ。

「’11年に発売された『フェブリク』で知られるフェブキソスタットは、高尿酸血症の40年ぶりとなる新薬として注目されました。しかし、昨年春に米国の心臓病学会で突然死や心筋梗塞、脳卒中が増加していると警告されました。さらに今年2月には米食品医薬品局(FDA)が心血管疾患を引き起こす恐れがあると警告しています。そこで国内のクリニックでは、フェブリク以前に使われていた『ザイロリック』(アロプリノール)の処方に戻りつつあります。私もこちらを飲んでいて尿酸値は下がっているので、クスリの効果もしっかりあります。

ちなみに、多くのクスリは食後に水で飲むように言われますが、そこまで気にしなくてもいいでしょう。牛乳やアイスコーヒーで飲んでも大丈夫です。食後にこだわりすぎるのも問題で、食欲がないのに無理に食事を摂らなくてもいい。むしろ、飲む時間のほうが重要で、クスリの効用を切らさないように、時間通りに飲んだほうがいいですよ」(木川氏)

ED治療薬は医師の処方がいるが、保険適用外の医薬品だ。ただし、恥ずかしい触診などは不要で、クリニックなどでは簡単な問診を受けるだけで、10分程度で処方される。紀尾井町プラザクリニック院長の根深研一氏が解説する。

「EDといえば『バイアグラ』が有名でジェネリック薬品も登場していますが、心臓への負担がかかるため、今ではあまり出ません。代わりに人気なのは『シアリス』です。効果が36時間と長く、性的刺激を受けることで効果が表れます」

ただし、シアリスは効果が発現するまで約1時間かかるのが玉にキズだ。ED治療薬を処方する新宿ウエストクリニック院長の入江武志氏の話。

「すぐに効果が必要な場合は約30分と即効性のあるレビトラが使いやすいですね。気をつけていただきたいのが、ネット通販では4〜5割がニセモノという調査結果があること。海外から個人輸入したED薬では、痙攣や意識障害を起こしたケースもあるので危険です」

クスリを医者まかせにする時代はもう終わった。クスリの真実を見抜いて、もっと賢く活用しよう。

ドラッグストア各社も生き残りをかけて、医薬品の販売に力を入れている。自分に合った店舗を見つけよう
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賢いドラッグストアの使い方

ドラッグストアを訪れた際、胸に「薬剤師」や「登録販売者」といったネームプレートをつけた人がいるのを見かけたことがあるはずだ。彼らの知識を最大限に活用することが賢いドラッグストアの使い方だ。

「薬剤師だけでなく、登録販売者を頼りにしましょう。主に調剤業務を行っている薬剤師は、OTC医薬品について具体的な商品知識が弱いこともあります。一方、登録販売者は商品知識にも強く、店頭やフロアにいることが多いので、まずは彼らに相談するのも手です」(薬剤師の鈴木伸悟氏)

ポイントは患者の症状に対して、複数の選択肢を挙げて答えてくれるかどうかだ。

「なかには『キャンペーン中で安いからお得だ』という理由だけで商品をすすめてくる人もいますが、それは論外。同じブランドでも市販薬にはいくつも種類がありますが、効能と値段が違う理由を答えてくれるのが、いい薬剤師・登録販売者です。質問に対して、箱を見比べて答える人は微妙ですね」(医療・保健ジャーナリストの西内義雄氏)

いい人を見つけて顔なじみになれば、より適切なクスリを見つけやすくなるので、気後れせずに相談しよう。

マツモトキヨシでは独自開発のプライベートブランド商品も充実している

『FRIDAY』2019年10月4日号より

  • 写真アフロ(薬剤師)撮影蓮尾真司(ドラッグストア)

Photo Gallary5

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