隠れドラフト1位候補 流しの捕手「佐々木に匹敵する4人の剛腕」

大船渡の佐々木や星稜の奥川ばかりが注目される今年のドラフト会議。逸材投手は他にもいる。名伯楽が実際に球をうけた1位候補の素顔を明かす。

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東海理化の立野和明投手(右)と談笑する、流しの捕手・安倍昌彦氏。これまでに250人以上のドラフト候補投手の球を受けてきた

10月17日に迫ったプロ野球ドラフト会議。注目されるのは佐々木朗希(岩手・大船渡高)や奥川恭伸(石川・星稜高)、森下暢仁(明治大)の3人だ。だがドラフト上位指名が予想される選手は、他にもいる。早稲田大野球部出身で、’00年以降250人以上のドラフト候補投手の球を受けてきた“流しのブルペンキャッチャー”安倍昌彦氏(64)が、“ビッグ3”以外の逸材4人を紹介する。

東海理化・立野和明(21) 低目へのバツグンの制球力

181cm77kg 右投げ右打ち 中部大学第一高(愛知県)→東海理化

東海理化・立野和明投手のフォーム。手足の長さを利用したキレイなオーバーハンドだ

都市対抗を観戦している時は淡々と投げていたので、ビックリするような球は持っていないんだろうなと感じていました。しかし見るのと、実際にボールを捕るのでは大違い。30球ほど受けましたが、構えた場所より高目に来る球が1球もないんです。手足の長いキレイなオーバースローで、すべて低目に制球されています。20年近く“流しの捕手”をしてきましたが、ここまでコントロールの良い投手は珍しい。楽天の岸孝之のようなタイプですね。

変化球もバツグン。特にイイのが、長身から投げ下ろされるスプリットです。ホームベースあたりでグンと落ちる。あまりの落差に捕球することができませんでした。ストレートの最速は151kmですが、21歳という年齢を考えると伸びシロは大きいと思います。

やさしい顔立ちで穏やかな印象を受けましたが、同年代のプロ投手の話になると目つきが厳しくなる。ポーカーフェイスで投げつつ、内面に激しさを秘めているのはプロ向きです。本人は「マウンドに立つのが大好き。毎日でも投げたい」と話していたので、抑え向きかもしれません。課題は、プロレベルの好打者との対戦経験が少ないことでしょうか。

青森山田高(青森県)・堀田賢慎(18) 練習方法を自分で研究

185cm80kg 右投げ右打ち

大船渡高の佐々木と似たタイプです。70%ぐらいの力感で、100%の力のボールが投げられます。「その腕の振りで、そんなにエグい球が投げられるのかよ」というのが、率直な感想ですね。ミットを構えようとしたら、キレのある速球が手前まで来ている。プロの打者でもタイミングを合わせるのは、相当難しいでしょう。野球経験者のお父さんから、「力任せに投げるな」と指導されたのが大きく影響したようです。140km台後半という球速以上に、ボールのノビを感じます。

昨冬に急成長しました。体重も10kg、最速も10km伸びたそうです。理由を聞くと、こう答えました。

「メジャーリーガーや他のスポーツのアスリートの練習方法を、ネットで独自に調べたんです。その中から自分に合うトレーニングを取捨選択して実践し成長できました」

研究熱心なんですよ。ただ青森山田高の監督に聞くと「自分の考えが強すぎてガンコなのが難点」だそうです。周囲のアドバイスを聞く耳を持てれば、もっと成長するでしょう。

東芝・岡野祐一郎(25) 投手の才能すべてがAランク

180cm85kg 右投げ右打ち 聖光学院(福島県)→青山学院大→東芝

150km近い球速、変化球の多さ、内外角へのコントロール、牽制力、フィールディング……。投手が持つべき才能のすべてがAランクです。打者が打ち気だと感じると、タイミングを外すように突如クイックモーションで投げたりする。クレバーなんです。阪神の西勇輝のようなタイプですね。

ストレートの破壊力は十分。ミットで受けると、手の骨に巨岩を投げつけられたようなガツンという衝撃を感じます。プロの打者が「とらえた」と感じても、球の威力で押し込まれてしまうでしょう。

高校時代は華奢でしたが、社会人になり身体が1回り大きくなった。ただ年齢的にも伸びシロはない。プロ入りすれば、1年目から結果を求められると思います。

創志学園(岡山県)・西純矢(18) ボールを持つと人格が激変

184cm85kg 右投げ右打ち

佐々木、奥川と並ぶ“高校生ビッグ3”の一人です。昨夏の甲子園ではオーバーなガッツポーズが話題になりましたが、「あれは照れ隠しじゃないの?」と聞くとこう答えました。

「その通りなんです。実はボク、気が小さくて。気持ちを高めるためにやっているんです」

ボールを受けたのは今年の5月で、当日は雨が降っていました。本人は「マウンドがぬかるんでいるからいい球が投げられるかなぁ……」とブツブツ言っていましたが、ボールを持った瞬間に目つきが変わった。大人しそうな態度が一変、気迫十分になるんです。プロ向きの性格だなと感じました。
最速154kmの速球はスピンが効いている。ボールがホップするので、球を受けたミットが持ち上げられるように感じました。要所要所での気合の入れ方も、ズバ抜けています。「絶対に抑えてやる」という強い気持ちで、決め球を投げるんです。楽天・則本昂大のような、気迫十分のエースになれるでしょう。

紹介した4人は、ドラフト上位で指名される可能性が高い。プロでの活躍が楽しみだ。

…………………

安倍昌彦(あべ・まさひこ) ‘55年、宮崎県生まれ。早稲田大野球部出身で早大高等学院の監督も務めた。雑誌の企画をキッカケに、’00年から“流しのブルペンキャッチャー”として250人以上のドラフト候補投手のボールを受けてきた。著書に『スカウト魂』(日刊スポーツ新聞社)、『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)など。

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