池袋ラブホ殺人事件 36歳被害者と22歳容疑者の悲しき接点
「このマンションに来て約10年経つけど、荒木さんの家に娘さんがいるなんて知らなかった。見かけたことすらないですよ」(荒木さんと同じフロアの住人)
9月12日、池袋(豊島区)のラブホテルで、荒木ひろみさん(享年36)の遺体が圧縮袋に入れられた状態で見つかった。6日後、大東文化大学4年の北島瑞樹容疑者(22)が殺人容疑で逮捕された。
荒木さんが北島容疑者と知り合ったのは8月。きっかけは、北島容疑者がツイッター上で自殺志願者を募集し、荒木さんが反応したことだったという。
なぜ、荒木さんは彼に殺害を依頼したのか。実は、荒木さんはひきこもりで、働かずに両親のもとで生活していた。
「荒木さんは過去にも自殺サイトにアクセスしたことがあった。心配した両親が携帯電話を解約したと見られ、事件当時、荒木さんの携帯は電話回線につながっていなかった。容疑者と連絡を取る際も、Wi-Fiがなければネットに接続できなかったようです」(全国紙社会部記者)
自分の人生を悲観した彼女が、「自殺を手伝う」と近づいてきた北島容疑者にうっかり心を許し、会ってしまった……事件はそんな経緯だったのかもしれない。
「ひきこもりの症状がある人は、自己評価が下がり、自暴自棄になるケースがある。荒木さんも、『自分は生きている価値がない』と思い込んでしまったのではないか。今回の事件は、『ひきこもりという社会問題が起こした事件』とも言えます。日本社会はこれまで、ひきこもりの人達へのフォローを家族だけに押し付けていた。今後は社会全体で対策をしていかなければ、悲劇が繰り返されるかもしれません」(精神科医の和田秀樹氏)
ひきこもりの問題に正面から取り組む時期に来ているのだ。
『FRIDAY』2019年10月7日号より
- 撮影:蓮尾真司