フォトルポ 新宿歌舞伎町 外国人が殺到する街
2020東京五輪に向けて
撮影:権徹(フォトジャーナリスト)
「How much?」
「多少銭(ドゥシャオチェン)?」
日本最大の歓楽街、新宿歌舞伎町が大きく様変わりしている。近年、外国人観光客が殺到しているのだ。東京都が昨年実施したアンケート調査によると、訪日客の都内人気エリアは浅草、銀座を抑え新宿がトップになっている。『インバウンドにっぽん』代表の小野秀一郎氏が語る。
「日本観光の課題は、安く楽しめるナイトレジャーが欠けていることでした。例えば浅草の仲見世商店街は、夜8時には大半が閉まってしまいます。銀座や六本木は遅くまで活気がありますが、価格が高い。歌舞伎町は安価なチェーン店や小型店舗が、夜中までやっているのが長所です。東洋一の繁華街と呼ばれる独特のネオンや、『ロボットレストラン』のように日本のアニメや漫画キャラクターのコスプレショーを楽しめる店があるのも魅力でしょう。『歌舞伎町は刺激的』という口コミが増え、多くの外国人が来日する東京五輪までは観光客が増え続けると思います」
宿泊事情も変化しつつある。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が話す。
「歌舞伎町と言えばラブホテルが多いイメージがありますが、3〜4年ほど前から外国人需要を見越した宿泊施設の建設が進んでいます。昨年開業した『プティバリ東新宿店』は外観など一見ラブホテル風ですが、ロビーラウンジでは一般客向けにワインや軽食を楽しむことができる。無料レンタサイクルのサービスもあり、外国人観光客の人気が高いんです」
歌舞伎町のホテルは、訪日客で連日満室状態が続いている。
撮影:権徹(ゴン・チョル)
’67年、韓国生まれ。’94年に来日。’13年に『歌舞伎町』(扶桑社)で講談社出版文化賞写真賞受賞。著書に『歌舞伎町のこころちゃん』(講談社)など