ラグビースコットランド戦 元代表大西将太郎が語る勝敗の分かれ目 | FRIDAYデジタル

ラグビースコットランド戦 元代表大西将太郎が語る勝敗の分かれ目

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
(撮影:谷本結利)
(撮影:谷本結利)

ラグビー日本代表は13日、グループリーグ第4戦でスコットランド代表戦に挑む。史上初の決勝トーナメントに進出がかかる日本代表にとっては大一番だが、過去1勝10敗と苦手にしていて、台風19号の接近により、大荒れの天候下での試合も想定される。2007年W杯の日本代表キッカーをつとめ、『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(ワニブックス)を上梓した大西将太郎氏は、そのイレギュラーな状況下で勝つためにカギとなる3つのポイントをあげた。

この試合のポイントは、当日の天候です。特に台風の通過に伴う風の状況に注目しています。なぜなら、風の状態によってスコットランドがとってくる戦術が変わる可能性もあるからです。

今大会のスコットランドを振り返ると、初戦のアイルランド戦(●3-34)は雨の中で、自分たちが目指すピッチの横幅をいっぱいに使い、ボールを大きく展開するラグビーを全くできなかった。しかし2戦目のサモア戦(〇34-0)は自分たちのラグビーにチャレンジできたが、高温多湿の天候もあり、ハンドリングエラーが多数あった。そこで試合中に、バックスの中心選手、SHレイドローとSOラッセルが話し合い、キック主体の試合に変えて、サモアに得点すら許さなかった。

彼らは普段は雨が多く、芝がぬかるんだ土地でラグビーをしています。キックを多用して大きなFWを前に出すことは本来、彼らの得意とする部分。それは今大会目指しているスタイルとは違うかもしれませんが、台風による強風の影響で、キック主体の試合にシフトして、彼らのDNAとも言える部分を前面に出すことを予想しています。そこでカギとなる3選手をあげてみました。

【1 SO田村優vsSHレイドロー】

キッカーの彼らにかかる重要度は普段の試合の3,4倍あるでしょう。風が強い試合はパスを回すことが簡単にできなくなるからです。おそらく3-0、6-3といった僅差の時間が長く続くでしょう。その緊迫感の中でキックを心地よく蹴れる状況を作るには、1本目のペナルティゴールを決めることが大事なんです。そのことが試合の流れまで左右する可能性がある。2人の1本目のPGの成否に注目してください。

【2 FBトゥポウvsFBホッグ】

第1戦のロシア戦で、キック処理をあやまって先制トライにつなげてしまったFBトゥポウが先発に復帰します。キック処理もやはり風の影響を受けますが、無難にキャッチできれば、日本は有利に試合が進められると予想しています。キックをキャッチした時に生じる相手のディフェンス陣形が整っていない「カオス」の状況からの攻撃は日本が4年間、積み上げてきている。日本はボール保持者に対してどの局面でも複数の選手がサポートに走り、ディフェンスの側からすると誰にボールが渡るのか、的が絞りづらい。一方のスコットランドは、ピッチの横幅いっぱいに使おうとする分、ボール保持者に対するサポート選手の数が減るので、ディフェンスの的が絞りやすいんです。その意味でも、トゥポウがキック処理を無難にこなせるかに注目してください。

【3 HO堀江vsブラウン】

1戦目のロシア戦でも1度書きましたが、ラインアウトのスローイングも会場の雰囲気や緊張の度合いで手元が微妙に狂うものです。今回はそこに風の影響が加わります。まずはそこでマイボールをきちんと確保すること。ラインアウトを起点にした攻撃は、スクラムを起点にするときより攻撃のバリエーションが多いので、平常心を保ってボールを確保できれば、2で指摘したように攻撃で優位に立てるでしょう。

日本が一番避けたいのは、反則に対するレフリーとの解釈の微妙な違いにより、反則を重ね、レイドローにゴールを積み重ねられる展開です。前回W杯でも彼ひとりだけで20点とられていますから。いずれにせよ、スコットランド戦は日本ラグビー界の未来がかかる大一番です。私も日本代表のOBの一人として、スタンドで歴史的瞬間を迎えたいと願っています。

<プロフィール>

大西将太郞(おおにし・しょうたろう)

1978年、大阪府生まれ。布施ラグビースクールでラグビーをはじめ、大阪・啓光学園(現・常翔啓光学園)で全国大会準優勝。高校日本代表では主将もつとめた。同志社大学を卒業後、ワールド、ヤマハ発動機、近鉄、豊田自動織機で活躍。トップリーグでは通算143試合に出場。日本代表は大学4年時から選ばれ、通算33試合に出場。W杯は2007年フランス大会に出場し、カナダ戦で終了直前に同点ゴールを決め、日本代表のW杯連敗記録を13で阻止した。

 

Photo Gallery2

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事