増税前が買い!?「日本産ウイスキー」の高騰はどこまで続くのか | FRIDAYデジタル

増税前が買い!?「日本産ウイスキー」の高騰はどこまで続くのか

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品薄で価格高騰が続いている国産ウイスキー。

先日、海外のオークションで1億円近い値を付けたことでも話題を呼んだ。この高値はいつまで続くのか? 消費増税直前の今、買っておくべきか? ヴィンテージウイスキー専門のオークション運営者に訊いた。

ウイスキー54本が1億円!? 世界中で巻き起こるジャパニーズ・ウイスキーブーム

ヴィンテージの国産ウイスキー54本セットが、1億円――今年8月、香港のオークションで信じられない落札劇が起こった。

ずらりと並んだ日本産のヴィンテージウイスキー。オークションにかけられる前に一点一点、鑑定士によってチェックされる 写真提供:株式会社蔵王
ずらりと並んだ日本産のヴィンテージウイスキー。オークションにかけられる前に一点一点、鑑定士によってチェックされる 写真提供:株式会社蔵王

その品は、埼玉県の秩父蒸溜所で製造された「イチローズ・モルト カードシリーズ」。トランプの絵柄54枚をデザインしたラベルで知られるこのウイスキーは、1985年から2014年にかけて製造、限定販売されたコレクター垂涎の品。そのシリーズのすべてが揃ったセットが、国産ウイスキーの歴代落札価格を大きく上回る719万2000香港ドル(約9860万円)の値をつけたのである。

そもそも、国産ウイスキーの品薄・高騰状態は2010年代に入って以降、ずっと続いている。バブル期以降、隆盛したワイン人気と反比例するように市場から敬遠されてきたウイスキーが復権し始めたのは、2000年代後半。国内の酒造会社が生産したウイスキーが海外の品評会などで高評価を受けるようになり、さらに2014年、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』で日本ウイスキーの父・竹鶴政孝の物語がドラマ化され一気に注目が高まった。

また、昨今の糖質オフブームでハイボールの再評価が起こったこともあり、ウイスキーの需要は増大の一途を辿っているのだ。

しかし、不人気だった時代に生産が縮小されていたため、各メーカーの貯蔵していたウイスキーの原酒は一気に減少。熟成された原酒がなくなれば、エイジ・ステートメント(年数表記)のあるウイスキーは作れなくなる。昨年にはサントリーの主要銘柄である「白州12年」「響17年」の販売休止が発表され、続いてニッカウヰスキー、キリンも次々に代表的商品の販売休止を決定。市場から次々とウイスキーが姿を消す中、わずかに残った品を巡って世界中で熱い争奪戦が起こっているのである。

ヴィンテージ品はもはや投機対象。価格を左右する中国人バイヤーたち

さらに稀少価値のついた国産ウイスキーには、愛飲家のみならず、コレクター、そして投機目的のバイヤーの熱い視線も注がれている。そのバイヤーの多くは中国系であると語るのは、日本初のヴィンテージウイスキー専門の競売「Lオークション」を主催する株式会社蔵王の宮原花奈さん。昨年開催された第1回のオークションでも、半数ほどの参加者が中国人バイヤーだったという。

「中国の富裕層の方から注文を受けて買いに来られたバイヤーが多いですね。日本人だと、一部の富裕層のお客さまと、あとは業者の方。もちろん、嗜好品というより投機目的が多いと思います」(宮原さん 以下同)

宮原さんによると、もともとスコッチウイスキーしか入っていなかった中国でジャパニーズ・ウイスキーの人気が高まったのは、2000年代以降。閉鎖した日本の蒸溜所から原酒の樽を買い取った外国のボトラー(瓶詰めを行う業者)が、当時あまり流通していなかった日本産のウイスキーを瓶詰めして海外向けに広く販売し、それが中国にも届いたことがきっかけではないかという。

「それまで中国にないものだった上に、質が高く味がいいこと、そして日本で作られたものであるという安心感から、人気に火がついたものと思われます」

若い原酒を使った新発売の商品を除き、しばらくは品薄が解消される見込みがないとなると、ヴィンテージウイスキーの価格の高騰傾向は今後まだまだ続くと予想される。

消費税10パーセントになる直前の今は「買い」。ただし、偽物にはご用心

ただ、それでもヴィンテージの国産ウイスキーを手に入れたい、または投機の一手にと考える向きもあるだろう。折しも、まもなく迎える消費増税。ズバリ、今、ウイスキーは“買い”なのか? その問いに、先出の宮原さんは「ものによっては、買いです」と答えた。

「現在も流通量の多いものについてはそう急ぐ必要はないと思いますが、ヴィンテージの人気銘柄のように今後手に入る見込みのないものは、今買って持っておいても価値が下がることはほとんどありません。2パーセントとはいえ、増税分はやはり大きいと思います」

ただし、入手する際には注意も必要だという。

「ワインもそうですが、ヴィンテージのウイスキーは偽物も作られていて、それがけっこう出回っているんです。中には、輸入した業者の方も偽物だと知らずに販売している場合があったりしますね。私たちのオークションでは出品者から入手経路を確認し、鑑定士が事前に鑑定するなどの対策を打っていますが、やはりヴィンテージは本物を見ないとわからないことが多い。ネットオークションなどでも販売されているのを見かけますが、偽物である可能性も念頭において、なるべく信頼できるところから買うことが大事だと思います」

 

 

Lオークション ヴィンテージウイスキー専門の国内初オークション。次回は9月30日、東京・御徒町で開催(事前申し込み要)。香港のオークションで注目を集めた「イチローズ・モルト」のカードシリーズの中の1本も出品を予定している。26日からウェブ入札、29日には現地で下見会も。https://l-auction.com

  • 取材・文大谷道子

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