引退・阿部慎之助「悔しさを忘れないため毎日エラー写真を見た」 | FRIDAYデジタル

引退・阿部慎之助「悔しさを忘れないため毎日エラー写真を見た」

ジャイアンツの正捕手の座を守り続けた阿部慎之助。通算405本塁打、2131安打を放った強打者には独自の野球観があった。独占インタビューからの語録を紹介する。

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阿部慎之助(あべ・しんのすけ) ’79年、千葉県生まれ。安田学園から中大をへて’01年に巨人へ入団。’17年に2000本安打を達成。ベストナイン9度、ゴールデングラブ賞4度受賞。
阿部慎之助(あべ・しんのすけ) ’79年、千葉県生まれ。安田学園から中大をへて’01年に巨人へ入団。’17年に2000本安打を達成。ベストナイン9度、ゴールデングラブ賞4度受賞。

「ボクは『ミスは忘れてはいけないモノ』と考えています。反省しないと進歩はない。だからボクのロッカーにはエラーした写真がたくさん置いてある。毎日それを見ると、悔しさを忘れないじゃないですか」

9月23日に引退を表明した巨人・阿部慎之助(40)の言葉だ。’01年に中央大からドラフト1位で入団し、’12年には首位打者(打率.340)と打点王(104)の二冠を獲得。通算400本塁打以上は、捕手として野村克也、田淵幸一に次ぐ3人目の記録である。偉大な足跡のウラには独自の野球観があった。これまでに『FRIDAY』のインタビューに答えた阿部の語録から、印象的なエピソードをお届けする――。

‘10年には44本塁打を放ち、「打てる捕手」としての印象が強い阿部。だが意外にも、長打は狙っていないという。

「よく3割30本塁打が強打者のバロメーターのように言われますが、強い打球を飛ばそうとするとムダな力が入る。それで長打はいらないと割り切りミートに徹したら、結果が出るようになったんです。結果が出れば余裕ができます。追い込まれても『絶好球が来るまで待っていればイイや』と、ボールをじっくり見られるようになりました。難しい球に手を出しても意味がない。たとえ見逃し三振しても、狙い球以外は見逃す勇気が必要かもしれません。ボクのバッティングは、よくボールを見る“みるみる打法”です」

‘07年からは8年間、巨人の主将を務めた。リーダーとしても独自の考えがある。

「ボクが理想としているキャプテン像は、前を向き続ける人です。試合に負けていても、『下を向くな!』『行くぞ!』と檄を飛ばしていけるかが重要。具体的には『スクール☆ウォーズ』(’80年代に一世風靡した熱血ラグビードラマ)で、山下真司さんが演じた滝沢賢治先生みたいな人間ですね。熱さ全開で顔を紅潮させながら、チームメイトを激励しようと思っています」

主将としての責任感は強い。’11年8月に不振からスタメン落ちを告げられた時には、予想外の行動に出る。

「広島でのビジター試合の練習後でしたかね。スタッフにバリカンを買ってきてもらって、ホテルの洗面所で自分で丸刈りにしたんです。気合を入れなおすという意味もあって、もうやっちゃえ、と。その後、チーム内では丸刈りがブームになったんです」

得意の打撃に専念するために何度も一塁手へのコンバートを勧められたが、阿部はキャッチャーにこだわり続けた。

「キャッチャーというポジションは試合中、『投手に次は何を投げさせよう』とか、『このバッターの得意球は何か』とか、絶えず考えていますよね。他のポジションだと『あぁ、イイ天気だな』とか、『今日は客席がガラガラだなぁ』とか思うんだろうけど、キャッチャーにそんな時間はない。試合に深く入り込めるポジションが、ボクには向いているんです」

阿部の現役として最後の願いは「もう一度日本一になる」こと。今後はジャイアンツの監督候補として、指導者への道を歩む。

  • 撮影濱崎慎治

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