深層レポート「南北融和ムード」は3月で終わる

金正恩は韓国特使団を歓待したが

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5日に開催された、金正恩氏の晩餐会の様子。正恩氏の左隣が李正雪夫人で、その2つ左隣が金与正氏

北朝鮮の首都・平壌にある朝鮮労働党本部『ツツジ館』。3月5日午後6時すぎ、金正恩(キムジョンウン)委員長は韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の特使団を出迎え、晩餐会を開いた。会にはピンクのジャケットを着た李雪主(リソルジュ)夫人、さらに妹の金与正(キムヨジョン)氏も同席し、ワインなどアルコール類も振る舞われた。正恩氏は終始、楽しげな表情で、会が終わったのは午後10時すぎのこと。実に4時間以上にわたって歓待したのだ。

「今回の晩餐会はこれまで南北首脳会談などが開催された迎賓館『百花園招待所』ではなく、北朝鮮の心臓部とも言える党本部。党本部に韓国政府の要人が入ったのは初めてのことです。李雪主夫人と金与正氏がそろって外国の要人に会ったというのもこれまで確認されていません。異例ずくめの歓待だったのです」(在韓ジャーナリスト)

6日には韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長が、正恩氏と文大統領による南北首脳会談を実施することで合意したと発表。4月末に38度線上の板門店で開かれるといい、実現すれば’07年以来、正恩政権にとっては初めてのこととなる。1月の南北閣僚級会談、2月の平昌五輪での金与正氏の訪韓など、近年例がないほど、「南北融和ムード」が高まっている。しかし、国際社会を裏切り続けてきた北朝鮮によるこの「融和ムード」を額面通りに受け取っていいのか。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が話す。

「金正恩氏が韓国との融和に動いているのは、トランプ大統領に朝鮮半島での軍事オプションを起こさせないようにするためです。昨年11月末にアメリカ本土を射程に入れた『火星15』を発射して以降、”アメリカ・ファースト”のトランプ大統領は、何らかの軍事行動を強行する可能性は常にある。そのために、南北融和を演出し、軍事行動を防ごうとしているのです。同時に、核ミサイルの能力にさらに磨きをかけるための時間稼ぎにもなるわけです。ただ、アメリカとしても、南北の分断を図ったり、先制攻撃の材料を作るための情報操作など、様々な手を講じる可能性はあるでしょう」

5日にアメリカの北朝鮮研究機関『38ノース』は、北朝鮮の北西部、寧辺の核施設の衛星写真を公開した。’15年以来停止していたと見られる原子炉が稼働し、核爆弾の原料となるプルトニウムの生産を再開した可能性があると発表。実際に北朝鮮は着々と準備を進めているのだ。

北朝鮮も参加している、平昌パラリンピックが終わるのが3月18日。その後、事態が急展開する可能性は十分にある。龍谷大学社会学部教授の李相哲氏が話す。

「4月上旬から米韓合同軍事演習が行われます。この時から、北朝鮮は二重の対応を見せると思います。韓国と融和ムードを続けつつ、再びミサイル発射実験などで、威嚇、挑発を始める可能性がある。その状態でも、文大統領は対話を続けていけるのか。現在の融和ムードは、つかの間の、偽りの平和と言えるでしょう」

南北の融和ムードが綻び始めた瞬間が、Xデーになるのかもしれない。

写真:The Blue House/AFP/アフロ

 

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