「これで最後です」と宣言。それでも山中慎介の偉業は色あせない
「悪ガキ」ルイス・ネリにノックアウトされたけど
|スポーツ
「息子の期待に応えられなかったのは残念ですけど、目標に向かっている姿を見せられてよかったと思います……」
1日に行われたボクシング・WBC世界バンタム級のタイトルマッチで、山中慎介(35)が前王者のルイス・ネリ(23)に2回TKO負けを喫した。果たすことの叶わなかった雪辱。山中は涙を浮かべながら、試合を冒頭のように振り返った。
「ネリは昨年8月に山中を倒してから、古くからのトレーナーを遠ざけた。体重管理にトレーナーが関与しないのはあり得ないことですが、ネリは新たに雇った栄養士と二人だけで相談して減量失敗、再計量もパスできず、ベルトを剥奪された。『王者』になったことの驕(おご)りがうかがえました」(スポーツライターの渋谷淳氏)
関係者やファンのネリへの怒りは収まらない。だがそれでも、当の山中は一切言い訳をせず、「引退」宣言をした。
「試合直後で疲れているなか、山中は応援に駆けつけていた地元滋賀県の後援会長らの元へ行き『自分が弱かっただけです』『皆さんには感謝しかありません』『今後は家族とゆっくりします』と充血した目で話していました」(山中の支援者)
予想だにしなかった山中の「最後」を悲しむファンは多い。それでも、プロ31戦で27勝を挙げた拳が築き上げた栄光の記憶は、ファンの心から消えることはない。
写真:日刊スポーツ/アフロ