イギリス諜報機関MI6 ロシアへの報復が始まった

セルゲイ・スクリパリ氏 元スパイの毒殺未遂事件で

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防護服を着た係官による除染作業の様子。スクリパリ氏の自宅に駆けつけた警察官も救急車で搬送されるなど、使用された神経剤の毒性は強力

ロンドンの西にある観光都市、ソールズベリー。その中心街にあるショッピングセンター近くのベンチで、異常な様子の老紳士と若い女性が発見された。

男性は空を見上げる格好で白目を剥いて泡を吹いており、女性は男性にもたれかかるようにして意識を失っている――。

無惨な姿を晒していたのは、GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)の元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)。女性は娘のユリアさん(33)だった。

「英国のメイ首相は、この暗殺未遂事件で使用されたのがロシア製の神経剤『ノビチョク』だと断定しました。ノビチョクは旧ソ連時代に開発された化学兵器で、北朝鮮の金正男氏暗殺に使われたVXガスの5~8倍の毒性を持つとされています」(在英ジャーナリストの木村正人氏)

スクリパリ氏はいわゆる「二重スパイ」で、2010年に英国に亡命。当時首相だったロシアのプーチン大統領は「裏切り者には死を」と”予言”していたという。ロシア側は今回の事件への関与を否定しているが、英国サイドは「ロシアはいろいろな観点から有害で破壊的な勢力である」(ボリス・ジョンソン外相)などと、名指しで糾弾を開始。もはや「全面戦争」も辞さない構えでいる。

こうなると注目されるのが、英国の誇る秘密情報機関MI6による、ロシアへの反撃だ。統括するのは、ロシア批判の急先鋒でもあるジョンソン外相である。

「近年のロシアは、イギリスやEU寄りだったウクライナへの軍事介入を強行するなど露骨に牙を剥いており、イギリスはこれを『ロシアに舐められている』と捉えている。これまではロシア政府の関与が疑われても、あくまで『疑わしい』というレベルで収めてきましたが、ジョンソン外相の態度を見ても、今後は強硬な姿勢を取るようになる可能性が高い」(前出・木村氏)

そもそもスクリパリ氏に二重スパイをさせ庇護していたのはMI6であり、自宅の庭を荒らされた「ダブルオー要員」が、このまま黙っているとは考えにくい。

国際ジャーナリストの山田敏弘氏も、MI6の反撃についてこう語る。

「必ず、それなりの報復をするでしょう。プーチン大統領に繋がる企業や個人を公表し、『ロシアの諜報活動に連なっている』として、経済制裁を強化するなどが考えられます。また、サイバー戦を仕掛ける可能性もある。MI6はロシア側が存在を隠すスパイの情報も握っていますから、表沙汰にされては困る彼らの名前や個人情報をネットに流して打撃を与えるというような報復も考えられます」

凄腕エージェントたちの暗躍は、すでに始まっているのかもしれない。

事件の数日前、防犯カメラに映るスクリパリ氏。同氏の兄、息子も不審死を遂げており、ロシアの関与が疑われている

 

Photo Gallary2

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