アリーナ・ザギトワの「秋田犬物語」
平昌五輪 フィギュア女子金メダル
「2月末、ニュースを見た方々から、ザギトワさんが秋田犬を飼いたいらしい、という連絡をいただいたんです。当初は『ザギトワ?』と、正直ピンと来なかったのですが、『ほしいならあげますよ』と軽い気持ちで言った。それが先方に伝わって、結果、こうなっています(笑)」(秋田犬保存会会長の遠藤敬氏)
平昌五輪の女子フィギュアスケートで金メダルを獲得したロシアのアリーナ・ザギトワ(15)。その「ご褒美」として、秋田犬保存会から彼女へ秋田犬がプレゼントされることが話題になっている。
ザギトワと秋田犬の「物語」が始まるきっかけは、新潟県で五輪直前の調整をしていた際に偶然手にした雑誌。掲載されていた秋田犬の写真を見た、ザギトワの一目惚れだった。
「ロシアのフィギュアスケート連盟の方とやり取りしているのですが、『秋田犬の贈呈式をリンク上で行いたいので、犬をお持ちください』と3月2日に連絡が来ました。向こうのメールは基本日本語。その丁寧さから、本当に喜んでくれているんだな、と嬉しくなります」(同前)
ザギトワ本人からも、「夢を叶えてくれてありがとう!」とのメッセージが届いたという。今後、保存会の会員に犬の提供を呼び掛け、候補を選抜する予定。未だ見ぬ愛犬に「マサル」と名付けるなど、早くも彼女は一目惚れした秋田犬の到着を心待ちにしているようだ。
だが、狩猟犬をルーツに持つ秋田犬は気性が荒いことで知られる。スキンシップを取ろうと近づく人に怒って噛みつき、ケガをさせる事故は頻繁に起きている。
保存会は秋田県と協力し、’12年にプーチン大統領に秋田犬・ゆめを贈っている。’14年に公邸に安倍晋三首相を迎えた際、ゆめについてプーチン氏は「カワイイけど、時々噛むから気を付けて」と声をかけた。屈強な同氏だから無事扱えているかもしれないが、可憐なザギトワちゃんは本当に大丈夫なのか……?
「ゆめは気性の荒い血統なんです。普通、秋田犬はほとんど噛みません。比較的大人しい幼いメスをある程度選抜してから、最終的にザギトワさんに選んでもらう予定なので、大丈夫でしょう」(同前)
メスなのに「マサル」ではあるけれど、ザギトワの愛に包まれて、優しい犬に育ちますように。
写真:Kremlin/Sputnik/ロイター/アフロ 代表撮影/ロイター/アフロ 読売新聞/アフロ