ビットコインを超えた仮想通貨「草コイン」の世界 | FRIDAYデジタル

ビットコインを超えた仮想通貨「草コイン」の世界

「草コイン」はこのようにして取り引きされている

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2月2日、コインチェック本社に金融庁が立ち入り検査。警視庁は100人規模の捜査本部を設置する意向だという

「いま注目されているのはビットコインではありません。僕の周囲の投資家たちは、『草コイン』への投資で一攫千金を狙っています」

仮想通貨の代表格であるビットコインの価格は昨年12月、最高で1BTC=230万円超にまで膨らんだ。交換業者のコインチェック社がおよそ580億円分の通貨を流出させる事故を引き起こして以降、仮想通貨全体としての価格はやや下降気味ではあるものの、多くの投資家たちが、今でも「バブル」の恩恵に与っている。

そんななか、ビットコインに当初から目を付けていた〝先駆者〟たちのトレンドは、すでに別の仮想通貨へと移っている。それが第三の仮想通貨と称される、「草コイン」だ。

冒頭のように熱く語るのは、仮想通貨事情に詳しい個人投資家のA氏。A氏は東京大学の大学院に通いながら、これまで仮想通貨への投資で数百万円の儲けを出してきたという。

「草コインの定義は曖昧ですが、一般的には時価総額が小さく、知名度の低い仮想通貨のことを言います。『笑ってしまう(=ネットスラングで「草」)くらい価値のないコインだから』なんて説まであります。草コインは日本国内の仮想通貨の取引所ではほとんど取り扱いがないため、ビットコインなどの一般的な仮想通貨の銘柄と同じようには購入できません。まず国内の取引所でビットコインや他のメジャーな仮想通貨を購入する。それをBinance(バイナンス)などの海外の取引所に予め開設しておいた自分のアカウントに送金。その後、草コインを購入する取引ができるようになるのです」(A氏)

やや購入方法が複雑な印象だが、日本国内にいる投資家たちはほとんど海外の取引所を利用して取引を行わないため、投機対象としては「ブルーオーシャン」(競合相手のいない領域)なのだとか。

「草コインは短期で価値の〝爆上げ〟が期待できるのが魅力。1日で数倍、1年もすれば数千倍にまで跳ね上がることもあります。半面、普通の仮想通貨よりも取引をしている人数が少なく、価格の変動が読みにくいため、価値が突然ほぼゼロになってしまうことも。『ハイリスク・ハイリターン』ではあります。でも、例えば数種類の銘柄をそれぞれ数万円程度ずつ購入し、各々の〝爆上げ〟に期待する。宝くじを買う感覚に似ていますが、それよりははるかに期待値が高く、かつ飽和状態のビットコインなどよりも儲けを出せる潜在的な可能性があるため、人気が高まっているのです。僕の周りの学生のなかには、親から貰った仕送りや奨学金をソックリそのまま草コインに突っ込んで、1500万円儲けた人もいます」(同前)

実際、A氏の周囲では、仮想通貨の黎明期に参入できなかった個人投資家たちが草コインを続々と購入。着々と儲けを出しているのだという。

なんとも興味深い草コインの世界だが、「捨て金になる可能性が高い」と、仮想通貨に詳しい京都大学公共政策大学院教授の岩下直行氏は強く警告する。

「草コインは誰がどう作っているのか分からないものばかり。もし何か起こっても法的な補償はまったくありません。そもそも、草コインの取引に使用されるような海外の取引所は、ほとんどが金融庁の登録の申請すら行っていません。このような取引所が日本人相手に仮想通貨の販売を行えば、その時点で無登録取引に当たり、資金決済法違反になります。すなわち、ここで取引をすることは、違法行為の片棒を担ぐことになってしまう可能性があるのです」

コインチェックやマウントゴックスの流出事件からも分かるように、ただでさえリスキーな仮想通貨の世界。甘い夢に騙され、苦い思いをせぬよう……。

東京・渋谷区にあるコインチェック本社が入ったビル。オフィスは昨年7月に移転したばかりだった

海外の取引所で一般的な仮想通貨を用いて、草コインの取引を行っている画面。非常に安価で購入できる

仮想通貨「リップル」を海外の取引所へ送金している画面。これができれば、草コインの購入をすることができる

写真:読売新聞/アフロ(立ち入り検査) 小松寛之(コインチェック本社)

 

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