元日本代表・大西将太郎「サモア戦この3つですべてがわかる」

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(撮影:谷本結利)

ラグビー日本代表は5日、グループリーグ第3戦でサモア代表に挑む。9月28日、優勝候補のアイルランドを撃破し、ワールドカップ(W杯)で初めて開幕2連勝を飾った日本代表だが、2007年W杯の日本代表キッカーをつとめ、『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(ワニブックス)を上梓した大西将太郎氏によると、一歩間違えるとサモアの潜在能力に飲み込まれてしまう危険性があるという。大西氏がサモア戦で熱狂するための3つポイントを語った。

9月24日のロシア戦(〇34-9)、同30日のスコットランド戦(●0-34)のサモアの2試合の戦いぶりを見ると、前半はモチベーション高いのですが、後半疲れが見えて自分たちの規律が乱れるとイライラがはじまって、反則やハイタックル、オフサイドが続きました。世界ランクも日本が7つ上なので、危なげなく勝てると考えるファンの方は多いかもしれませんが、私が現役時代から戦ってきた経験からも、楽観視していません。

【1 フィジカルバトル】

サモアは自分たちのリズムに乗せると怖いチーム。日本戦で先発するFLイオアネ、CTBタエフ、CTBレイウアといった選手は、試合の流れを一気に変えられる攻撃、ぶちかましやタックルができる。それをまともに食らって受け身に回ると、バック3(WTB、FB)にロシア戦で2トライしたWTBフィドウ、FBナナイ=ウィリアムズといった決定力のある選手にボールが回り、一気にトライされる可能性もある。そうさせないためにはまず、1対1のフィジカルバトルに勝たないといけません。前回大会までの日本代表はフィジカルバトルでサモアに劣勢に回る可能性もありましたが、今回の日本代表は勝てるだけの力がある。1対1のコンタクト場面の優劣に注目してください。

【2 規律】

1のバトルに勝つことがなぜ大切なのか。日本側の守りの規律が守られ、サモアの規律が乱せるんです。ポリネシアの国は我慢できる時間が短く、フラストレーションがたまると個々でバラバラなプレーになりがちなので、日本はなるべくその展開に持ち込みたい。戦い方も、攻めるときは相手を疲れさせるためにボールをよく動かすか、意図的にキックを多くして、ボールを持つことが好きなサモアにカウンターアタックさせて、しっかり守ってフラストレーションをためる戦法をとるでしょう。日本にとって共通して大切なのが、我慢して「規律」を守ることです。

サモアは危険なタックルで主力2人が出場停止。スコットランド戦から中4日という短い試合間隔の影響で、37歳の指令塔のトゥシ・ピシも先発しません。しかしスコットランド戦で退場し、日本戦は出場停止になると思われていたWTBフィドウが急きょ、出られることになりました。彼も判定に納得いかない感じで、一方でチームに対しては申し訳なさそうな様子だったので、その思いがプレーに出るでしょう。彼にボールが回ると脅威ですが、日本は反則を犯さず、ゴールに近いエリアに入れないように守り、できれば前半にリードしてハーフタイムを迎えたい。なぜならリードを許すと、後半にピシが出てきて、試合をコントロールされてしまう可能性があるからです。日本が攻めても、守ってもフェーズ(連続して攻撃している回数)が15回続くと、サモアに乱れが生じるでしょう。フェーズの数に注目してください。

【3 一戦集中】

現時点でグループリーグA組はアイルランドが勝ち点11、日本が9。サモア戦に勝っても1次リーグ突破は決まりません。初のベスト8にたどりつくには、13日のスコットランド戦が大一番になると考えてしまうと、足元をすくわれる可能性があるので、サモア戦に一戦必勝の気持ちで挑むことが大切です。

私が懸念しているのは、アイルランド戦に勝ったという「ビッグゲーム」の次の試合ということ、そして、W杯で3試合目という点です。これは私個人の経験ですが2007年W杯でもメンタル的な疲労が出てきたのが3戦目でした。アイルランド戦から先発で変わったのは2人。今大会初先発となる坂手淳史は「一戦必勝」の気持ちで先発できるし、彼の出来が勝敗のカギを握ると思います。

坂手の強烈なディフェンスやフィールドプレー、パスは堀江翔太にひけをとりません。ただ、9月6日の南アフリカ戦に先発した時も、スクラム、ラインアウトで安定したボール供給が出来なかった場合、責任感を感じてしまうところがあり、それが得意なプレーにまで影響を及ぼしてしまう。彼が抱いた不安な気持ちは、BKの選手たちにも影響を与えてしまいます。日本のファーストスクラム、ファーストラインアウトを注目してください。うまくいけば、彼自身、気持ちがのっていけると思う。坂手は、堀江の後継とならないといけない。堀江が今や全体に外せない存在になっているからこそ、サモア戦で坂手がどんなプレーを見せられるかで、これからの日本代表を占える。日本代表のみならず、坂手にとっても、人生で最も大事な試合になるでしょう。

<プロフィール>

大西将太郞(おおにし・しょうたろう)

1978年、大阪府生まれ。布施ラグビースクールでラグビーをはじめ、大阪・啓光学園(現・常翔啓光学園)で全国大会準優勝。高校日本代表では主将もつとめた。同志社大学を卒業後、ワールド、ヤマハ発動機、近鉄、豊田自動織機で活躍。トップリーグでは通算143試合に出場。日本代表は大学4年時から選ばれ、通算33試合に出場。W杯は2007年フランス大会に出場し、カナダ戦で終了直前に同点ゴールを決め、日本代表のW杯連敗記録を13で阻止した。

 

Photo Gallary2

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