紀州のドン・ファン 2億円の「隠し財産」はどこへ消えたのか

野崎幸助さんの右腕だった会社監査役が緊急証言

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墓を清める元監査役のM氏。生前も死後も、紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏が作った酒類販売会社を懸命に取り仕切っていた

「社長、安らかに眠ってくださいよ。まだ犯人は捕まっていませんが、社長の遺産は私ができる限り守りますから……」

田辺湾を見下ろす小高い丘に立つ、紀州のドン・ファンこと資産家・野崎幸助氏(享年77)の墓。5月に一周忌を行って以来、人が訪れることはめっきりなくなったこの場所に、毎日のように通い、墓前に手を合わせる男性がいる。

野崎氏が経営していた酒類販売会社「アプリコ」で監査役兼ゼネラルマネージャーを務めていたM氏。人使いの荒いことで有名だったドン・ファンが、全幅の信頼を寄せていた人物だ。

「酒の仕入れから販売、従業員の管理に至るまで、アプリコの経営はほぼ私が任せてもらっていました。昨年3月、亡くなる3ヵ月前に社長がSちゃんと結婚してからは、Sちゃんの身の回りの世話も全部私がやっていましたね」

まさに野崎氏のすべてを知るM氏は、一つの重大な疑問を持っているという。それは他でもない、9月13日に田辺市が緊急記者会見を開いて発表した、ドン・ファンの遺産額についてである。

「市は社長の遺産を13億円としました。不動産の評価額や所有していた絵画の鑑定がされていないことなど、ちょっとした不服はありますが、遺産の内容自体は概ね間違っていません。ただ、田辺市の調査から漏れた……というよりも、消えてしまった財産があるんです」

監査役だったM氏は、当然、アプリコの資産もチェックしていた。同社は三菱UFJ銀行やゆうちょ銀行、地銀などに複数の口座を持っていたが、それらの預金通帳が、遺産として計上されていない、というのだ。

「通帳に入っていたカネは、まとめると2億円近くありました。会社の資金も社長の財産であるはずなのに、いったいなぜ、通帳が遺産として計上されていないのか……。確かではありませんが、私なりにその理由は考えるところがあります。社長の死後、アプリコの社長には妻のSちゃんが就任。私にも一切口を出させず、好き放題やっていました。私は今年の春にSちゃんにクビにされたのでそれ以降のことは知りませんが、通帳のカネの行方は、間違いなくSちゃんが知っていると思います」 

妻・Sさんに対して怒り心頭のM氏。野崎氏の死後の彼女の態度について、さらにこうぶちまけた。

「社長の自宅の鍵は、Sちゃんが持っています。しかし、彼女は一周忌以来、まったく田辺には戻ってきていない。庭には雑草が生い茂り、家にもツタが伸びてきている。このままじゃ、家が朽ちてしまうと思い、遺族が『鍵を貸してほしい』と頼んだんですが、答えはNOでした。一体何を考えているのか……。あまりにも社長がかわいそうです」

そう言うとM氏は、墓の前に座り込み、野崎氏に何かを語り掛けるように、長い時間、目をつむっていた。

電話魔だった野崎氏。全幅の信頼を置いていたM氏には、一日に何度も電話をかけて指示を出していた
昨年12月、久しぶりに田辺市を訪れたSさん。野崎氏が亡くなって以来、ほとんど田辺市には来ていない

『FRIDAY』2019年10月11日号より

  • 撮影加藤慶(Sさん)

Photo Gallary3

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