プロ野球CSをさらに盛り上げる秘策!不満も出る現行制度を改革

現状の12球団のまま、CSをさらに盛り上げる大胆な改革案がこれだ!

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18年シーズン、リーグ優勝を果たしたものの、CSでソフトバンクに敗れ日本シリーズ進出が果たせず、涙を流す西武・辻発彦監督

盛り上がりを見せるクライマックスシリーズ(CS)だが、不満の声もある。特に、優勝したのにCSで敗れ日本シリーズに出場できないケースが問題視されている。より納得性を高めるため、大胆な改革案を提言する。

2007年にセ・パ両リーグで始まったクライマックスシリーズ(CS)は、すっかり定着した感がある。

ペナントレースと日本シリーズの間に、両リーグで短期決戦のシリーズを行うことのメリットは非常に大きい。
まず興行面では、両リーグで最大18もの試合が増えた。試合の興行収益は、ファーストステージは2位チーム、ファイナルステージはリーグ優勝チームに入る。ペナントレースで頑張ってきた球団にとっては、大きなボーナスだ(日本シリーズの興行収益はNPBに入るため両チームの懐は潤わない)。
しかも、クライマックスシリーズは熱戦になることが多い。対戦相手は同一リーグ。ペナントレースで25試合も顔を合わせてきた相手だ。手の内は十分に知っている。だから総力戦になる。
ファーストステージは2位チームが0.5勝(引き分け)、ファイナルステージはリーグ優勝チームが1勝のアドバンテージがあるが、下位チームがそれを克服してのし上がる「下剋上」も試合の興趣を盛り上げる。

またCSができたことで、消化試合が減った。3位になる可能性があるチームは、最後まで勝負をあきらめない。今年の阪神のように最終盤6連勝で広島を鼻差で差すようなデッドヒートも起こるのだ。

興行的には大成功と言ってよいだろう。

しかし、一方で、ファンの間では常にブーイングも起こっている。半年に及ぶ長いペナントレースを戦って、ようやく頂点に上り詰めたと思ったら、わずか数試合の短期シリーズの結果で、頂上決戦である日本シリーズへの出場権を剥奪されることもあるのだ。昨年の西武、辻発彦監督などは、無念さのあまり涙した。
いくらアドバンテージがあるといっても理不尽ではないか。その言い分ももっともだ。

ポストシーズンのさらなる充実は、MLBでも大きなテーマだった。
MLBでは1968年まではアメリカン・ナショナル両リーグの優勝チームが7回戦制で戦うワールドシリーズだけだったが、1969年に両リーグが東西地区に分かれたことで、リーグ優勝決定シリーズが始まる。そして1994年には両リーグが3地区に分かれたことで、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズになる。さらに2012年からワイルドカードゲームが加わって、MLB各リーグのチームは、最大3つのラウンドを勝ち抜かないとワールドシリーズに進出できなくなった。
ポストシーズンの試合数が増え、複雑になることで、レギュラーシーズンが終わってから1ヵ月近くもファンを引き付けておくことができるようになった。

MLBでも、リーグ最高勝率のチームが地区シリーズやリーグ優勝決定シリーズで敗退することがあるから、ファンの不満の声はないわけではない。しかし、NPBのポストシーズンのような大きなブーイングはない。

それは、ポストシーズンがペナントレースの価値を損なわないように、よく考えて設計されているからだ。

現行の制度で説明すると、両リーグ3地区の優勝チームは自動的に地区シリーズへの出場権を得る。地区シリーズの残る1枚の出場権は、各地区2位以下の勝率上位2チームによる1試合だけの地区シリーズ出場決定戦(ワイルドカードゲーム)を勝ち抜いたチームが手にする。
ワイルドカードゲームはレギュラーシーズン閉幕の日後に一発勝負で行われる。勝ち抜いたチームは中日で地区シリーズに出場するために、遠い敵地に移動しなければならない。過酷な条件であり、地区優勝チームとの待遇の差は明らかだ。このあたり、NPBのポストシーズンよりも納得性が高いといえるだろう。
ワイルドカードの導入によってMLBのペナントレースは、地区の順位争いとともに、各地区の2位以下のチームによる勝率争いも行われるようになった。
MLBのレギュラーシーズン中は、各地区の順位表に加え、ワイルドカードの順位表も掲示されるようになった。ペナントレースは複雑になり消化試合が減った。そしてファンの興味を長く引き付けることができるようになった。

