山口百恵の未発表曲をカバーする“イケメン”ムード歌謡歌手の正体 | FRIDAYデジタル

山口百恵の未発表曲をカバーする“イケメン”ムード歌謡歌手の正体

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山口百恵さんの幻の名曲『あなたへの子守唄』をカバーしたムード歌謡歌手の蒼一心
山口百恵さんの幻の名曲『あなたへの子守唄』をカバーしたムード歌謡歌手の蒼一心

「百恵さんの曲を歌えるなんて、こんな光栄なことは無いですよ」

はにかんだ笑顔がとてもチャーミングなこの男性は、ムード歌謡歌手の蒼一心(あおい いっしん)。彼は今、山口百恵さんの未発表曲だった『あなたへの子守唄』をカバーし、歌謡界で注目を浴びている若手シンガーだ。

『あなたへの―』は、百恵さんのヒット曲『しなやかに歌って』と同時期にレコーディングされたが、後者の方をリリースしたため、未発表曲として“お蔵入り”に。彼女が引退した2年後の82年に発売されたベストアルバムに収録されたことはあるが、“幻の名曲”としてファンに知られている。

そんな素晴らしい曲と出会えたワケを、蒼は嬉しそうに明かす。

「私の楽曲のプロデューサーで、グループサウンズ“アウト・キャスト”の元メンバーだった大野良治さんが、友人である宇崎竜童さんが『あなたへの―』についてネットで語っていたものを目にしたそうなんです。そして、“この曲は一心に合う”と感じ、宇崎さんに話をつけて下さったんです」

蒼は大野と一緒に宇崎や作詞を担当した妻の阿木燿子に挨拶に行くと、そこからトントン拍子で話が進んだ。しかも、『あなたへの―』が蒼の生まれた年に作られたということも、どことなく“縁”を感じているという。

ステージで熱唱する姿に、女性からの黄色い声援が飛び交う
ステージで熱唱する姿に、女性からの黄色い声援が飛び交う

この曲を蒼に歌わせたいと思ったプロデューサーの大野は、その理由をこう語る。

「楽曲を制作するにあたり、彼の甘いルックスと優しい歌声という魅力を十分に表現出来る作品を模索している中、この曲の作曲者である宇崎さんのSNSを目にしました。『あなたへの―』は未発表曲になったけれど、宇崎さんはこの曲が大好きだったと書かれており、楽曲を聴くと、そこにはなんと私がイメージしていた『蒼一心』の世界があったのです。記念すべき3枚目の楽曲に相応しい作品はこれしかないと判断しました」

元々はポップス歌手として活動していた蒼だが、ムード歌謡歌手に転向させメジャーデビューをさせたのが大野だった。この出会いが彼の運命を大きく変える。

「ポップス歌手時代も、インストアライブなどでは美空ひばりさんの曲なども歌っていたんです。大野さんは僕の歌う『愛燦燦』とか『川の流れのように』をすごく気に入ってくださり、歌謡曲ならメジャーデビューを考えると言われたんです。“ぜひ、お願いします”って即答でしたね(笑)」

と、蒼は当時を振り返る。

専門学校のタレント科を卒業すると、大手芸能プロに所属。テレビ番組ではロケに行ったり、商品説明をするなどタレントとして活動していたが、アメリカ・ロサンゼルスで出会ったゴスペルに衝撃を受け、歌手の道に進むことを決意する。

「ロスの教会でゴスペルを聞いて、リズム感とか歌の迫力とか、知らない間に涙があふれていたんです。音楽ってすごいなって。それで、すぐにプロダクションを辞め、六本木の小さいバーで月に1回イベントをやらせてもらったんです。そこから、歌手活動を本格的にスタートさせました」

コーラスグループのメンバーやポップス歌手として活動を続けたが、‘16年にムード歌謡歌手としてついにメジャーデビューを掴んだ蒼。そして、‘19年3月に発売された3枚目となる新曲が山口百恵さんの名曲だったのだ。

「今思えば、ムード歌謡に転向して大正解だったと思います。あのままポップスを歌っていてもたぶん、ここまでチャンスをもらえなかったと思います。千葉にある実家はラーメン店を営んでいるんですが、そこに“一心を見たよ”っていうお客さんが増えているみたいで、両親もそういうのを実感しているみたいです。ようやく歌手として、一歩を踏み出せた感じですね……」

と手ごたえを感じている。

百恵さんの曲をカバーすることにプレッシャーを感じながらも、歌への思いを熱く語った
百恵さんの曲をカバーすることにプレッシャーを感じながらも、歌への思いを熱く語った

「大野さんから新曲は『あなたへの―』に決めたと言われたとき、これ歌えるのかって思いましたよ。百恵さんのあの雰囲気は出せないですからね。でも、百恵さんの歌を聴き過ぎちゃうのも引っ張られちゃって怖いなって思って、レコーディング前はあまり聞かないようにしました。自分なりに歌ったら、ほぼ一発でOKが出たんです」

スーパースターである百恵さんの名曲をカバーすることに、プレッシャーを感じたという。それでも、この曲がさらに蒼を一段上のステージに押し上げたのは、間違いないだろう。

「サビにいくと、“あっ聞いたことある”って表情をされるファンも多いですよ。女性目線の歌なんですが、こういう気持ちって男もあるなって理解して、歌っています。ファンの方からは“こんなすごい歌を歌えるなんて良かったね”って声を掛けられます。ご年配の方には懐かしく、若い方には新鮮に思って頂けると思います。これからも、歌謡曲の型を破るような挑戦をしていきたいですね」

7月には引退後初めて、家族との関係などを写真と共につづった『キルト本』を出版した百恵さん。すでに20万部を突破するなど、“百恵さんブーム”が起こっている。そんな中、『あなたへの子守唄』を歌う蒼は、さらに注目を浴びそうだ――。

  • 取材・文荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)

    埼玉県さいたま市出身。夕刊紙、女性週刊誌を経て現職。テレビやラジオなどにも出演中

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