「2年縛り」ナシのスマホ新料金で本当に得するのは“この会社” | FRIDAYデジタル

「2年縛り」ナシのスマホ新料金で本当に得するのは“この会社”

10月より法律改正で各社から新料金体系が続々と

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契約シェアでトップのドコモの料金プランは、シンプルな2つのみ。解約率が低いのが、ドコモの強みだ
契約シェアでトップのドコモの料金プランは、シンプルな2つのみ。解約率が低いのが、ドコモの強みだ

料金システムが変更され、新サービスも続々と開始。10月1日から、スマホ業界では「大異変」が起きている――。

これは総務省の主導による改正電気通信事業法が施行されたことが要因だ。

もっとも大きな新ルールは、契約から2年以内に解約すると発生していた違約金が、上限1000円となったこと(これまで大手キャリアの違約金は9500円)。ほかにも長期契約を前提とした端末の値引きが禁止となり、端末の割引は最大で2万円までとなった。

新料金システムをどう理解して、どう利用するか? 本誌は識者に話を聞いた。

各キャリアの新料金プランは主に何が変わったのですか?

カタカナの新プランの名称が、各社のCMで連呼されているが、実際のところはどうなのか。ケータイジャーナリスト・石野純也氏はこう解説する。

「NTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3社に関して言えば、料金自体はほとんど安くなっていません。『2年縛り』の違約金をドコモとauは1000円に設定し、ソフトバンクはナシにした。これが一番大きな変更点です。ソフトバンクは定期契約自体がなくなりました」

つまり、大手キャリアの定期契約によるユーザーの囲い込みがなくなり、MNP(電話番号を変えずに他社へ乗り換えること)がしやすくなったのだ。また、サブブランドと言われているワイモバイルやUQモバイルは、利用料金そのものが若干値下がりした。各キャリアによる競争は今後ますます激しくなっていく。

今の料金プランのまま、特に変更しなくても大丈夫ですか?

情報サイト「オールアバウト」で携帯電話・スマホのガイドを担当する元エンジニアでライターの佐野正弘氏が語る。

「ドコモやソフトバンクの新料金プランは、中身も従来のものとほとんど変わっていません。auも、プランが一つ追加されただけで、そのほかはこれまでの内容を踏襲しています。ですから、auのユーザーなら、まず新たに追加されたプランであるデータ使用が無制限となる『auデータMAXプランNetflixパック』が自分にとって有効であるかどうかを検討してみるといいでしょう。それ以外では、焦ってすぐさまプランを変更する必要はありません。変更すると逆に旧プランに付いていた月額の割引が、プラン変更により消えてしまう場合すらありますから注意してください」

前出の石野氏が補足する。

「例えばドコモの場合、6月まではデータ通信容量を家族で共有するシェアパックを組むという割引がお得でしたが、今はそれがなくなっています。ほかに注意すべきは料金体系です。ソフトバンクではデータ使用可能量が50ギガという大容量プランがメインになっており、かつては存在した料金の安い7ギガ程度のほどほどの容量のプランがなくなっています。

旧プランが自分のスタイルに合っていた人は、安易に新プランに移行せず、これまでの旧プランを続けたほうが、料金が安いことがありえるんです」

ネット上で月額使用料金のシミュレーションをする、あるいはキャリアのショップの窓口で自分に合った料金プランを相談することがオススメだ。

「料金的に変わらなければ、解約しやすくなるため、新プランに変更しておいたほうがいいでしょう」(石野氏)

ただし、ドコモでは、新プランに移行しても以前の2年契約の”縛り”は残る。満了にならないうちに解約すると、違約金9500円が発生するので要注意だ。

さらに言えば、ソフトバンクとauでは新プランに違約金ナシで即時変更可能だ。そこを逆手に取って新プランに移行し、その後すぐにMNPすれば、違約金が節約できる。

月末になると、データ量が足りなくなる。どうすればいいですか?

追加のデータ使用料を随時支払うと高額になるので、この10月を機会にMNPも含めた見直しが必要だろう。

「大容量プランがある3大キャリアと契約するべきでしょうね。なかでもauは無制限プラン(7880円)があります。ただし、極端な使い方をすると速度制限がかかる可能性があります。決まった動画サイトをよく見るという人は、ソフトバンクのほうが適しているかもしれません。YouTube、AbemaTV、TVerなどの特定の動画サービスが使い放題になるプラン(7480円)があります」(佐野氏)

一方で、コストを考えれば、ドコモもお得なのだという。

「ドコモのプラン(6980円)は最大で30ギガですが、その容量を使い切ったあとも1メガまでしか速度制限がかからない。その速度があれば、動画は普通に楽しめます。ドコモは容量が少ない分、料金は一番安いのでお得です」(石野氏)

まず必要な容量を見極め、あとはドコモならdポイント、ソフトバンクならヤフーでのポイントなど、普段自分が利用しているサービスも考慮する。そのうえで、自分に合ったプランがあるキャリアに速やかに移行したほうがいい。

とにかく電話をたくさんかけます。安くするにはどうすれば?