MLBのポストシーズンが、NPBよりも納得性が高いのは、単にポストシーズンを変革しただけでなく、エクスパンションや各地区の球団数の是正など、両リーグにまたがる大胆な編成の変更も断行したことが大きい。
歴史的経緯もあって、2012年までア・リーグは14球団、ナ・リーグは16球団だったが、2013年にヒューストン・アストロズをナ・リーグからア・リーグに鞍替えさせ、3地区15球団ずつに編成しなおしたのはその一例だ。
公平で、納得性の高いシーズン運営をするために、MLBは常にリーグに手を入れている。

NPBもポストシーズンの充実を図るため試行錯誤をしてきた。パ・リーグでは1973年から1982年まで2シーズン制を採用し、プレーオフを実施した。
しかし前期だけ頑張って後期は「死んだふり」をするチームが出たり、前後期ともに同じチームが優勝してプレーオフがなくなったり、前後期とも2位のチームが通期では最高勝率なのに日本シリーズに出られなかったり、盛り上がらなかった。

やはりポストシーズンを充実させるためには、現在のリーグ、チームの編成を大胆に変えないと難しいのだ。エクスパンションもセットで考えるべきだ。

しかし、現在のNPBの12球団でも、再編成することで、より納得性の高いポストシーズンにすることは可能だ。12球団を3地区に分けて、この優勝チームにMLB同様、ワイルドカードで進出するチームを加えてポストシーズンを戦えばよいのだ。

仮に3地区制にして2019年の成績を割り振るとこうなる。

■東地区
1西 武143試80勝62敗1分 勝率.563差‐
2楽 天143試71勝68敗4分 勝率.511差7.5
3ロッテ143試69勝70敗4分 勝率.496差9.5
4日本ハム143試65勝73敗5分 勝率.471差13.0

■中地区
1巨 人143試77勝64敗2分 勝率.546差‐
2DeNA143試71勝69敗3分 勝率.507差5.5
3中 日143試68勝73敗2分 勝率.482差9.0
4ヤクルト143試59勝82敗2分 勝率.418差18.0

■西地区
1ソフトバンク143試76勝62敗5分 勝率.551差‐
2阪 神143試69勝68敗6分 勝率.504差6.5
3広 島143試70勝70敗3分 勝率.500差7.0
4オリックス143試61勝75敗7分 勝率.449差14.0

ポストシーズンは、まず各地区優勝の西武、巨人、ソフトバンクが地区シリーズに出場。
残る1枚のカードは、2位以下で勝率の高い楽天とDeNAが一発勝負のワイルドカードゲームで勝負をつけることになる。

これであれば、ペナントレースの結果を大きく損なうことなくポストシーズンを運営できるのではないか。

3地区制でペナントレースをするなら、同一地区の3チームとは21試合ずつの63試合、他地区8チームと10試合ずつで80試合戦えば、シーズンの試合数は今と変わらない143試合になる。

これならすぐにでも実現しそうだが、現実にはなかなか厳しい。

セ・リーグとパ・リーグは、1950年の2リーグ分立時に、半ば喧嘩別れのようにして袂を分かった。引き抜き合戦も横行し、以来、ライバル心をむき出しにするようになった。
DH制をパが導入したときもセは、導入しなかった。開幕日、シーズン終幕日も別。審判部も記録部も別。両リーグが独自性を主張してきたのだ。
2009年からセ・パ両リーグはそれぞれの事務局を廃止して、コミッショナーのもとに統合されたのだが、それでも2011年の東日本大震災の時には、開幕日の問題で対立した。今でも両リーグには対抗意識が根強く残っているのだ。

だから2リーグ制から3リーグ(地区)制にするのは、大きな抵抗が予想されるが、NPB全体の発展のためにも、こうした大胆な改革も一つの選択肢ではないだろうか。

 

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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