道志村キャンプ場少女行方不明事件「風化させないために」
行方不明になった道志村キャンプ場の深い森
現場は背の高いマツやスギ、ヒノキがどこまでも生い茂っていた。山梨県道志村にある「椿荘オートキャンプ場」。この場所で、小倉美咲ちゃん(7歳)が行方不明となって、3週間以上が過ぎた。
自衛隊や山梨県警、消防など、のべ1700人以上が捜索活動を行っても手がかり一つ見つかっていない。
10月5日、本誌もこの地を訪れた。美咲ちゃんは母親と離れて、友達が待っている沢に向かう途中で、姿が消えてしまった。最後に目撃された地点から、わずかに数十mほど緩やかな坂を下ると、すぐに沢は見えてくる。小川も流れこそやや早いが水深は浅く、大きな岩も多いため、下流まで流されていくとは思えない。
群馬県からボランティアで捜索活動に参加していた40代男性はこう語る。
「もしかしたら見落としがあるかもしれないという気持ちで、もう一度、付近の森の中を見回っているんです。私は先週末も捜索に加わりましたが、ボランティアの数は、そのときより明らかに減っています。今はキャンプ場やその周囲でボランティアを見つけることが難しいくらいになってしまった。この件が風化してしまわないかと、とても心配です」
10月6日夜には現場に設置されていた山梨県警の本部テントが撤去され、大規模な捜索は打ち切りとなった。
かつて誘拐事件を担当したこともある元埼玉県警捜査一課刑事で、一般社団法人『スクールポリス』理事である佐々木成三(なるみ)氏はこう指摘する。
「美咲さんが行方不明になってから、私は現場を3度訪れています。このキャンプ場の中には駐車場が点在しており、道路も通っているため、どこに車が止まっていても何ら不審に思われることはありません。またキャンプ場周辺は木々に覆われているので死角が多いうえ、沢の近くは川の流れで音がかき消される。少し山のほうに登ると廃車が捨ててあるような荒れた場所もありました。外部からの出入りが比較的自由で、防犯カメラもない。美咲さんが何らかの事件に巻き込まれ、第三者に連れ去られた可能性は否定できません。
今後、警察は寄せられた目撃情報を精査して捜査員が聞き込みを行う。加えて、国道沿いの監視カメラなど、デジタル証拠の解析がポイントになると思われます。当然、警察は誘拐を視野に入れて捜査を進めているでしょう」
森の中のキャンプ場は、夕方になると木の影が伸び、一気にどんより薄暗くなった。辺りには外灯は少なく、日が落ちるとそれこそ真っ暗になる。美咲ちゃんの無事を祈るばかりだ。
『FRIDAY』2019年10月25日号より
- 撮影(キャンプ場):結束武郎