日本がおそれるスーパーサブ、サモアSOピシは「スシローが好き」

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トゥシ・ピシはリザーブスタート。サントリー、サンウルブズ、豊田自動織機でプレーする日本通だ(写真:アフロ)

ラグビー日本代表は9月28日、優勝候補の強豪・アイルランド代表を19-12で下す金星を挙げて、開幕から2連勝を達成。決勝トーナメント進出に大きく近づいてきている中、5日に対戦するのがサモア代表だ。

有名な戦士の名にちなんだという「マヌーサモア」という愛称をもつ。国章にちなんだ南十字星のエンブレムを胸につけ、試合の前には「シヴァタウ」というウォークライを踊ることでも世界的に知られる。激しいタックルと個々のフィジカルを前面に押し出すプレーで、過去ワールドカップ(W杯)でベスト8に2度進出している。だが、2015年W杯では1勝3敗の4位に終わり、それ以降なかなか結果を出せない。さらに2017年にはサモアラグビー協会が一度破産し、財政難がチームの強化に影響していることは否めない。

今回のW杯で、サモアは予選プール初戦のロシアから6トライを挙げて34-9と勝利しボーナスポイントを獲得したが、続くスコットランドには0―34と零封された。そんなサモア代表候補の多くが海外でプレーしているが、日本でもプレー経験のある選手がいる。日本代表戦で控えに入った、37歳とチーム最年長のSOトゥシ・ピシがそのひとりだ。

サモアで生まれたが、幼い頃にニュージーランドのオークランドに家族で移り住んだ。2007年にクルセイダーズでスーパーラグビーデビューを果たし、フランスのトゥーロンを経て2010年から2016年まで日本のトップリーグのサントリーサンゴリアスでプレーし、2013年シーズンはチームのトップリーグ連覇に貢献し、プレーオフのMVPにも選出された。さらに、2016年に発足したサンウルブズの一員として、リーダーグループの一員として当時のマーク・ハメットヘッドコーチ(HC)と選手たちの橋渡し役となった。

サモア代表としては、2011年に初キャップを獲得し、2011年、15年と過去2度W杯に出場を果たし、今大会で3度目となる。2015年大会では、弟のジョージ、ケンとともに出場。2016年からはピシ本人も、弟たちもプレーするイングランドに渡り、ブリストルに移籍し、キャプテンも務めたが、今年から豊田自動織機と契約しトップリーグ復帰を果たす。

豊田自動織機に貢献したいという気持ちもあって、今年8月のパシフィックネーションズカップの参加を見送った。代表としてプレーしたのは昨年11月が最後で、今年は1度もマヌーサモアのジャージーを着ていなかったが、サモアのスティーブ・ジャクソンHCが「経験値の高い、スキルのある選手ディシジョンメイカーが必要」と最終的に31名のスコッドに入ったというわけだ。

「W杯が終わったら、またトップリーグを戦いたい」と語るピシはプロラグビー選手としても日本で最も長くキャリアを過ごしている。オフは、元ネットボール選手の夫人と子どもや家族との時間を大事にする優しい一面も見せる。

いつも試合を観に来る家族とともに日本での生活を大変、気に入っており、「息子が(お寿司を運んでくる)スシ・トレインが大好きなんだ。だからスシローによく行くよ」と笑顔を見せた。

そんな日本代表とは2015年に続いてW杯で対戦することになった。チームメイトに日本代表と戦う秘訣を教えているのかと尋ねられると、「それはない。食べ物だったり、日本の文化だったり作法だったりは教えるけどね」とかわして見せた。

警戒している日本代表の選手についても、「強いて挙げるなら(サントリーで一緒だった)松島(幸太朗)かな。でも全員だ」と警戒し、同じSOの田村優に関しては「いまは日本でナンバーワンのSOになったし、みんなレベルがすごく上がっている」と称えた。ピシにとって、日本は倒すべき相手であると同時に、やはり、サントリーやサンウルブズのチームメイトとの対戦を楽しみにしているようだ。

ナナイ=ウィリアムスはつかまっても前進する突破力がある(写真:アフロ)

そして日本を知るもう一人の選手がFBティム・ナナイ=ウィリアムズだ。オールブラックスの一員でかつてパナソニックでプレーしたCTBソニー=ビル・ウィリアムズの従兄弟で、今大会3試合連続の先発となった。ニュージーランドで生まれ育ち、チーフスで活躍し、セブンズのニュージーランド代表としてプレーしていた。

ただ15人制ラグビーのサモア代表としてプレーするために、セブンズのサモア代表でのプレーを経て初めて所属協会、代表チームを変更した選手となり、2015年のW杯に出場した。大会後から日本のリコーでプレーし、2018年からはフランスのクレルモンに所属している。実は妻は、チーフスとリコー時代の同僚ボークコリン雷神の妹である。

FBナナイ=ウィリアムズは「かつて自分も日本でプレーしたし、前回大会でも対戦している。日本代表は非常に質の高いチームで、1~15番まで全員トップクオリティーだ。一番親しいのはチーフスで一緒にプレーしたリーチ マイケルだ。間違いなく、警戒すべき選手だ。彼の勢いを止めることができるなら、この試合を制するチャンスが見えてくる」と日本代表を冷静に分析している。

スコットランド代表戦から中4日で、開催国の日本代表と対戦するという厳しい条件の中でも、日本に馴染みのある2人が闘志を燃やしている。

  • 取材・文斉藤健仁

    1975年生まれ。ラグビー、サッカーを中心に、雑誌やWEBで取材、執筆するスポーツライター。「DAZN」のラグビー中継の解説も務める。W杯は2019年大会まで5大会連続現地で取材。エディ・ジョーンズ監督率いた前回の日本代表戦は全57試合を取材した。近著に『ラグビー語辞典』(誠文堂新光社)、『ラグビー観戦入門』(海竜社)がある。自身も高校時代、タックルが得意なFBとしてプレー

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