「メタボ臭」と「ダイエット臭」。太っても、痩せてもクサイ!?

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現代人が抱える数々のニオイの悩みの中から、最近、相談が多いという2つのニオイをピックアップ。それぞれの原因や対処法を、体臭治療を専門に20年以上も前から手がけているというパイオニア・五味常明氏に聞く。 

人間の脳内温度は、37℃前後。これを保つために、汗をかき体温を調整する

太っている人は、若くても加齢臭に

太っている人は体臭がキツイ! と感じるのは、たいへん失礼な偏見だろうか。だとしたら、改めなくてはと思ったが、

「太っている人は、汗が原因で体臭が強くなります」(五味常明氏 以下同) 

どうやら、実際に臭うらしい。

「人間の平熱は36.5度前後。外気温が高かったり、運動することで体が熱をもつと、体は汗を出し、その気化熱で体温を下げます。しかし、太っている人は、脂肪という断熱材を体に多くまとっているため、通常に人より体温が上がりやすい。だから、たくさん汗をかく。 

汗の原料は血液です。汗腺には分泌部という汗のもとを作る部分があり、ここで赤血球を除いた血漿から汗のもとが作られます。この血漿にはナトリウムやカリウムなどのミネラルのほかに、アンモニアや乳酸というニオイのもととなる成分も含まれています。これらはいったん分泌部にたまりますが、ミネラルやニオイ成分は血液に再吸収され、残りを汗として出している。ろ過しているわけですね。理想的な汗は“水”なんです。 

ところが、太っている人はどっとたくさんの汗をかくから、再吸収される時間がなく、アンモニアや乳酸をたくさん含んだ汗になる。乳酸は皮膚の上で分解されると、ジアセチルという非常にニオイがきつい物質になるんです」 

太っている人の体臭がきつくなる理由はもう一つ。脂肪酸にあるという。

「太っている人の脂肪細胞は大きいだけではなくて、形もいびつ。そのため、毛細血管が圧迫されて、血行が悪くなる。そうすると、脂肪酸が分泌され、汗に含まれやすくなる。この脂肪酸を含んだ汗は、油のニオイがします」

皮脂も酸化して脂肪酸になる。その中の一つが“ノネナール”というニオイ成分で、加齢臭がするのだとか。

太っている人は、若くても、加齢臭にもなりやすいというのだ!

極端なダイエットをすると「ダイエット臭」が

太っている人が体臭を消す方法は、ただ一つ。やせること。けれど、過激な食事制限は体臭や口臭を強くすると、五味氏は言う。

「過激なダイエットでエネルギー源が不足すると、中性脂肪は分解され、脂肪酸を作ります。その脂肪酸からはケトン体という物質が合成されます。ケトン体は血液の中に増えると、呼気や汗、尿で排出されますが、同時に体全体や息から果物が腐ったようなツーンとした『ダイエット臭』を発散させることになります」

太っても臭う。ダイエットをしても臭う。いったいどうすればいいのかと叫びたくなるが、

「正しいダイエットをすればいいのです」 

まず運動。ケトン体が生成されたとしても、燃焼させればいい。1日20~30分は歩き、できれば軽い筋肉トレーニングもしてほしいと五味氏。運動すれば汗をかくので汗腺機能も高まり、サラサラのいい汗が出るようにもなる。

「汗腺機能が衰えていると、ニオイ濃度の高い汗を出すようになるだけでなく、体温調整がうまく働かなくなるので、体は自衛的に代謝を抑えるようになります。結果、痩せにくい体質にもなります」 

汗腺を鍛えると、代謝も改善するので、「冷え」や「夏バテ」の予防にも効果があるという。

「そしてバランスのいい食事。タンパク質やビタミン、ミネラルをしっかり摂る。タンパク質を摂ることで、ケトン体の合成を抑えることができます。また、ケトン体が多くなると、体が酸性に傾く傾向があるので、梅干し、ワカメ、シイタケ、ほうれんそう、大豆などのアルカリ性食品を積極的に摂るといいでしょう」 

空腹を我慢するのもよくない。おなかが空くと、唾液が少なくなり、口臭がきつくなるからだ。

夏よりもクサイ!? これからの季節の汗に要注意! そこで、汗腺トレーニング

暑い夏が過ぎ、汗をかかなくてすむ季節がやってくる。夏ほど体臭を気にしなくてすむかと思いきや、

「夏は汗をたくさんかくので、汗腺機能が高まっていますが、冬に近づき、汗をあまりかかなくなると、汗腺の機能も衰えてきます。だから、濃度の高い汗をかきやすい。冬の汗を臭くしないためにも汗腺を鍛えることをおすすめします」 

五味氏イチオシの汗腺トレーニングは、手足浴。43~44度の熱めのお湯を湯船の3分の1ほどため、そこに両足のひざから下、両手のひじから指先までをつけて10~15分。汗腺機能を高めるためには、全身浴より、手足だけを温める「温熱刺激」が効果的だとか。 

「手足には、ふだんあまり機能していない『休眠汗腺』が多数存在していて、手足浴は、その休眠汗腺を目覚めさせるのにつながります」

全身から汗が出てきたら終了だ。そのあと、水かぬるめのお湯を足して10~15分つかり、高温で高まった自律神経を鎮める。お風呂から上がったら、十分に水分をとり、すぐに服を着ないで、汗が蒸発するまで体を乾かす。このときエアコンや扇風機を使ってはダメ。急激に体を冷やさないよう、室温を適度に保つようにする。

入浴は寝る1時間前がおすすめだ。お風呂に入った後、すぐに寝ると寝汗をかきやすいので、ニオイのもとになってしまうそうだ。

「体臭がきつくなったと感じたら、健康が損なわれていると考えたほうがいいでしょう。特に、太っている人は、生活習慣病になりやすい。糖尿病予備軍になると、ダイエット臭と同じニオイが出やすくなります」 

結局は、体臭予防のためにも、太りすぎず、やせすぎず、健康でいることが大切ってことだ。 

五味常明 体臭研究の第一人者として、治療と研究を行うほか、大手メーカーとともに消臭関連商品の開発に携わっている。五味クリニック院長。体臭・多汗研究所所長。著書に『なぜ一流の男は匂いまでマネジメントするのか?』『暑さに負けないクールダウン健康法』など多数。

  • 取材・文中川いづみイラスト渡辺鉄平

Photo Gallary1

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