その場合は、解約が緩くなったことを利用して、キャリアのサブブランドにMNPするべきだ。

「データ通信をそれほど使わず、通話だけが多いという人は完全かけ放題をオプションで付けるといいでしょう。総額が安いワイモバイル(3680円)が一番お得ということになります」(佐野氏)

ネットも電話も最低限でいい場合、どうすればお得になりますか?

佐野氏がアドバイスする。

「まず各社の一番ベーシックなプランを選ぶ。そのうえで、通話オプションを付けたり、データの使用量に応じてプランを移行する、というのが現実的です。解約金は緩くなりましたが、MNPに関しては諸々の手数料が合計5000円以上はかかります。MNPするかどうかはこの費用と天秤になります」

大手キャリアにもう戻らないと決めたのなら、格安スマホ(1500円弱)へのMNPを検討してみるのもアリだろう。

MNPがしやすくなりましたが、結局、どのキャリアを選べばいいのですか?

ひと昔前と違い、スマホは人によって使い方が十人十色。一方で大手キャリアはターゲットが明確だという。

「大手は3社ともデータ通信を大量に利用する人か、ガラケーからスマホに替える人、この2つに対してだけ力を入れています。例えばドコモなら、現在の料金プランは、それらの人をターゲットにした2つしかない。中間がないんです。また、今は新規での契約がなかなか拡大できないので、ユーザーをしっかり維持するということに3大キャリアは力を入れているんです。機械やネットが苦手でサポートやアフターサービスを重視している人は3大キャリアを選ぶと良いと思います」(佐野氏)

データを10ギガ以上は使わないというミドルユーザーであれば、ワイモバイルやUQモバイルが必然的に選択肢に入る。ただし、価格が安くなる分、購入した後のアフターサービスは手薄になる。

少しでも安くスマホ本体を手に入れる方法はありますか?

9月までは回線契約とセットで購入することで、スマホ本体は格安で入手することができた。だが、10月以降、回線契約と端末購入は分離化され、スマホ本体の値引きは最大で2万円までとなった。

「その代わりに3大キャリアでは新しい購入サポートが始まりました。auとソフトバンクは4年の分割払いにして、2年後以降に、端末を返却すると、残りの代金は免除されるというプログラムです。回線契約をしなくても利用できますが、返却の際に新しい機種を購入することが条件ですから、縛りが強いとも言えます。 

また、ドコモの場合は36回の分割払いを選択して2年後以降に、最大12回分が免除される購入サポートが始まりました。免除額が小さく、ドコモの回線契約者のみが対象ですが、その分、メリットもあり、購入した端末を返却しなければなりませんが、新たにドコモの端末に買い替える必要がありません」(佐野氏)

スマホを定価よりも規定の2万円以上安く手に入れるためには、それらのサポートを利用するしかない。あとは家電量販店で購入すると若干安くなる。

「家電量販店にはキャリアの代理店が入っています。一括で購入だと、量販店のポイントが付くのでキャリアのショップで買うよりは安くなります」(石野氏) 

また、今回の新ルールに関連し、SIMロックの即時解除も義務化されると見られている。SIMとはスマホに挿し込まれている契約者の情報が入ったカード。キャリアで購入した端末にはロックがかかっており、他社のものは使えない。しかしロックを解除してもらえば、どの電話会社のSIMも使えるようになる。

佐野氏はこんな裏技を教える。

「ワイモバイルやUQモバイルでは、最新の『iPhone』は扱われていません。ですが、auやソフトバンクの購入サポートを利用して最新機種を購入し、一定の条件を満たしてすぐSIMロックを解除してもらえば、ワイモバイルやUQモバイルの回線で使用することができます」

少しでも安く最新の「iPhone」を持ちたいユーザーにとって朗報だ。

「ハイスペックな最新端末を使っていくには、これからは端末の下取りが不可欠になる時代です。その意味でも買い取り価格の高い『iPhone』を購入することはメリットがあります」(石野氏)

話題の楽天の携帯キャリア事業参入はどうなるのでしょうか?

キャリアとして楽天モバイルは、10月からの本格スタートが予定されていたが、実質的な延期となった。今回、大手3社が料金の値下げをしなかったのは、これが原因の一つだと言われている。キャリアとしての楽天は期待できるのか。

識者はこう指摘する。

「4月までにはサービスが始まると思われますが、まず電波には不安が残りますね。auがローミングを提供するわけですが、楽天の自社回線エリアとなる都心部ではつながりにくい場所も出てくるのではないでしょうか」(石野氏)

「インフラをこれからどのくらいカバーできるか、まだ未知数です。ですからサービス開始後、すぐに移行することには慎重になったほうがいい。料金的にはワイモバイルなどより安くなるかもしれないですが、つながらなければ困りますからね。サブ回線としての利用なら問題ないでしょうが、メインで使うことはなんとも評価し難いです」(佐野氏)

損をしないためには、情報に敏感であるしかない――。

※価格はすべて税抜表示

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『FRIDAY』2019年10月25日号より

  • 撮影小松寛之写真時事通信社

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