ラグビーW杯 日本戦だけじゃない決勝トーナメントの見どころ

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史上初の決勝トーナメント進出を決めたラグビー日本代表/写真 アフロ

日本の快進撃でいまや国民的な関心事となったラグビーW杯。しかし世界最高峰の戦いはこれからが本番。10月19日から始まる決勝トーナメントに先駆け、以下の準々決勝4試合の見どころをいち早く紹介しよう。

・イングランド対オーストラリア(19日16:15キックオフ@大分スポーツ公園総合競技場)
・ニュージーランド対アイルランド(19日19:15キックオフ@東京スタジアム)
・ウェールズ対フランス(20日16:15キックオフ@大分スポーツ公園総合競技場)
・日本対南アフリカ(20日19:15キックオフ@東京スタジアム)

イングランド優勢か? 不安要素のあるオーストラリアと激突

イングランド代表のオーウェン・ファレル(左)とオーストラリア代表のマイケル・フーパー(右)

準々決勝1試合目は、イングランド対オーストラリアだ。

イングランドは前日本代表監督のエディー・ジョーンズ監督の綿密なプランニングのもと、“死の組”と評されたプールCを全勝で1位通過した(1試合は台風のため中止)。3試合で17トライを挙げた一方、相手に許したトライはわずか2本と充実ぶりが際立つ。

一方のオーストラリアはプールDの初戦でフィジーに苦しみながら勝利したものの、ウェールズに25-29で敗戦。ウルグアイやジョージアとの対戦でも凡ミスが目立つなど、すっきりしない試合が続いている。

ジョーンズ監督はオーストラリア出身でかつて同国代表の監督として2003年のワールドカップにも出場した経験もある。しかも現オーストラリア監督のマイケル・チェイカ氏はランドウィッククラブの後輩という間柄。当然ながらオーストラリアのラグビーは熟知しているはずだ。ちなみにジョーンズ氏がイングランド監督に就任した2016年以降の両国の対戦成績は、イングランドが6戦全勝と圧倒している。

総合力で上回るイングランドを、オーストラリアが攻守で揺さぶれるかが、試合のポイントとなるだろう。

常勝ニュージーランドがこの4年で喫した6敗のうち2つはアイルランド

ニュージーランド代表のボーデン・バレット(左)とアイルランド代表のジョナサン・セクストン(右)

2試合目のニュージーランド対アイルランドは、大会前の予想で決勝カードに挙げる声も多かったビッグマッチだ。

ワールドカップ3連覇に挑むニュージーランドは、プール戦随一の好カードとなった南アフリカとの初戦に23-13で勝利。台風19号の接近でイタリアとの最終戦は中止になったものの、無敗で危なげなく1位通過を果たした。

ニュージーランドがベストメンバーで戦ったのは南アフリカ戦だけで、続く2試合は選手を入れ替えつつ様々な布陣をテストしている印象が強かった。予想外のアクシデントで、準々決勝は17日ぶりの試合、かつ久々のフルメンバーでの戦いになる点は、若干の不安材料か。

一方のアイルランドは2戦目で日本に苦杯を喫し、まさかの2位通過。ここでニュージーランドと当たるのは避けたかった……というのが本音だろう。

アイルランドは日本に敗れたショックからか続くロシア戦ではもたつく場面が目立ったが、10月12日のサモア戦は47-5と圧勝。日本戦を欠場したSOジョナサン・セクストン、CTBロビー・ヘンショウらも復帰し、上り調子で準々決勝に臨む。

ちなみに2016年から今大会前までニュージーランドは47のテストマッチを戦って6敗しかしていないのだが、実はそのうち2敗はアイルランドに喫したもの。アイルランドを率いるジョー・シュミット監督はニュージーランド人で、手の内を知り尽くしていることも相性のよさにつながっているかもしれない。

もちろん焦点を定めた試合にきっちりと仕上げてくることに関してはニュージーランドは定評があり、この試合でも優位は動かないが、もつれる展開になる可能性は十分ある。

安定感あるウェールズと予測不能のフランス

ウェールズ代表のダン・ビガー(左)とフランス代表のアリベルティ・ラカ(右)

準々決勝第3試合は、ウェールズ対フランスという顔合わせになった。

ウェールズは今年2〜3月に行われた欧州6か国対抗で全勝優勝を果たし、今大会直前には史上初めて世界ランキングで1位になるなど今が絶頂期。

現在のウェールズの充実を支えているのは、世界屈指と評される堅牢な組織ディフェンスだ。全員が献身的に体を張り、タフな相手、厳しい局面になるほど底力を発揮。また防御で圧力をかけることで生まれるターンオーバーやインターセプトからのカウンターアタックは、重要な得点源になっている。

フランスは近年低迷が続き前評判はあまり高くなかったものの、初戦でアルゼンチンから大きな白星を挙げ、トンガにも23-21で競り勝ってプールC2位でベスト8に滑り込んだ。

フランスは好不調の波が激しいチームで、勢いに乗った時は手がつけられないほどの爆発力を有する反面、気乗りしない時はさっぱり……という二つの顔を持つ。今年の6か国対抗でのウェールズ戦は、ホームで前半16-0とリードしながら、後半急失速し19-24で逆転負け。今度は同じ轍を踏まないよう、しっかりと気持ちを整えてくるはずだ。

経験豊富な布陣を誇るウェールズに対し、フランスは才能あふれる若手のエネルギーを武器に挑む。安定感のウェールズか、予測不能のフランスか。いずれが勝つにせよ、スリリングな展開のゲームになるだろう。

南アフリカ戦、日本は再び世界を驚かせられるか

日本代表の福岡堅樹(左)と南アフリカ代表のマルコム・マークス(右)

準々決勝最後の試合は、日本対南アフリカ。

史上初めて決勝トーナメント進出を果たしたジャパンの相手が、前回大会で歴史的勝利を挙げた南アフリカというのは、運命的な巡り合わせというほかない。

W杯直前、9月6日の直接対決では、南アフリカが41-7で完勝している。しかし日本にすればエース福岡堅樹が開始早々に負傷交代するというアクシデントがあったことに加え、W杯に向け手の内を隠しておきたいという思惑からサインプレーをほとんど使わず、南アフリカが得意とする真っ向勝負で戦った結果という背景もある。すべてのオプションを惜しみなく出せる今度の対戦は、間違いなく違った展開になるだろう。

南アフリカのプレースタイルは、世界最高クラスのフィジカルを誇るFWを前面に押し出し、ハイボールと激しく体を当てるディフェンスでプレッシャーをかけるパワーラグビーだ。まともにぶつかり合えばジャパンは分が悪い。前回大会のようなスマートなラグビーで揺さぶり、僅差で後半の走力勝負に持ち込むことが勝利の鍵となる。

トニー・ブラウンアタックコーチが練り上げたジャパンの攻撃の核心は、多彩な一次攻撃で有利な状況を作り出し、早いテンポで相手防御が整うより先に仕掛け続ける組織力とスピード感だ。南アフリカの防御はリアクションや横の動きにはルーズな面もあり、相性は決して悪くはない。

これは守る場合も同様で、南アフリカはシンプルに強みを生かし攻めてくるぶん、的を絞りやすい。運動量で上回りダブルタックルできっちり止めれば、相手はどんどん手詰まりになっていくだろう。

何より今のジャパンには、プールマッチでつかんだ確固たる自信と、ホームの大声援という絶大な後押しがある。前回W杯の“歴史的勝利”を再現することは、決して不可能ではない。

  • 直江光信

    1975年熊本市生まれ。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)

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